庭木の手入れとして剪定は必要な作業ですが、じつはその後の処理も大切なのです。それが、剪定後の切り口を癒合剤で保護すること。本記事では、そんな庭木の剪定後の傷口の処理について、癒合剤の効果やおすすめ商品をご紹介します。
なお、そもそも剪定では切り口を適切にすることが大切です。このコツに関しても触れていきますが、知識や技術がないと適切におこなえないことも。そんなときは、当サイトの剪定110番をご利用ください。1,500という業者のなかから、状況に合わせたプロをご紹介することができます。お問い合わせはお電話にていつでも伺っているので、お気軽にご連絡ください。
目次
1.庭木剪定での切り口は癒合剤での保護が必要
庭木においては、剪定後の切り口の保護をおこなうことは大切です。ここでは早速、剪定後に切り口、つまり傷口を放置するリスクと、癒合剤を使用する効果について見ていきましょう。
傷口放置のリスクと癒合剤使用の効果
剪定で枝を切られたその箇所は、樹木にとって傷口です。この傷口を放置しておくと、庭木にさまざまな悪影響を及ぼすおそれがあります。その代表的な例が、以下のようなものです。
雑菌・害虫の侵入
水分・栄養が流れ出る
これらによって、樹木自体が枯れたり腐ったりしてしまうこともあります。これを防ぐためにおこなうのが、剪定後の癒合剤の使用なのです。
なお、そもそも癒合剤とは樹木の切り口、つまり傷口を治す薬ではありません。切り口の保護と、樹木が本来持っている自身で回復する治癒力を促進するものです。そして、そんな癒合剤の効果は以下のようなものになります。
水分・栄養が流れ出ることを防ぐ
カルス形成を補助する
傷がつくのを防ぐ
当然切り口を保護するためのものであるため、外的要因によって傷がつくことを防ぐことができます。また、雑菌や害虫などの侵入を防いだり、水分や栄養が外に流れ出ることを防いだりする効果も。
そして、樹木が切り口、つまり傷口を治そうとカルスを形成する手助けにもなります。カルスとは、人間でいうカサブタのようなもので、樹木の切り口の周囲の細胞が傷を治そうする組織のことです。これを癒合剤が補助することで、切られた傷口を早く治すことができます。
このように、剪定後に癒合剤を使用することは非常に大切なのです。庭木を健康に維持するためにも、剪定で枝を切るという手入れだけでなく、その後の切り口の処理もしっかりとおこなうようにしましょう。
代用することも可能だが…
おすすめの癒合剤は以下で紹介しますが、じつは日用品で代用するという手もあります。そんなアイテムが、以下のようなものです。
【木工用ボンド】
癒合剤を固めるために使用されている酢酸ビニール樹脂が成分として含まれているため、樹木の切り口を覆って守ることが可能とされている。
【墨汁】
ニカワという防腐や除菌効果のある成分が含まれていることから、癒合剤の代用品になるとされている。
【アルミホイル・ビニール袋】
上記のような木工用ボンドや墨汁と併用して使うことで、しっかりと傷口を塞ぐことができ、剪定後の切り口の保護の役割を担えるとされている。
なお、上記のようなものは当然癒合剤として作られたものではありません。
そのため、木工用ボンドは雨で流れてしまったり、墨汁においては切り口を保護する効果はほとんどなく、樹木を黒くして生育に悪影響を及ぼしたりしてしまうことも。さらに、アルミホイルなどに関しては、植物が好まない湿気のある環境にしてしまい、逆に害虫の温床となることもあるのです。
このように、これらはあくまで代用品なので、緊急時に応急処置として使うという程度にとどめておくことがよいといえるでしょう。
2.おすすめ癒合剤商品4選
ここでは、剪定後の癒合剤としておすすめの商品をご紹介します。簡単に特徴も解説するので、ぜひ参考にしてくださいね。
トップジンMペースト
参考価格(税込) | 2,074円 |
容量 | 1kg |
