サルスベリの剪定をしようと思っても、
「いつ剪定していいのかわからない」
「どの枝を切ったらいいかわからない」
「枝を切りすぎて木を枯らしたくない」
などとお悩みではありませんか?
サルスベリの木はお手入れに手がかからず、初心者でも育てやすい植物です。剪定も自分でおこなうことが可能です。
しかし、時期を間違えたり、間違った剪定方法で枝を切ると、咲く花が減ったり、木が枯れてしまったりするおそれもあります。サルスベリの木を元気に育てて、きれいな花を咲かせるためには、正しい方法で剪定をおこなうことが肝心です。
このコラムでは、サルスベリの剪定について詳しくお伝えしています。
サルスベリを正しい時期に正しく剪定し、きれいな花を咲かせることができるようになります。
サルスベリの剪定は年に2回
サルスベリの剪定のタイミングは、夏と冬の年に2回です。年に2回剪定をすることを「2度切り」といいます。
夏の剪定と冬の剪定では、剪定の目的が異なります。ここでは、サルスベリの剪定時期について、詳しく解説していきます。
夏剪定は7~8月頃
サルスベリの夏剪定は7~8月頃におこないましょう。サルスベリは7~9月にかけて、次々と花が咲いていく植物です。早くに花が咲いた枝を軽く切り詰め、2度咲きを楽しむのが夏剪定の目的です。
サルスベリは5~6月に枝の先端に花芽がつき、その年の夏に開花します。そのため早めに剪定すると花芽を切り落としてしまうおそれがあるので注意しましょう。
冬剪定は12~3月頃
サルスベリの冬剪定は12~3月頃におこないましょう。この時期はサルスベリが休眠期に入るため、剪定による木の負担を小さくできます。冬には葉芽しかついていないので、夏と違い花芽を切り落とし心配はありません。
冬の剪定は、全体の樹形を整えることが目的です。サルスベリは紅葉も楽しめる植物なので、紅葉を楽しみたい場合は葉が全て落ちてから剪定をおこないましょう。
夏と冬で剪定方法が変わる
夏の剪定と冬の剪定では、剪定の方法が異なります。剪定はサルスベリを健康に育てるためには必要な作業ですが、やり方を間違えると咲く花の数が減ってしまったり、枯れてしまったりするおそれがあります。
ここでは、それぞれの剪定方法について詳しくお伝えします。正しい剪定方法をしっかりと確認していきましょう。
夏の剪定は軽めにおこなう
夏の剪定は、終わりかけた花の枝を軽く切り詰める剪定をおこないましょう。枝を切り詰めることで、脇芽が出てきて新しい枝にもう1度花が咲きます。切り詰めることで枝の数も増えるため、花の数も増えます。
冬の剪定は強めにしてもOK
冬はサルスベリが落葉して休眠期に入るため、強めの剪定をしても問題ありません。次の開花で大きな花房をつけたい場合は、枝の付け根まで強く剪定しましょう。サルスベリは春から伸びる新しい枝に花をつけるため、冬の剪定が次の開花に影響を与えません。
小さな花房をたくさんつけたい場合には、枝の途中で弱く剪定しましょう。
サルスベリの仕立て方は2種類
サルスベリの仕立て方には、サルスベリのうねるような幹を生かした自然樹形で仕立てる方法と、あえてこぶを作るこぶ仕立ての2種類があります。
それぞれの仕立て方について詳しくお伝えしていきます。
自然樹形で仕立てる方法
サルスベリの自然樹形は、うねるように曲がった幹を生かした、柔らかい印象になります。
自然樹形で仕立てたい場合は、新しい枝を15~20cmほど残して剪定をします。枯れている枝やぶつかり合っている枝などを間引いていきましょう。
切るべき枝
サルスベリの剪定でどの枝を切ったらわからない、なんてこともありますよね。
基本的に自然な枝の伸び方に逆らっている枝や、樹形を乱している枝を切っていきましょう。そのような枝のことを不要枝といいます。主な不要枝を6つご紹介します。
不要枝の種類 | 特徴 |
並行枝 | 他の枝と平行になって伸びている枝 |
内向き枝 | 幹に向かって内側に伸びる枝 |
絡み枝 | 他の枝に絡まるように伸びている枝 |
徒長枝(とちょうし) | 上に向かって勢いよく伸びる枝 |
ひこばえ | 木の根元から出てくる枝 |
胴吹き枝 | 幹から直接出てくる枝 |
こぶ仕立ての剪定
サルスベリは同じ位置での剪定を繰り返すことで、切り口が肥大してこぶ状になっていきます。このこぶをあえて作る仕立て方をこぶ仕立てといいます。
こぶ仕立てのやり方は、太い枝を残して毎年同じ位置でその年の春に伸びた枝を切っていきます。自然樹形に仕立てるやり方よりも簡単なため、剪定に慣れていない方にはおすすめです。
こぶを剪定したい場合
こぶが大きくなりすぎて取り除きたい場合は、数年に1度こぶを剪定しましょう。
こぶの剪定は、こぶよりも下の付け根の部分で切ります。切り取った枝が大きく、切り口が大きいと、そこから水分や養分が抜けて雑菌が入りやすくなります。
