オーニング窓は風呂場や洗面所などによく使われている、複数のガラスを連ねた窓です。外観もおしゃれで、通気性にも優れているため改築や新築の際に設置を検討される方は多いと思います。
しかし、オーニング窓について詳しい知識がある方は少ないかもしれません。取り付けた後で「しまった。こんなはずじゃなかった。」と後悔しないように、今回はオーニング窓について詳しく解説してみました。
オーニング窓のメリット・デメリット、手入れのコツなどとともに、オーニング窓以外の窓についても紹介しています。オーニング窓の設置を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
オーニング窓ってどんな窓?
オーニング窓とは、複数の細長い窓ガラスを上下に連続して取り付け、それぞれの下部がハンドル操作によって外側へ開く構造の窓のことです。
同じような構造で「ルーバー窓」がありますが、こちらは複数の細長いガラスを少しずつ重なるように取り付けています。オーニング窓の窓ガラスは、1枚づつそれぞれに窓枠がついているので、気密性や断熱性がルーパー窓よりも高くなります。
オーニング窓はこんなメリットがあった!
オーニング窓の形状は、上下に連なる複数の窓ガラスが特徴的です。オーニング窓には、その形状を活かした複数のメリットがあります。
ハンドル操作で!好みの位置で開閉できる
オーニング窓は複数の窓が連なっていますが、それぞれを1枚ずつ開閉するのではなく、ハンドル操作によって一度に開閉することができます。また、好きな位置で止めることも可能なので、風の強い日や寒い日などは小さく開けるなど、状況に合わせて換気量を調節することができます。
プライバシーを守りながら通気性の確保ができる
オーニング窓の窓ガラスは設置場所に合わせて選ぶことができます。たとえば、プライバシーを守りたい場所に設置するときは、曇りガラスや摺りガラスなどの不透明なガラスを使いましょう。開く角度によって目隠しにもなるので、湿気が気になる風呂場やトイレでも、プライバシーを守りながら通気性を確保することができます。
機密性が高い
オーニング窓は、複数の窓が上下に連なって1つの窓を構成しています。そのため、複数の窓ガラスにはそれぞれ窓枠やサッシがあるので、ルーバー窓のように隙間ができることもなく気密性を確保することができます。
窓を開けっぱなしでも雨が入りづらい
オーニング窓の窓ガラスは、上部を支点にして下部だけが外側へ開くので雨が降り込みにくい構造です。そのため、多少の雨なら、窓を開けた状態でも部屋の中まで濡れるようなことはありません。部屋の湿気や臭いが気になるときも、天気に関わらず換気することが可能です。
オーニング窓にはどんなデメリットがあるの?
オーニング窓の特徴的な形状は、メリットであるとともにデメリットになる場合もあります。よく似た形状のルーバー窓との比較も含めて以下にあげてみました。
お手入れが大変
上下に複数連なる窓ガラスのそれぞれが、上部を支点にして下部だけが外側に開く構造は、お手入れの面から見るとデメリットになってしまいます。内側のガラス面は掃除できても、外側の面は部屋の中からは手が届かないからです。
ブラインドのように1枚ずつのガラスが細長いルーバー窓であれば全開状態にすれば室内から拭き掃除もできますが、オーニング窓では室内からは全体に手が届かないのでお手入れが大変です。
防犯の機能が十分でない
オーニング窓は連なった複数の窓ガラスをハンドル操作で一度に開閉することができます。こうした構造は便利である反面、防犯機能としては十分とは言い難い点がデメリットとなります。
しかし、オーニング窓は1枚1枚のガラスに窓枠やサッシが付いているため、ガラスを重ねただけのルーバー窓よりは防犯機能は優れています。
オーニング窓をきれいに保ちたい!自分でできるお手入方法
上記のように手軽なお手入れが難しいオーニング窓ですが、低い位置に設置されたものであれば、外側から掃除することができます。窓の外側は、車の排気ガスや風が運んだ土や泥などの汚れのほか、雨だれによる水垢なども付着します。放置すると固まって取れにくくなるだけでなくカビの原因にもなるので、定期的な掃除を心がけましょう。
雑巾・タオルを利用して掃除する