トップジンMペーストは、粘着性がある明るめのオレンジ色の癒合剤です。雨水などの傷がつく外的要因を防ぐことはもちろん、殺菌性のある保護膜がすばやく形成され、雑菌からも切り口を防ぐことが可能です。多くの果樹に適しています。
新キヨナール
参考価格(税込) | 1,443円 |
容量 | 100g |
新キヨナールは、緑色で粘り気のある癒合剤です。この商品は、なかなか乾きにくいという特徴があります。これにより癒合剤自体が乾くことによるひび割れを防ぐことができるのです。カルスの形成の補助もしっかりとしてくれ、盆栽の剪定などにおいても活躍してくれます。
カルスメイト
参考価格(税込) | 2,639円 |
容量 | 1kg |
カルスメイトは、茶褐色のクリーム状であることに加え塗布後すぐ乾くため、植物の見た目に配慮したいという場合におすすめの癒合剤です。なお、トップジンMペーストのように殺菌作用はないため、あくまでも保護剤であるという点は頭に入れておきましょう。
カットパスター
参考価格(税込) | 990円 |
容量 | 190g |
カットパスターは軟膏タイプの癒合剤です。塗布してから1年以上と長く剪定後の切り口を保護してくれます。環境にも人体にも害のある成分を使っておらず、安心して利用することができる点が魅力です。
3.癒合剤の使い方と注意点
おすすめの癒合剤を紹介したところで、ここでは簡単に使い方をご紹介します。また、癒合剤は使用する上では注意点があるので、あわせて確認しておきましょう。
使い方
癒合剤の使い方は、いたって簡単です。
基本的にはヘラなどに癒合剤をとって、剪定後の切り口にまんべんなく塗るだけとなります。なお、切り口の縁までしっかりと塗って、雑菌や害虫の侵入などを防げるようにしましょう。
癒合剤を塗る作業をおこなうときは、汚れてもよい服装でおこなうことがおすすめです。あわせて軍手なども用意してからおこなうようにしましょう。
なお、癒合剤の細かい使い方は商品ごとに異なる場合があるため、使用前にしっかりと確認するようにしてください。
注意点
癒合剤を塗り終わったら、しばらくの間はそのまま置いておきましょう。しかし、長期間そのまま剪定後の切り口が癒合剤に覆われている状態でいることは、あまりよくないとされています。
というのも、剪定後の切り口を癒合する上で障害となることがあるため。そのため、1か月ほどの時間が経過して、雑菌などが侵入しやすい時期を超えたら癒合剤は取り除くようにしましょう。
4.剪定では切り口を適切にすることが大切
剪定後は、癒合剤で傷口をしっかり保護することが樹木の健康のためには大切です。しかし、じつは剪定時の枝を切る際の切り口によっても樹木の健康は左右されるのです。そこでここで、剪定での切り口はどのようなものが適切なのかを確認しましょう。
保護帯を傷つけないように
結論からいうと、剪定をする際には、枝の付け根ぎりぎりのところで切ってはいけません。というのも、枝の付け根には保護帯というものがあるため。
この保護帯というものは、雑菌などが枝から樹木の幹へ侵入するのを防ぐ、いわば壁のようなものです。そのため、この保護帯ごと枝を剪定してしまえば、それまで守っていた壁がなくなってしまい、樹木の幹へと雑菌が侵入してしまうのです。その結果、樹木が枯れたり腐ったりしてしまうことも。
そのため、剪定をする際には、この保護帯を残した切り口にすることが大切となります。
とはいえ、この保護帯というものは、当然外から見てもどこにあるのかはわかりません。しかし、目印となるものはあります。それが、枝の付け根あたりにあるブランチバークリッジとブランチカラーと呼ばれるもの。
ブランチバークリッジとは、樹木の幹と枝の間にできる皴のこと。一方ブランチカラーとは、同じく樹木の幹と枝の間にできる膨らんだ部分のことです。
これらを残すように剪定することで、保護帯を残して枝を切ることができます。そうすることで、雑菌などが樹木の幹へと侵入することを防ぎ、健康を維持できることにつながるのです。
詳しくは剪定についてまとめた記事をご覧ください。
