ナナカマドは、バラ科の高木です。春には緑の葉をつけ、春から夏にかけて白い花を咲かせ、秋には葉が紅葉し、冬には落葉します。季節ごとの変化に富んでいるため、人気の高い樹木のひとつです。大きく成長することから、北海道などでは街路樹としても利用されています。
また、秋から冬にかけて赤いきれいな実をつけるのも魅力的です。冬にはナナカマドに成った実を求めてやってくる野鳥を楽しむこともできます。
このコラムでは、そんなナナカマドの剪定時期や基本的な育成方法についてご紹介していきます。ナナカマドのお手入れでお悩みの方は、ぜひとも参考にしてみてください。
目次
ナナカマドの剪定時期と方法
多くの樹木や植木にとって、枝葉を整える剪定は欠かせない作業です。この章では、ナナカマドの剪定時期や方法について解説していきます。
ナナカマド剪定は必要?
ナナカマドは、基本的に剪定の必要がありません。しかし、5m以上に育つ木であるため、成長具合によっては庭などに入り込む日を遮ってしまうこともあります。枝葉が邪魔だと感じる場合にのみ、剪定をおこなうようにしましょう。
ナナカマドの剪定方法
ナナカマドは自然と樹形がきれいに育つため、不用意に枝葉を切り落とすと逆に形が崩れて景観を損ねてしまいかねません。また、成長が遅い木なので一度にばっさり剪定をしてしまうと、元の形に戻るまでに長い時間を要してしまいます。
そのため、剪定時は飛び出している枝葉を剪定ばさみなどで軽く切り落とし、形を整える程度にしておきましょう。枝葉が混み入って風通しが悪くなっている場所があったら、そこをすいてあげてください。剪定をおこなう時期は、樹木への負担が少ない落葉期である2~3月におこなうのがおすすめです。
また、ナナカマドは大きく育つ木なので、剪定をする際は脚立などが必要になってきます。脚立はなるべく平らな地面に置きましょう。脚立から身を乗り出しすぎると落下するおそれがあるため作業中は注意してください。
剪定後は切り口に癒合剤を塗ろう!
樹木や植木の枝葉を切り落とすと、切り口から雑菌が侵入することがあります。雑菌が入り込んでしまうと、枝葉の成長が悪くなったり、最悪、木が枯れてしまったりしかねません。これは、ナナカマドにも同様のことがいえます。
そのため、ナナカマドの剪定後は、切り口に癒合剤を塗りましょう。癒合剤とは人間に使う道具でいうところの液体バンソウコウのようなもので、切り口をコーティングすることにより雑菌の侵入を防いでくれます。
高くなったナナカマドの剪定はプロに任せると安心
ナナカマドは大きく育つ木なので、自力で剪定をするとなると必然的に高所での作業になりやすく、転落の危険がともないます。また、木が大きいと全体像をつかみにくく、きれいに剪定をするのは難易度が高いです。そのため、高くなったナナカマドの剪定はなるべくプロに任せるようにしましょう。
樹木の剪定料金は多くの場合、木の高さによって費用が異なります。ナナカマドは5~10mまで成長するため、プロに剪定を依頼する場合の費用は一本あたり1万~2万円が目安です。また、業者によってはゴミの処分料や出張料金などもかかってくるため、事前に見積りを取ってもらい確認しましょう。
ナナカマドを育てる方法
ナナカマドは四季の変化に富んでいるため、育てるのがとてもたのしい樹木です。この章では、ナナカマドの特徴や育て方についてご紹介していきます。
ナナカマドの特徴
ナナカマドは、白い花や紅葉、赤い実が特徴的な樹木です。漢字では「七竃」と書き、「七回竃(カマド)に入れても燃え残る」という逸話が、名前の由来とされています。そのため、火難を避ける縁起物として扱われることもあるようです。
しかし、実際には燃えにくいということではなく、良質な炭になる木材として利用されています。このことから「七日間竈で焼いて炭にする」ということが、名前の由来だという説もあるようです。
また寒さにかなり強く、雪の降る土地でもしっかりと成長します。その反面、暑い土地では育ちがあまりよくなく、葉が紅葉しないこともあるようです。
成長速度は遅いですが、5m以上に成長します。しかし、ナンキンナナカマドやホザキナナカマドなどの品種は、1~3m程度までしか成長しません。
水やりや肥料は必要?
