防犯カメラを取り付ける際、重要になるのが電源の確保です。カメラの設置場所やケーブルの種類によっては電源の取り方が変わってくる場合もあります。
設置状況に応じた適切な電源の取り方や、配線時に施しておくべき処理など、防犯カメラの取り付けに役立つ知識をご紹介いたします。
また、電源が不要なタイプの防犯カメラについても取り上げていきます。
目次
室内と室外で防犯・監視カメラの電源の取り方が違う
多くの防犯カメラは、長時間の監視を行うために恒久的な電力の供給を必要としています。
室内監視用途であれば、そのまま室内のACコンセントから電源をとることができる場合が多いです。
しかし、家庭用防犯カメラの設置用途の大半を占めるであろう室外の監視の場合、室内から電源ケーブルを引けない場合も多く、別途電源を確保しなければならないことがあります。
ここでは室内用、室外用の二通りのケースに分けて、電源の取り方について解説します。
防犯・監視カメラの設置をする前にすること
大前提として、あらかじめ防犯・監視カメラをどこへ設置するか場所を決めておく必要があります。どのくらいの高さから、どの方角へ向けて撮影するのか、目的に応じてまずは設置箇所を決定しましょう。
意外に見落としなのが外壁の強度です。防犯カメラは重量のあるものが多く、しっかりと固定して長期間保持できるかどうかを調べておく必要があります。
また、設置場所に雨風がどのくらい吹き込むのか、地面や壁の色、日中の日差しの有無などはカメラの選定にも関わります。購入した防犯カメラとレコーダーやテレビを一度つなぎ、問題なく動作するか確認しておくことも大切です。そうすることで、設置後にカメラが映らない場合に、原因がケーブルなどの施工にあるのか機材自体にあるのか分かりやすくなるからです。
付属ケーブルを使った電源の取り方
防犯カメラとレコーダーとが近い場合、付属しているケーブルを使って室内のコンセントから電源をとることができます。
多くの付属ケーブルは電源用と映像通信用の二本が組み合わさっているため、必然的に通信ケーブルのつながるレコーダーと同じコンセントから電源を取ることになります。
コンセントが埋まっており別の場所から電源を取る必要がある場合、市販の延長コードが便利です。
付属ケーブルによる電源供給が可能なのは、ケーブルの総延長が大体40メートル以内の場合だと言われています。
付属ケーブルを使って電源供給できるのは、ケーブルの長さが40メートル以内の場合である
同軸ケーブルを使った電源の取り方
電源の供給を行うケーブルが延長によって長くなりすぎると、電圧が下がって機器が正常に動作しないことがあります。
カメラの設置場所とレコーダーの設置場所とが離れていたり、建物を迂回していたりして、ケーブルの総延長が40メートルを超える場合は、電源は別途近くのコンセントから取って、映像通信のみ同軸ケーブルを使ってレコーダーとつなぎます。
同軸ケーブルはアンテナの配線などに使われるケーブルで、映像信号だけならば最大100メートル程度まで伸びても通信が可能です。
室外の電源ボックスなどから電源を取る場合、ACアダプタが防水仕様でないことが多いので、雨に濡れないようボックスの内部で配線する必要があります。
また同軸ケーブルを使って映像通信を行う場合、そのままではレコーダーやカメラとはコネクタの規格が合わないことがあります。
ケーブルの外皮を剥いて嵌合する端子(F型接栓)に付け替える加工が必要になるかもしれません。
・電力供給のケーブルが長すぎると、電圧が下がってしまい機器が正常に動作しなくなることがある
・電力供給のケーブルが40メートルを超えてしまう場合は、別に電源を取る必要がある
・同軸ケーブルは映像信号だけなら100メートル程度までなら通信ができる
防犯・監視カメラの配線にも注意が必要
屋外にケーブルを這わせる場合、そのままにしておくとさまざまな弊害が発生するおそれがあります。通信用のケーブルは特にデリケートなものが多く、ちょっとしたミスから断線してしまうことも珍しくありません。配線時に注意すべきこと、施しておくべき処理などを例に挙げてご説明していきます。
ケーブルには保護材を使いましょう
屋外に設置する以上、ケーブルが雨風や直射日光に晒されることで劣化してしまうおそれがあります。また、地面を這わせる場合は誤って踏んでしまったり、ネズミなどの害獣にかじられてしまったりすることがあります。
この場合最も一般的な対策は、ケーブルが露出しないように保護材などを使って被覆してしまうことです。市販されているケーブル用ダクトの中でも、屋外で使える対候性のものが特にオススメです。端子を含むケーブルの外形寸法をよく確認したうえで、過不足なく収まる内径のものを選びましょう。
また、ケーブルが風などによって暴れないよう壁際にしっかり固定することも大切です。固定には、ステップルと呼ばれる小型の釘や、風雨に強い結束バンドが便利です。
防水加工も忘れずに
金属製の端子が露出しているコネクタ部分は、特に優先して被覆しなければならない箇所です。コネクタ自体には防水性がないものが多いので、配線の際には防水性能の高い被覆材を使いましょう。
防水加工には自己融着テープが便利です。これは特殊な粘着層が時間経過に従ってゆっくりと隙間を埋めるように流れ込む性質をもったテープで、普通のテープ材ではどうしてもできてしまう細微な隙間も埋めることで水が入り込めないようにすることができます。コネクタの接合部全体が完全に隠れるようにしっかりと固く巻き付けることで高い防水性能を発揮します。