難しい場合は剪定110番でプロに依頼しよう
剪定での切り口が、どのようなものが適切かはわかっていただけたのではないでしょうか。ご自身で剪定をおこなうという場合は、前述の内容をぜひ参考にしてくださいね。
とはいえ、保護帯を残すような切り口にするといってもなかなか初心者にとっては難しく感じる方もいるでしょう。ましてや、剪定をおこなう上では気をつけなければならないことはそれだけではありません。
そもそも樹木の種類に応じた剪定方法や適切な時期というものがあったり、切るべき枝、いわゆる不要枝というものがあったり、などなど。
このように剪定をおこなう上では、正しい樹木の知識や剪定技術が必要なのです。これらを十分に知っておかないと、大切な庭木が枯れたり腐ったりしてしまうことにもなりかねません。
そこでおすすめなのが、当サイトの剪定110番でプロの業者に剪定を依頼するという方法です。剪定110番では、1,500以上という業者のなかからご依頼内容にぴったりのプロをご紹介することができます。
そのため、お客様の大切な庭木に最適な方法で剪定をすることが可能です。また、ただ単に剪定で枝を切るだけでなく、その後のケアなどはもちろん、草刈りや庭造りといったことにも対応できます。
剪定110番へのお問い合わせは24時間365日いつでも受け付けておりますので、お庭に関するお困りごとがあればぜひ一度ご連絡ください。
5.癒合剤を使用した後の庭木管理もしっかりおこなおう
剪定後に癒合剤で切り口の保護をおこなった後も、しっかりと庭木の手入れをおこなうことが大切です。傷口をケアしても、通常の手入れを怠れば樹木が弱ってしまうこともあります。なお、剪定後の手入れにはいくつか注意しなければならない点があるため、ここでしっかり確認しておいてくださいね。
置き場所
剪定で枝を切られた庭木は、少なからずダメージを受けています。そのため、日陰などに置くのではなく、日当たりのよい環境に置いてあげるようにしましょう。
日当たりのよい場所に置いてあげることで、植物は光合成をして栄養を作り出すことができます。これにより、剪定後の切り口の回復にも栄養を回すことができるようになるでしょう。
水やり・肥料
剪定後はどうしても枝を切ったこともあって、水をたくさんあげようと考える方が多いようです。当然、水やりをすること自体は悪いことではありません。しかし、ここで注意しなければならないことがひとつ。
それは、水をあげすぎないようにする、ということ。
植物は水をあげすぎてしまうと土のなかでたまってしまい、根腐れを起こしてしまうことがあるのです。そのため水やりは、土の表面が乾いてから与える、というペースでおこなうようにしましょう。
なお、与えすぎに注意が必要なのは水やりだけではありません。肥料に関しても同様のことがいえます。栄養過多になってしまうと、肥料焼けといって植物が水を吸えなくなってしまうこともあるのです。
また、偏った肥料の与え方にも注意が必要です。植物における肥料で必要とされる栄養はいくつかありますが、主に窒素とリン酸とカリの3種類となります。これらは生長の段階ごとに必要とするものが異なるので、そのときにあわせたものを与えるようにしましょう。
ちなみに肥料には、緩効性となっている有機質肥料と即効性のある無機質肥料があります。剪定後はダメージを受けているということもあるため、即効性肥料を与えるのがおすすめです。
6.まとめ
庭木の剪定後の切り口を癒合剤で保護することは、樹木の健康のためにも大切な作業です。使い方や注意点、そしてご紹介した商品を利用してぜひ手入れをしてみてください。
また、そもそも庭木の健康のために、剪定で枝を切る際に切り口を工夫するというコツもあります。本記事で紹介したポイントを押さえて実践してみましょう。
なお、この適切な切り口にすることに加え、庭木の剪定では樹木の知識や技術が必要です。もし自分でおこなうことに不安を感じている方は、当サイトの剪定110番をぜひご利用ください。