松を育てるうえで大切で欠かすことができない作業に、もみあげがあります。もみあげを行うことで、松の美観や健康を維持することができるのです。
反対に、適切なもみあげを行わないと病害虫が発生しやすくなってしまい、最悪の場合は枯れてしまうおそれがあります。
そこでこの記事では、松の剪定のもみあげを行う時期や手順についてお伝えします。この記事を最後までお読みいただくことで、松をより長く楽しむことができるようになるでしょう。
松の剪定のもみあげについて知ろう
松のお手入れのひとつに、もみあげという剪定方法があります。松の剪定のもみあげについて聞いたことはあっても、具体的な方法などについてはあまり知らないという方も多いのではないでしょうか。そこでここでは、もみあげとはどのような剪定方法なのか概要についてお伝えします。
もみあげって何?
もみあげとは松の剪定方法のひとつで、夏に伸びた松の枝を減らしたり、古い葉を手でむしったりすることです。松の枝葉の量を減らすことで、植物の生育に欠かせない日光を、松にまんべんなく当てることができるようになります。
また、枝葉が多いと通気性が悪く、ジメジメとした環境が好きな病害虫が発生しやすくなります。もみあげを行うことで通気性がよくなり、病害虫の発生を防ぐことができるのです。このように、松を健康的に育てるために大切なお手入れがもみあげです。
もみあげを行う時期はいつ?
もみあげは夏に伸びた枝葉の量を減らす作業のため、秋冬のお手入れになります。そのため、10月~1月ごろがもみあげを行う時期です。
しかし、早い時期のほうが、葉が硬くならずに作業がしやすくなります。反対に、作業時期が冬に入ってしまうと葉が硬くなり作業がしづらくなってしまうのです。そのため、もみあげは、できれば秋に行うのがよいでしょう。
もみあげは全ての松で行なうの?
松には、黒松、赤松、五葉松など、さまざまな種類があります。お手入れをしていないと枝葉の量は、松の種類に関係なく増えてしまいます。そのため、もみあげは松の種類に関係なく全ての松で行うとよいでしょう。また、地植えに限らず、盆栽で育てている松の場合も同様です。
もみあげをやってみよう!
先述のとおり、松の健康を維持するために大切なお手入れのひとつが、もみあげです。ここでは、松の剪定のもみあげを行うために必要な道具や実施手順についてお伝えします。
準備するもの
もみあげを実施する前に、剪定に適した道具をそろえましょう。道具をきちんとそろえたうえで作業に取りかかれば、作業効率や作業の安全性を高めることができます。
- 剪定バサミ:松の枝を切り落として、樹形を整えたり通気性をよくしたりするために必要です
- 剪定ノコギリ:剪定バサミでは切ることができない太い枝を切る場合に役立ちます
- 植木バサミ:枝先やこまかい枝を切ったり、樹形を微調整したりするために使うとよいでしょう
- 脚立;高い位置の枝を切るためには必須です
- 作業服:松は、切り込んだ際に松ヤニと呼ばれる樹液を出します。この松ヤニが衣服につくと洗濯しても落ちないため、汚れてもよい服を着て作業を行いましょう
- 軍手:葉を手でむしり取る際、素手で触ると痛いので軍手があると作業がしやすくなります
もみあげの手順とポイント
もみあげとは、松の枝葉の量を減らすこととお伝えしました。しかし、詳しくお伝えすると、松の枝の量を減らすことを「透かし剪定」、葉の量を減らすことを「もみあげ」、と区別することができます。また、もみあげは、透かし剪定を行った後の枝の量が少なくなった段階に行うとよいでしょう。
そのため、ここでは透かし剪定を行った後の段階を前提として、もみあげの実施手順についてお伝えします。透かし剪定の方法については、後述の【松のお手入れはもみあげだけじゃない!】の「透かし剪定」で詳しくご紹介いたします。
もみあげは、まず松の枝の古い葉っぱを手でむしり取るところから始まります。ただし、葉をすべて取り除くことがないように気をつけましょう。枝の先端の対になった葉が、7~8組残るようにむしり取るとよいです。このとき、松の下から見上げることで、葉の密集具合を確認することができます。もみあげは、作業の合間に葉の密集具合を確認しながら行うとよいでしょう。
もみあげは大変な作業?