屋内への引き込み口は選べます
屋内の電源コンセントを利用できる場合は、カメラのある屋外から屋内へ電源ケーブルを引き込むことになります。引き込み方法にはいくつか種類がありますが、一般的に使われるのは以下の3方式です。
・極薄の隙間ケーブルを使って窓やドアの隙間から引き込む方法
ケーブル内の線を並列に並べることで幅広で厚みの小さな形状にした『隙間ケーブル』というケーブルが市販されています。
隙間ケーブルは1.5ミリ程度の薄さのものもあり、窓のサッシやドア枠に這わせることで、特に壁に穴を開ける工事やエアコン穴を使うことなく室内に電源ケーブルを引き込むことができます。
頻繁に開け閉めする窓などに敷設すると劣化が早まるおそれがあるため、あまり使わない窓に取り付けるのがオススメです。
・エアコンダクトを使う
多くの家屋では室内のエアコンと室外機とをつなぐダクトが外壁に取り付けられており、このダクトを通して屋外から電源ケーブルを引き込む方法があります。
こちらも特別な工事が必要ないため簡単ですが、エアコンのある場所からしか引き込めないという場所の制約があります。十分なケーブル長が確保できる場合に適した方法となります。
・壁に引き込み用の穴を開ける
上記二つとも適さない場合、配線用の穴を壁に開けるという方法もあります。工事は必要になりますが、通常のケーブルが使用でき、場所の制約もほとんどないという点で優れています。
壁に穴を開けた場合は、虫や隙間風の侵入を防ぐために入線カバーを取り付けましょう。入線カバーは室内の気密性を保ちつつ、ケーブルだけを引き込めるようにする設備です。
電源不要な防犯カメラのメリット・デメリット
私有している山林の中や、敷地の端など、電源をとれる場所が近くにないときに便利なのが、電源不要の防犯カメラです。配線をせずとも使えるためどこにでも設置できる自由度が大きな魅力ですが、明確なメリットとデメリットがあります。
ここでは電源不要の防犯カメラについて、注意点とどういった場合に使うのかが適しているのかを交えてご説明いたします。
電源工事がいらないことがメリット
電源不要の防犯カメラの最大のメリットは、なんと言っても手間のかかりがちな電源工事が必要ないことです。
またワイヤレスで配線がいらないということは、電源の位置に縛られずどんな場所にも自由に設置が可能ということでもあります。例えば木の幹に取り付けることも、お庭の門柱に括り付けておくことも、玄関の靴箱の上に置いておくこともできます。
頻繁に位置を変える必要がある場所などへの設置や、状況に応じて親機子機を分けて台数を増やしたい場合にも適しています。他にも屋外で使われることが前提のため、始めから防水仕様のモデルが多いことも見逃せない利点です。雨曝しの環境でも問題なくつかえるという点は山林などの設置において評価されています。
長時間の撮影ができないのがデメリット
電源不要のカメラといえど、電気をまったく使わずに動いているわけではありません。一般的な電源不要タイプは内部に電池などの電力供給源を搭載しています。つまり、コンセントからケーブルで電気を引っ張ってこられる場合と異なり、限られた電力をやりくりして稼働していることになります。
もっとも顕著な差として表れるのが撮影可能時間です。電源を用いる防犯カメラが長時間稼働して録画できるのに対し、電源不要タイプは長時間の撮影が困難です。多くの場合センサーと連動して、範囲内に人が入るなどの何らかの動きがあった場合のみ、規定の秒数だけ録画します。これは電力だけの問題ではなく、ハードディスクなどの大型記録装置を使えないための措置でもあります。
常時稼働できないとはいえ、防犯上最も重要になる「誰かが近づいてきた瞬間」を録画することはできるので、これをデメリットと見るかどうかは使う人次第かもしれません。
また電力を内部で賄うために、例えば電池式であれば定期的な電池交換が必要になります。交換のペースは機種と撮影環境によってまちまちなため一概には言えませんが、短いものではひと月ほどで電池が空になるそうです。
電源を確保できない、アクセスの悪い場所にカメラを設置する場合、この電池交換の手間が一番のデメリットかもしれません。
電源の種類もいくつかあります。
電源不要の防犯カメラは、前述の通りコンセント以外の電力供給源を利用して稼働しています。使われている電力源は上記のような電池式のほか、バッテリーによる充電式、ソーラーパネルによる自家発電式などがあります。
特に自家発電式は電池やバッテリーを交換する手間がかからず半永久的に稼働させられるように思えますが、天候によって発電量が大きく変わるため、直近の日照量次第ではノイズまじりの映像となったり録画ができなかったりする可能性があります。
安定して稼働させるために電池式と組み合わせられている商品もあるようです。
まとめ
防犯・監視カメラの導入にあたって知っておくと参考になる基礎知識として、
●電源の取り方
●ケーブル保護処理
●電源不要タイプの種類と注意点
の3つのポイントをご紹介してきました。
撮影目的や設置したい場所の環境に合わせて電源確保を行うのは何かと手間と時間がかかりますが、防犯カメラの効果を100%引き出すためには必ず必要になる作業です。
ご自宅の大切な財産を守るためにも、正しい知識とちょっとしたコツを身に付けて最適な防犯対策を施していきましょう。