ノミの生態と特徴|一生はわずかひと月でも無視できない習性と被害
動物を飼ったことがある人であれば、必ず直面する害虫といってよい「ノミ」。羽をもたず、脚力を使用してぴょんぴょん跳ねるその虫は、非常に特徴的です。ノミは動物のみならず人にまで危害を加えてくる厄介な虫です。そのため、害虫として多く知れ渡っていますが、小さな虫なので駆除するのに一苦労します。
厄介なノミを駆除するためには、まずその生態を知る必要があります。習性などを知ることで、より駆除や対策がしやすくなります。また、ノミの駆除をするときは、つぶすことは絶対にしてはいけません。ノミ被害を少しでも抑えたいのであれば、正しい駆除方法を知り、根絶を目指しましょう。
ノミの特徴と生態
そもそもノミとはどんな生き物なのでしょうか?その生態について注目してみましょう。
ノミの生態
ノミとは、体長わずか1ミリから4ミリ程度の害虫の名前です。一般的に知られているノミは「ネコノミ」といって、もともと猫の体に寄生していたノミが、やがて猫に限らず犬や人にまで寄生し始めたとされています。イヌノミやヒトノミといったノミもいますが個体数は少なく、現在日本国内でもっとも確認されているのは、ネコノミという種類となります。
ノミの一生はわずかひと月と短いです。その間に卵、幼虫、さなぎ、成虫の4つの段階で成長します。実はノミが動物や人に寄生して刺してくるのは成虫になってからで、それも吸血する間のみです。寄生対象の周囲に潜んでいることの方が長時間だといえます。
また、ノミの成虫は、卵から成虫までのノミの総数の1割にも満たないといわれています。そのため、目視できる成虫がたくさんいるのであれば、その10倍はノミの幼虫やさなぎ、卵がいると考えていいでしょう。ノミはおよそ13度あれば卵から孵化し、活動を開始します。以前は冬期の間は被害件数が少なくなる傾向がありましたが、暖房器具が発達した現代では、室内に潜むノミから十分被害にあう可能性があります。
どのような場所に好んで潜むの?
ノミは主に野生動物に寄生していることが多いです。日本では全国各地で野良猫を多くみまけますが、その大半がノミに寄生されているといってもよいでしょう。多くの場合、その寄生された野良猫に人やペットが触れてしまったり、野良猫が庭の敷地内に入ってきてノミを落とすことで発生します。
また、ノミは暗くてじめじめしている涼しい居場所を好みます。そのため、外出しやすい春ごろにお出かけした際に、ノミの潜みやすい場所に踏み込んでしまうと、ノミを拾ってしまうことがあります。涼しい場所を好むのはノミだけではなく、大抵の生き物が近寄ります。そのため、飼っているペットが付近に立ち寄って体に寄生されてしまう…といったことも多いようです。
また、小さなお子さんがいるご家庭だと、外出した際にノミがいるかもしれない場所に立ち入ったり、野生動物を触ってしまう可能性があります。そのため、涼しく湿度の高い場所には近寄らないようにしましょう。
ノミから受ける被害
ノミは成虫になると餌を求めて人や動物から吸血するようになります。ノミは基本的に動物の血液を吸う傾向にありますが、人も被害にあう可能性があります。主に刺されやすい場所は首、頭部、腕、脚付近です。やわらかい皮膚も好みますが、ダニと比べて口器が堅く頑丈なので吸血場所を選ばずとも血を吸うことができます。そのため、衣類内部よりも手足などの末端部分を好んでさします。
ノミの恐ろしいところは、病原菌を媒介する可能性があることです。そのため、放置はせず素早い対処が望まれます。
ノミを駆除するにはこれ! 効果のある駆除方法
ノミは小さな害虫であるうえによく跳ねます。体長の数百倍跳ねるといわれており、被害にあうと数も多いので捕まえることは容易ではありません。被害にあったら早急な対処が求められますが、どのように駆除すべきなのでしょうか?
