山の木が増えて邪魔な場合は、伐採をおこなうことで問題は解決します。しかし、「木が大きすぎる」「周りに木が多すぎる」といった伐採における不安をもつ方も少なくありません。
そこで今回は、自分で伐採をおこなう際の準備や方法、注意点などを詳しくご紹介します。山の木の伐採に関する知識を事前につけておけば、安全かつスムーズに作業を進めることができるでしょう。
目次
山の木を切る前に!届出や許可の申請について
日本には「森林法」という法律が存在し、この法律により森林の伐採をおこなう際は公共機関への届出をしなければならないとされています。もし適切な手順を踏まずして伐採をおこなうと、行政機関からの指導・処分を受ける対象ともなりかねないので、伐採をおこなう前にしっかりと確認しておきたいポイントです。
伐採のみをおこなう場合と、伐採をしてから再び木を育てる「造林」もおこなう場合とでは、必要な届け出も異なります。もし伐採と造林の両方をおこなう場合は、伐採する前だけでなく、伐採した後にも書類を提出する必要があるのです。そのため、事前に「自分はどういった作業をおこなうのか」ということを明確にしておかなければなりません。
また、この書類には「作業開始の90~30日前」といったような提出期限も定められているため、計画的に予定を立てておく必要があります。詳しくは「伐採許可の届出と役所手続き」で紹介されているので、伐採をおこなう前に一度確認してみてはいかがでしょうか。
自分で山の木を切るための準備
伐採の届け出が済んだら、次は木を切るための準備をおこないます。山の木を伐採する場合、ただやみくもに切り倒していけばよいというわけではありません。伐採前に確認しておくことや、必要な道具はどのようなものなのかを確認していきましょう。
切る順番は運び出しを考えて決める
切り倒した木を運び出すとき、通路に木が立っていては邪魔になり運べません。そのため、あらかじめ切る順番をよく考えておくことが大切です。木のサイズによっては運ぶのに労力が必要なことも考えられるので、充分な広さの運搬ルートを確保しておきましょう。基本的には手前から順に切り倒していくことで、通路を遮られることなく作業を進めることができます。
お祓いやお参りで木に感謝を伝える
伐採する際は、お祓いやお参りなどで木を供養することが多いです。昔、木には神や精霊が宿っているといわれており、むやみに伐採することは避けられてきました。伐採という行為自体、人が都合よく切ることだという見解もあり、木に感謝や謝罪を込めて供養する風習が生まれたのです。この風習に従って供養をおこなうことで、伐採に対する後ろめたさも和らぐことでしょう。
必要な道具をそろえる
木を切るにあたって必要なものは、下記の通りです。
・チェーンソー
木に切れ込みを入れる際に使用します。ノコギリでも代用可能ですが、木のサイズや硬さによっては作業が思うように進まないことも考えられるので、チェーンソーをおすすめします。
・くさび
木を倒す方向を調整するために使用します。チェーンソーで入れた切れ込みにくさびを挟ませ、先端を叩くことで木を倒すことができます。大きいものと小さいものの、両方を用意しておくとよいかもしれません。
・ロープ
ロープも、木を倒す方向を調整するために必要です。木に巻きつけ、引っ張ることで倒す方向を変えることができます。
・ヘルメット、防護眼鏡、ベルト
伐採作業は細かな葉っぱの飛散や枝の落下など、危険がつきものです。ゴミが目に入って視界を奪われると、チェーンソーや伐倒途中の木に不意に近づくこともあり、非常に危険です。身を守るための道具は、しっかりと用意しておかなければなりません。
自分で山の木を切る方法
伐採の準備ができたら、具体的な方法を確認し、作業の流れを把握しておきましょう。あらかじめ木を切る方法について確認しておくことで、いざ実践するときでもスムーズに行動できるはずです。
山の木を切る手順
木を伐採するとき、まず木を倒す方向を決めておきます。これを決めておかないと、ほかの木にぶつかってうまく倒れなかったり、道に倒れて道路を塞いでしまったりするかもしれません。そのため、倒す方向に障害物はないか、人はいないかを充分に確認するようにしましょう。倒す方向が決まったら、倒したい方向に引っ張るよう、ロープを張っておきます。
次に、切り倒す方向に受け口という切り込みを入れます。受け口は、幹の直径の3分の1を目安に30~40°の角度でくの字に入れていきましょう。その後、受け口の反対側に追い口をつくります。追い口は、受け口の高さから3分の2あたりのところに、水平な切り込みを入れてください。追い口を入れたら、受け口の方へ倒していけば切り倒すことができます。
倒せないくらい高い木は?