松の美観や健康を維持するためには、適切にもみあげを行うことが大切です。ここで、もみあげは手で葉をむしり取るだけの作業のため、簡単そうだと思われた方も多いのではないでしょうか。しかし、松にはこまかい枝が多いです。さらに、一本一本の枝には葉がたくさんついているため、思いのほか時間がかかります。
また、もみあげを行う前には透かし剪定を行って樹形を整えたり、風とおしをよくしておく必要があります。松の透かし剪定からもみあげまでをひとりで行おうと考えた場合、大変な作業といえるでしょう。
もみあげや透かし剪定を自分で行うのは大変だと感じた方は、一度業者に相談されてみてはいかがでしょうか。業者によっては、松の透かし剪定からもみあげまでを一貫して請け負ってくれるところがあります。
弊社では、松の剪定を行うことができる業者を複数社ご紹介することができます。24時間365日いつでもお電話にてご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
松のお手入れはもみあげだけじゃない!
松の剪定のもみあげ以外にも、松を健康的に育てるために大切なポイントがあります。ここでは、松の育て方や透かし剪定の方法をお伝えします。
水や肥料をあげる
松は、しっかりと根を張るまでに2年ほどかかります。根が張るまでの2年間は、根の吸水力が弱いため、土が乾かないようにこまめに水やりを行うとよいでしょう。一方、2年を経過した松の水やりは、地植えにしている場合と鉢植えにしている場合とで異なります。
地植えにしている場合、水やりの必要はなく降雨だけで十分です。鉢植えにしている場合は、土の表面が乾いてから水を与えるとよいでしょう。
また、松は痩せた土地でも育つほど生命力が高い植物です。そのため、年に一回程度の施肥で充分です。2月~3月ころに緩効性肥料か有機肥料を与えるだけでよいでしょう。
病気や害虫対策をする
以下では、松の代表的な病気や害虫についてお伝えします。
【松葉枯れ病】
「ペスタロチア菌」という菌が松の葉に繁殖し、葉が枯れてしまう病気です。この菌は放っておくと繁殖を続け、松全体を枯らしてしまうことがあります。そのため、一部枯れている葉を見つけた場合、松葉枯れ病を疑いましょう。
松葉枯れ病にかかった葉は、早急に取り除いて焼却処分します。また、菌が繁殖しないように、松全体の消毒も行っておきましょう。
【マツケムシ】
松に大量に発生する害虫として知られているのが、マツケムシです。マツケムシは、松の葉を食害します。この食害を放っておくと、松の葉がなくなってしまい美観を損ねてしまうでしょう。
マツケムシのおもな発生時期は、4月~5月と10月~11月ころです。見つけたマツケムシは、直接手で捕まえて駆除するか、殺虫剤を使用して駆除するとよいでしょう。
緑摘み
おもに松の美観を整えることを目的に、松の新芽を摘み取る作業です。適切に緑摘みを行うことで、引きしまった樹形を維持することができます。
松の枝を見てみて、枝に芽だけ生えていて葉が生えていない場合、その芽は新芽だと判断できます。この新芽が伸びてくると樹形が崩れてしまうため、摘み取るとよいのです。
透かし剪定
透かし剪定は、もみあげの前に行うとよい作業です。透かし剪定は、枝の量を減らす作業になり、もみあげの作業の手間を軽減することにもつながります。
透かし剪定は、剪定バサミなどを使って、枝の量が多い部分や樹形を乱している枝を中心に剪定します。また、松の下のほうにある葉にも日光が当たるよう、枝を切り落として調節するとよいでしょう。
松のお手入れが難しければプロに相談しよう!
松のお手入れには、健康を維持するために大切な透かし剪定やもみあげ、美観を維持するための緑摘みなどがあります。目的に沿った方法を選択して、実施することが大切です。
このように、松のお手入れ方法は複数あり注意ポイントも多いため、難しく思われる方も多いかもしれません。
そういった場合は、松のお手入れを業者に依頼することを検討されてみてはいかがでしょうか。業者に依頼することで、面倒に感じる松のお手入れを任せることができます。
弊社では、24時間365日いつでもお電話にてご相談を承っております。松のお手入れのことでお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
松の剪定のもみあげとは、枝葉の量を減らして松の美観や健康を維持するために大切なお手入れのことです。もみあげを行って風とおしをよくしておけば、病害虫の発生を防ぐことにもつながります。
もみあげは、葉をむしり取るだけの作業になりますので、簡単だと思われる方も多いかもしれませんが、松はこまかな枝が多いため、大変な作業となります。また、もみあげは数あるお手入れのうちのひとつに過ぎないため、もみあげだけを行っていればよいわけではないのです。
もみあげを行う前の透かし剪定や、樹形を整えるための緑摘みも大切で欠かせない作業になります。これらの作業をすべて自分で行うのが不安だという方は、業者への依頼を検討されてみてはいかがでしょうか。
業者によっては、松の美観や健康を維持するために大切な作業を一貫して請け負ってくれるところもあります。業者をお探しの際は、ぜひ弊社のサービスをご利用ください。
【松の剪定・お手入れに関する記事はこちら】
■松の剪定方法|自分でおこなうための時期とお手入れ法のチェック
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