もっとも基本的な方法ですが、きれいに仕上げるにはちょっとしたコツがあります。まず用意してほしいのは雑巾でもタオルでも、水で湿らせたものと乾いたものの最低2枚です。使い方は、先に湿った雑巾で汚れを取り、そのすぐ後で乾いた雑巾で拭いていく、という手順です。
汚れを取るほうの湿った雑巾はお湯で湿らせるとさらに効果的です。ポイントは、汚れを拭いた後放置しないで、交互に乾いた雑巾を使うこと。乾燥してしまうと汚れが筋になってこびりつき、拭き取りにくくなります。
新聞紙を利用して掃除する
丸めた新聞紙をバケツの水に浸し、軽く絞ってから水拭きしましょう。新聞紙は細かな繊維からできているので汚れを吸着しやく、窓掃除にはオススメです。しかも、新聞紙のインクには油汚れを分解し、艶出しする働きもあります。
水拭きの後、今度は乾いた新聞紙を丸めて、円を描くように拭いていくとよりきれいになります。頑固な汚れは水拭きのときに中性洗剤を使うと汚れが落ちやすくなります。
スクイジーを利用して掃除をする
スクイジーとは車のワイパーのような形で、ガラスや壁などの表面に付着した水分を取り除く道具です。スクイジーは水分がないと力を発揮できないので、窓の表面が濡れた状態で使います。まず大きな汚れは、雑巾や新聞紙などで拭き掃除しておきましょう。
次に濡れ雑巾や霧吹きなどで窓の表面をしっかり濡らし、スクイジーを窓に当てます。このときスクイジーのゴムの部分を窓に対して水平に、地面に対しては平行に置いて窓ガラスと密着した状態にします。そのまま上下や左右にスライドさせ、水分とともに汚れを拭き取っていきます。
スクイジーは窓掃除のプロも使っており、上手に使えば手軽に窓をピカピカにすることができます。しかし表面を密着させて使うので、摺りガラスや凹凸のある窓ガラスでは使えません。
長い柄のワイパーを利用する
少し高い位置に設置された窓でも、長い柄が付いていれば届く場合もあります。室内のフローリング掃除に使うワイパーを活用すれば、先端に付けるものを変えることで窓掃除ができます。
まずは濡れ雑巾や濡れた新聞紙を付け、後から乾いたものに付け替えれば仕上げまでできます。十分な広さがなく、脚立が使えない場所にでも掃除ができて便利です。
磁石付きのクリーナーを利用する
外側からの掃除が難しい場合は、磁石付きのクリーナーを利用するのもいい方法です。磁石付きのクリーナーは磁石の力で窓の内側と外側で窓を挟み、一度に両面を拭き掃除することができます。この方法であれば室内から外側も掃除できるので便利です。
【オススメ5選】他にもこんな窓がある
通気性を確保したい場所に設置する窓として、オーニング窓のほかにも以下のような窓があります。
縦すべり出し窓
窓枠の上下に溝があり、その溝に沿って窓ガラスを押し出す形式の窓です。通常、ストーッパーが付いていますが、外すと90度開くので窓の外側にも手が届くので掃除も手軽にできます。効率的に換気もできて便利ですが、開いた状態のときに雨に降られてしまうと室内側の窓ガラスまで濡れてしまうので、注意が必要です。
横すべり出し窓
窓枠の左右に溝があり、縦すべり出し窓を横に置いた状態の窓です。構造は縦すべり出し窓と同じですが、こちらは窓ガラスが上部を起点として下部が外側へ開くので雨が降り込みにくい点が違っています。また、通気性は縦すべり出し窓のほうが効率的です。
上げ下げ窓
2枚の窓ガラスを上下にスライドさせる窓です。2枚とも動く場合と、1枚を固定する場合があります。外部からの侵入が難しく防犯性に優れますが、開閉しにくい場合があります。また、開く範囲が限られているので、室内から外側の窓は掃除できません。
FIX窓
FIX窓とは、一般的に「はめ殺し」と呼ばれる一枚の窓ガラスを固定した窓です。そのため、FIX窓は通気性の確保はできませんが、通路や風呂、トイレなど暗くなりがちな場所の明り取りとしてオススメです。
ルーバー窓
オーニング窓のように複数の窓ガラスを連ねた窓ですが、大きな違いはその連ね方です。オーニング窓の窓ガラスがそれぞれ窓枠やサッシが付いているのに対して、ルーバー窓は複数の横に細長いガラスを複数枚少しずつ重ねて1つの窓枠にはめ込んであります。
そのため、オーニング窓と比較して断熱性や気密性が劣ります。また、防犯機能にも心配があるので、ルーバー窓を取り付ける場合は面格子などと組み合わせて設置しましょう。
オーニング窓の交換・取付・修理ならプロにお任せ!