市販薬で撃退する方法
ノミをはじめ、ダニやトコジラミなどの害虫を駆除する駆除薬は数多く市販されています。インターネットの通販や量販店などで安価で気軽に入手が可能です。ノミを駆除できる薬品は、主に「くん煙タイプ」、「スプレータイプ」があります。
●くん煙タイプ
大量にいるにノミなどの害虫を駆除する場合、もっとも手っ取り早い方法といえます。缶のような形状をしていて、水や火を使用したくん煙剤を密室の室内に置いて数時間放置するだけで、害虫を駆除できます。被害がほかの部屋にまで広まっている場合、ひと部屋ひと部屋行うよりも、一度に行った方がノミの逃げ場をなくせるため、効率的な駆除が行えます。
また、卵やサナギは膜に覆われているので駆除剤の効果が薄くなりやすいです。そのため、1週間ほど期間を開けて再度くん煙タイプを使用すると、高い駆除効果を期待できます。しかし、くん煙タイプは一度に広範囲の害虫駆除できる反面、安全面が懸念されます。
細かい煙状で薬剤が噴出されるため、食器や床に付着します。口に触れる可能性があるうえ、ペットや幼い子供がいる場合、手足に薬剤が付着してしまうことが心配されます。また、薬品などは水に溶け込みやすいです。その特性上、水槽などのある部屋で使用してしまうと、水質悪化して水槽内の生きものに被害が発生してしまうので、使用する際は慎重になる必要があります。
●スプレータイプ
薬剤を直接見つけたノミに噴射します。スポット的に散布できるので、周囲へ薬品が散布されてしまうかもしれないという恐れがありません。また、使用する薬品自体少ないので、経済的にも負担が少なくなります。ノミの個体数が少ない場合はとても役立つ方法ですが、数が多い場合は1匹1匹あてているときりがありません。そのため、もっぱら被害が少ないときに使用するとよいでしょう。
ガムテープを使用して捕獲する
多くのご家庭にあるガムテープを使用した捕獲方法です。使用方法はいたって簡単で、ガムテープを適度な長さに伸ばし、ハサミや手でカットしたものでノミを取るだけです。一気にたくさんの駆除は難しいですが、数匹が飛んでいる程度であれば道具を用意せずとも対処可能です。捕まえた後は粘着面どうしあわせて密閉することもできるので、後処理もしやすい方法です。
ノミの捕獲機を自作する
ノミは光に近寄る習性をもちます。その修正を利用した捕獲機を自作することができます。
【用意するもの】
- 洗面器など、適度な大きさ・高さの入れ物
- 水
- 中性洗剤
- 卓上ライト
洗面器の中に水を半分ほど入れ、中性洗剤を混ぜ入れます。よくノミが発生する場所に、点灯させた卓上ライトと一緒に設置して完成です。ライトの光に寄ってきたノミが、洗剤を混ぜた容器の中に跳びこみます。中性洗剤を入れると、ノミが水を泳げなくなって沈むので駆除が可能になります。
卓上ライトであれば設置が容易ですが、小さなストラップタイプのライトでも十分効果を発揮します。この方法を使用する場合、お子さまや飼っているペットが誤って水を飲んでしまわないように配慮する必要があります。
ノミの駆除で「つぶす」ことは絶対にしてはいけない!
ノミの駆除を行う際、絶対に「つぶす」ことはしてはいけません。蚊などが四肢に止まったとき、手で叩いて駆除する人も多いので、同じ感覚で行う人もいるかもしれませんが、その方法はノミ駆除ではご法度といえます。メスのノミは、血を吸ってその栄養を卵に分けます。卵を抱えている可能性も十分にあるため、つぶした衝撃で卵があたりに四散する場合があります。
ごく小さい卵があたりに飛んでしまうと卵の駆除が非常に難しくなってしまううえ、その卵が孵化すると被害がさらに拡大化してしまうのです。そのため、ノミを駆除する際はつぶさないように駆除する方法で行わなくてはいけません。
ノミを寄せつけなくする3つの方法
ノミを駆除したあと、再度被害にあわないためにも対策が必要になります。常日頃から気をはらうことで、被害を抑制できるようになります。ノミ被害にあわないためにも、以下の3つのことを実践してみましょう。
室内の掃除を欠かさずおこなう
ノミは暗くてじめじめしていて、涼しい場所を好みます。そのため、室内環境が当てはまってしまうとノミの住みやすい環境を提供してしまいかねません。居心地のよい場所になると繁殖速度も増してしまうので予防としてだけではなく、駆除する際にも清掃は重要といえます。また、清掃と合わせて換気も行って湿気を下げましょう。
ノミの温床になりやすい衣類を干す
ノミは湿度が高い場所を好みます。そのため、衣類が積み重なった場所や、寝室のベッド、敷布団など、湿度が高くなりやすい場所を好みます。衣類を外に干すことで湿度を低下させることができ、ノミが集まりにくくなります。
布団など分厚いものを干す際は、表面だけではなく裏面もしっかり風を通すようにしましょう。
また、干した際は布団をたたかないことが重要です。ノミをつぶしてしまう可能性があるため、表面を少しはらう程度にとどめましょう。
ノミが嫌う「ハーブ」を使用してみる
ノミはハーブ系のスーッとした清涼感のある香りを嫌います。そのため、ミントを使って忌避させるのもひとつの方法です。ミントの精油を小さなお皿に入れ、室内に置いて置くだけで効果が見られます。また、オリーブオイルやホホバオイルなど、エッセンシャルオイルに混ぜて身体に塗ると簡単な虫よけにもなります。
ミント自体に忌避効果があるため、外に植木鉢で育ててみるのもよいです。植物栽培が苦でなければ、楽しみながらノミを近寄らせなくできるでしょう。しかし、ミントは繁殖力がとても高いです。そのため、地面にじかに植えてしまうと大繁殖してしまいます。庭先にほかの植物が植わっていると侵食されて枯れてしまう可能性もあるため、必ず植木鉢やポットで栽培するようにしましょう。
まとめ
ノミは動物や人から血液を吸血し、繁殖していきます。かまれると場合によっては重篤化しかねないので、楽観視できない害虫です。ノミを駆除する方法は、市販薬を使った方法と、身近にあるもので対処する方法があります。また、ノミ駆除をおこなう際はつぶしてしまうと被害が拡大化しかねないので、つぶさず駆除する方法を選びましょう。
ノミは短期間放置をしただけで爆発的にその個体数を伸ばします。気づいたときにはあたりにノミが跳んでいるという事態にもなりかねません。そのような場合は自力で駆除は困難を極めます。対処が難しいと判断したら、駆除をとり行う業者などに相談してみると、解決策が導き出せるかもしれません。