ナナカマドはとてもお手入れが楽な植物で、頻繁な水やりや肥料を必要としません。とくに、肥料を与えすぎると花が咲かなくなったり、実がつかなくなったりします。
植物が花を咲かせたり実を作ったりするのは、子孫を残すためです。そのため、栄養の多い土地で育っていると、まだ子孫を残さなくてもよいと植物が判断してしまい、花も実もならなくなってしまうのです。
土が乾燥している場合や土地が痩せている場合に、軽く水をやったり堆肥や腐葉土を与えたりする程度に抑えておきましょう。
ナナカマドは種で増やせる
ナナカマドは秋頃に実をつけるため、果肉部分を取り除けば種を採取することができます。種は春にまくようにしましょう。ここまでお話してきたとおり、ナナカマドはとても大きく育つため、成長後に日を遮ってしまたり、邪魔になったりしない場所に種をまきましょう。
病害虫の被害に注意しよう!
ナナカマドは寒冷地の植物なので、本来は病害虫が発生しにくい樹木です。しかし、暖地でナナカマドを育てる場合は、しっかりと病害虫のケアをする必要があります。ナナカマドを育てる場合は、うどんこ病やアブラムシ、カミキリムシなどに気をつけましょう。
病害虫のケアをする場合は、病害虫ごとに対処方法が異なってきます。対処方法を間違えるとトラブルが解決できなかったり、木が枯れてしまったりするおそれがあります。病害虫の正しい対処法が分からないというときは、プロに相談してみてください。
ナナカマドの花や実の特徴
白い花や赤い実は、ナナカマドの大きな魅力です。この章では花が咲く時期や、実がつく時期についてご紹介します。また、ナナカマドの実が食べられるかどうかについても解説します。
ナナカマドの開花時期
ナナカマドは、育てる土地の気温によっても異なりますが、5~7月に房状の白い花を咲かせます。この時期は、病害虫の発生しやすい時期でもあるため、花を散らせてしまわないように消毒薬をまくなどのケアをしましょう。
ナナカマドは秋に実をつける
ナナカマドは、9~11月頃に房状の赤い実をつけます。ナナカマドの実は、11月を過ぎても腐ることがなく地面に落ちないため、冬の間も赤い実を楽しむことができます。
ナナカマドの実は食べてもよいの?
ナナカマドの実はトマトのようなきれいな赤色であるため、とても美味しそうに見えます。また、野鳥もナナカマドの実をついばむため、食べられると思う方もいるかもしれません。
しかし、ナナカマドの実には微量の毒性があり苦みも強いです。そのため、食べると体調不良を引き起こすおそれがあります。とくに小さなお子様のいるご家庭の場合は、お子様が誤って実を食べてしまわないように注意しましょう。
一方で、熟したナナカマドの実は、果肉が凍ると毒が抜けるという変わった特性があります。そのため、毒抜き処理がおこなわれたナナカマドの果実酒やジャムなどもあるようです。このほかにも、ヨーロッパなどでは実を乾燥させてピンクペッパーというスパイスとして利用されています。
ナナカマドの白い花や赤い実はとてもきれいなものです。きれいな花や実をつけてもらえるように、しっかりとナナカマドのお世話をしてあげましょう。ナナカマドに花や実がつかないという場合は、プロに相談してみれば解決するかもしれません。
どの業者に相談をすればいいのか分からないという場合は、剪定110番の利用をおすすめします。剪定110番には多くの加盟店が参加しているため、数多くある業者の中からご要望にあった業者をご紹介できます。24時間質問相談を受け付けているため、業者選びでお悩みの際はぜひとも活用してみてください。
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