伐採対象の木が大きすぎて倒すことができない場合は、数回に分けて切っていくことになります。「チェーンソーを持って木に登り、先端から順に切っていく」という方法で、伐採作業をおこなうのです。
しかし、この伐採方法は、個人でおこなうにはあまりに危険な方法であるといえるでしょう。本来このような特殊な伐採方法は、業者が専用の工具と命綱を駆使し、細心の注意を払いながらおこなうものです。ただでさえ難しい伐採ですが、背の高い木はさらに難しく、かつ危険な作業となります。
山の木を切るときに気をつけること
伐採作業に取り掛かるにあたって、気をつけることがいくつかあります。山の木を切ることには多くの危険が潜んでいるので、下記の点に気をつけながら作業を進めてください。
山の木を切るときの注意点
前述の通り、伐採作業は半分ほど木を切ってから、押し倒すこととなります。木を倒す際は方向に気をつけるほか、落下物にも注意しなければなりません。倒木時に周りの木にぶつかることで、枝や葉が大量に落ちてくることがあります。大きな枝が降ってくることも考えられ、それらに当たると怪我では済まない場合もあるのです。
また、斜面での作業は通常の伐採作業よりも難しく、とくに注意が必要となります。木が生えているところに傾斜があると、倒木方向を調整するのが困難です。無理に調整しようと木の下側に入ると、下敷きになるおそれもあるでしょう。周りに木が多い、斜面に生えている、といった場合には、事故のリスクも大きくなることを知っておくことが大切です。
自分での伐採が不安に思ったら
個人での作業に限界を感じるようであれば、業者に依頼するというのもひとつの方法です。業者に依頼することで自分の身の安全を確保できるだけでなく、時間の短縮にもつながります。また、伐採後の木の処分を請け負ってくれる業者もあることから、手間も削減できるといえるでしょう。
もし業者に依頼することを検討するのであれば、先にご紹介した届け出についても確認しておくとよいです。伐採作業を業者に依頼する場合、届け出は山の所有者と業者の連名で提出しなければならなくなります。その点についても、伐採に詳しい業者であれば相談にのってくれるかもしれません。
山の木の伐採にかかる費用
山の木の伐採を業者に依頼した際の費用には、明確な決まりがありません。倒木しやすい環境であるか、作業自体は困難なものでないか、重機の有無など、さまざまな要素によって値段が変動します。そのため、いくらかかるのかということは、実際に見積もりをだしてみないことには分からないといえるでしょう。
ここで、見積りをだしてもらうことを検討している方は、まずは複数の会社に依頼することをおすすめします。伐採の費用は、上記にある要素に加え、業者によってもひらきがあります。そこで複数社から見積りをもらい比較することで、できる限りの費用を抑えることにつながるのです。
また、見積もりを比較することで、工事の適正金額やサービス内容を知ることもできます。明確な料金が決まっていない山の木の伐採は、業者選定の段階から慎重におこなう必要があるのです。
もし業者の選定で頭を悩ませてしまう場合は、ぜひ弊社のサービスをご利用ください。お電話いただくだけで、伐採作業ができる業者を派遣いたします。現地調査・お見積りは無料とさせていただきますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
山の木を切る際は、公共機関への申請をきちんとおこないましょう。申請をせずに勝手に作業を進めることは、法律で禁止されています。伐採は、申請をしてきちんと準備をおこない、正しい方法で作業を進めることが大切です。
申請や作業に対する不安が少しでもある方は、業者に依頼することもできます。業者であれば、正しい知識のもと、安全に作業を進めてくれることでしょう。
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