オーニング窓は現地で1枚ずつ組み立てる窓ではなく、既に連なった状態の完成品として出荷されます。通常の窓からオーニング窓へ交換したり、新しく取り付ける場合はどのようにしたらいいのでしょうか。
オーニング窓に変更することはできるの?
オーニング窓は、既存の窓から変更することができます。既存の窓枠の上に新しい窓を取り付ける方法であれば、窓枠全体を取り替える方法より費用を抑えて設置することができます。ただし、この方法は新しい窓が元の窓より小さくなるのがデメリットです。採光の状態や通気性を最大限に生かしたい場合は、窓枠全体を取り替える工事のほうが必要です。
また、オーニング窓の窓ガラスは部屋の用途や状態に合わせて選ぶことができます。摺りガラスや複層ガラスなどのほか、遮熱対策のガラスを使うことも可能です。
プロに依頼するメリットとは
オーニング窓は通常の窓と比べて構造が複雑です。また、着脱時に落下しやすいので、とくに高い位置への設置では危険が伴うこともあります。そのため、オーニング窓の交換・修理したり新しく取り付けたりする場合はプロに依頼しましょう。
そのほか、プロに依頼するメリットは、たとえば浴室などに設置する場合、防水用のコーキングが必要な場合もあります。そのようなときにもプロの業者なら対応することができます。
プロに依頼したい!費用の相場とは?
オーニング窓を設置するときの費用は、取り付けるガラスの種類や設置する位置によって異なります。一般的なガラスを使って、オーニング窓のガラス交換する場合の目安は、窓ガラス1枚につき15,000~35,000円程度といわれています。
しかし、手の届かないような高い位置の窓のときは足場を組んで設置するため、その分工事費用は高くなります。費用は依頼する業者によっても異なるので、必ず2~3社から見積もりを取りましょう。
まとめ
オーニング窓は複数枚の窓を連ねることによって、プライバシーを守りながら通気性の確保ができる便利な窓です。しかも、オーニング窓は複数の窓ガラス1枚1枚に窓枠やサッシが付いているので、よく似た構造のルーバー窓に比べて気密性や断熱性に優れています。
しかし防犯機能においては、若干オーニング窓のほうが優れているとはいえ、どちらも防犯機能が高いとはいえません。また、それぞれの窓が外側に開くため、室内から手軽に拭き掃除することができません。掃除をする際は、磁石付きクリーナーなど便利な道具を上手に利用しましょう。
採光や通気性を考えると、オーニング窓の設置はとても有効な手段です。オーニング窓は、新しく設置するだけでなく既存の窓から変更することもできるので、設置を検討されている方はプロの業者へ相談してみましょう。その場合、業者によって費用が違うことがあるので必ず2~3社から見積もりを取ることをおすすめします。
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