剪定後は切り口に癒合剤などを塗り、しっかりと保護しましょう。癒合剤は切り口の保護のために塗るもので、樹木自身の治癒力を促進します。
自分での剪定が難しい場合は業者に依頼を
サルスベリは生育が旺盛で、樹高は6~7mほどまで高くなります。大きさによっては、剪定の際に脚立などが必要になります。身を乗り出して剪定をすることや、地面が不安定な場所で剪定をおこなうのは大変危険ですので、安全面には十分配慮しておこなうようにしてください。
高い木の剪定は危険も伴う難しい剪定です。自分で剪定するのが少しでも難しいと感じた場合は、業者に依頼することをおすすめします。
全国に剪定の業者は多くあります。「どの業者に依頼したらいいかわからない」という方は、剪定110番までお問い合わせください。お客様にピッタリの剪定のプロをすぐに手配いたします。
簡単にできるサルスベリのお手入れ方法
樹木全体に日光が当たるように剪定をおこなうことで、翌年の花付きがよくなります。また、こみ合った枝を切っていき、木全体の風通しをよくすることで、病害虫の被害を減らせます。
しかし、サルスベリを元気に育てるためには剪定だけでなく、日々のお手入れや病害虫対策も必要になります。サルスベリは初心者でも育てやすい植物ですが、やり方を間違えると花が咲かなくなったり、枯れてしまったりするおそれがあります。
ここではサルスベリのお手入れや病害虫についてお伝えします。サルスベリを元気に育てるために、ぜひ参考にしてください。
サルスベリを元気に育てる4つのポイント
サルスベリのお手入れには特別なことは必要なく、初心者でも簡単に育てることができます。以下のお手入れのポイント4つを意識すれば、誰でも元気なサルスベリを育てることができます。
サルスベリは生育が旺盛のため、大きな樹木となります。樹高は最大で7メートルになるため、庭植えで育てることをおすすめします。
どうしても鉢植えで育てたいという場合は、樹高を低く抑えた矮性(丈が低い品種)の園芸品種もあります。
日当たりが悪いと花が咲かなくなってしまうため、1年を通して日当たりのいい場所で育てます。
病害虫の被害を減らすために、風通しのいい場所で育てることも意識しましょう。
水やりはほとんど必要ありません。日照りが続くなどして極端に乾燥している場合は、与えるようにしましょう
やせた土地や水はけの悪い用土では、花が咲かなくなったり、病気になったりしてしまいます。水はけのよい土を選びましょう。
注意したい病害虫
サルスベリは比較的病害虫には強いといわれています。しかしそれでも被害にあってしまうこともあるため、早めの対処が必要です。
ここではサルスベリの注意したい病害虫についてご紹介します。
うどんこ病
昆虫の排泄物により媒介されるカビ菌で、葉が粉に覆われたように白くなります。放っておくと、菌が他の歯にも移り、被害が拡大します。
見つけたら被害にあった葉を取り除くなどして対処しましょう。サルスベリはうどんこ病が発生しやすいので、定期的に薬剤を散布しましょう。
スス病
昆虫の排泄物を栄養源として繁殖する病気です。葉がススで覆われたように黒くなります。放っておくと徐々に広がっていきます。光合成ができなくなり、生育が悪くなるため注意が必要です。
見つけたら、ティッシュペーパーや歯ブラシなどで擦り落としましょう。真っ黒になってしまった葉などは剪定してしまうのも1つの方法です。
カイガラムシ
植物に寄生して葉の樹液を吸う害虫です。幼虫には農薬や殺虫剤が効果的ですが、成虫になると効かなくなってしまいます。歯ブラシで取り除いたり、被害にあった葉を取り除いたりして対処します。
カイガラムシの排泄物でスス病を誘発するため、早めに対処するようにしましょう。
アブラムシ
植物の新芽を好んで寄生し、植物の汁液を吸います。アブラムシの排泄物によりスス病などが発生するため、注意しましょう。
殺虫剤を散布することで駆除できます。駆除をしても再度湧く可能性もあるため、こまめに確認することが大切です。
植物の剪定・病害虫のお困りごとは剪定110番まで
病害虫の被害を減らすには、木の風通しと日当たりをよくすることが大切です。木を健康に育てるためにも、病害虫の被害を減らすにも、剪定がとても重要になります。
「剪定をする時間が取れない」「自分で剪定して失敗したくない」「病害虫をどうやって対処したらいいかわからない」など、植物の剪定や病害虫に関するお困りごとがあれば剪定110番までお問い合わせください。
お客様の希望に沿った弊社加盟店の剪定のプロをすぐに手配いたします。剪定110番は全国24時間365日【受付】対応可能です。お客様のご都合のよいときにお気軽にお問い合わせください。
・小池英憲『一番よくわかる 庭木の剪定 初心者でも失敗しない、切り方・管理のポイントを紹介!』新星出版社、2017