害獣、それは私たちの生活に害をもたらす哺乳動物のことです。代表的な害獣としてはハクビシン、アライグマ、イタチなどが有名です。害獣は自然豊かな郊外において、山林から麓の住宅地へ下りてきて悪さをする、というのが多くの人が抱く一般的なイメージだと思われますが、近年は山林のない都市部の住宅地にまで害獣が現れるようになっているのが実情です。害獣による被害は、彼らの餌となる農作物やゴミのある場所だけに留まらず、敷地内をはじめ、私たちが普段生活をしている家屋の床下や屋根裏にまで及びはじめています。害獣が私たちの生活に与える被害や影響について考えてみましょう。
害獣が人の生活と家屋に与える被害
【屋内での被害】
- 外壁で爪を研がれて建物が損傷した
- 僅かなドアや窓の隙間から侵入、台所などを荒らされた
- 劣化した壁に穴を開けて天井裏に巣を作られた
- 電気配線を切断され停電した
【屋外での被害】
- 畑やビニールハウスに侵入、農作物を荒らされた
- 家畜小屋に侵入、家畜を食べられた
- ペットが襲われ怪我をした
- 敷地内の至る所に脱糞された
郊外においては、棲み処となる巣を近くの山林に別途構えていることが多いため、主に屋外での被害が目立ちますが、都市部では活動拠点となる棲み処も確保しなければならず、それが私たちが暮らす家屋の床下や屋根裏といった場所になった結果、家屋に対する被害も大きくなる傾向があります。
では、私たちの生活環境にもたらされる害獣被害によってどんな影響があるのか、具体的なケースに分けてみてみましょう。
害獣が人の生活と家屋に与える被害
影響1:経済的な影響
屋内外に関係なく受ける影響が、「建物が傷つけられる」「農作物が荒らされる」といったものです。爪あとだらけの外壁は外観的に見栄えが悪く、塗装の直しなどが必要となりますし、壁に穴を開けられれば、外装材・断熱材ともに修理を余儀なくされます。また、農作物も傷が付けば販売したり食するのも出来なくなりますので、これらによる経済的な影響は非常に大きいものと言えます。天井裏にため糞をされれば重さで天井が抜け落ちることもあり、このような場合は修繕費の他に糞尿清掃の費用も負担になってきます。
影響2:衛生的な影響
被害として目には映りにくいものの、軽視出来ないものが衛生的な影響です。害獣が排泄する糞尿は、悪臭や汚れが残ってしまうばかりでなく、その糞尿に含まれていた細菌やウイルスが飛散し人体に入り込むことで、恐ろしい感染症やアレルギー症状を引き起こす恐れがあります。糞尿が天井裏など家の中で排泄されるようであれば、それがより蔓延し住人に感染しやすくなることは十分に考えられます。勿論、害獣を無闇に追い払おうとして噛まれて病気に感染する病気にも注意しなければなりません。
影響3:精神的・肉体的な影響
『害獣がいつ現れるかもしれない……』そんな不安や恐怖も大きな影響の一つと言えるでしょう。害獣の多くは夜行性。そのため、深夜に家の周りや屋根裏などを駆け回ったり、恐ろしい声で鳴いたりという害獣によって起きる「騒音」は精神的なストレスとなり、重症な場合、眠れないという睡眠障害を起こす恐れもあります。また、度重なる糞尿の清掃も体力的には厳しいもの。高齢者世帯では対応しきれない場合もあり負担は小さくありません。
害獣被害の影響を最小限に抑える
経済的な影響、衛生的な影響、肉体的な影響、どれ一つをとっても、私たちが安心して生活するには大きな影を落とすものです。相手が生き物である故、100%の予防は難しいかもしれませんが、
例えば、
- 自治体の助成を利用するなどして農作物・家畜小屋周りに防護柵を設置する
- 害獣が侵入可能な脆弱部分を補修し、害獣に強い建物構造とする
- 天井や床下に点検口を設けるなどして、害獣が住みやすい空間を作らない
- 定期的に家屋及び周辺の害獣忌避剤を散布する
- 糞尿被害に遭った場合は消毒・殺菌などの糞尿処理を徹底的に行う
などの対策を講じることが出来れば、その影響を最小限に抑えることは出来るかもしれません。
山林が近い場所にしかいないと思っていた害獣が、郊外、都市部関係なく、私たちの生活圏にまで現れるようになった今、害獣被害を被る恐れは誰にでもあると言えます。コウモリなどの小型害獣も含めれば、脅威はもう身近なものと考えた方がよいのかもしれません。
害獣被害によって受ける住環境への影響、心身への影響は想像以上に甚大なものです。私たちの大切な生活や住まいを守るために、自力で出来る限りの害獣対策を行うことは勿論ですが、より確実に予防をしたり、万が一害獣の被害に遭った場合でも速やかに駆除出来るよう、害獣駆除業者のアドバイスを取り入れることも有効かもしれません。