ぶどうは実がなるまでに3年程度はかかるため、日々の入れは慎重におこなう必要があります。とくに、ぶどうの木の剪定時期を誤ってしまうと、適切にぶどうが育ってくれないことがあります。
本コラムでは、ぶどうの剪定方法やポイント、おいしいぶどうを収穫するための手入れなどをご紹介していきます。最適な手入れをおこなって、おいしいぶどうを実らせてみてはいかがでしょうか。
目次
ぶどうの木を切る時期はいつ頃がベスト?
ぶどうの木の剪定は、品種によって異なるものの、冬におこなうことが推奨されています。ここからは、その詳しい理由や剪定に必要な道具などを、確認していきましょう。
剪定は1~2月ごろがおすすめ
冬の時期になると、ぶどうの葉はほとんど枯れ落ちるため、剪定がしやすくなるのです。
また、ぶどうの木は、春の暖かい時期になると、根からたくさんの養分を吸い、樹液が枝全体に流れます。暖かい時期に枝を切ってしまうと、成長するための栄養分である樹液が切り口から流れ出してしまい、ぶどうの木の生育が遅くなってしまうことがあります。そのため、樹液の流れが盛んになる前である冬の時期に剪定をする必要があるのです。
このような理由から、ぶどうの木の剪定は寒い冬の時期がよいとされています。それでは、剪定する際には、どのような道具が必要になるのでしょうか。
用意するもの
ぶどうの木を剪定するのに必要な道具は下記になります。
- 丈夫な剪定バサミ
- 園芸グローブ
- 手袋
- 脱ぎやすく温度調節がしやすい暖かい服装
剪定バサミは丈夫で握りやすいものを選びましょう、園芸グローブは作業しやすいもの、身につける服装は通気性がよいものが適しています。また、冬でも紫外線の量は多いといわれています。紫外線に強い園芸グローブやUVカット帽子などを着用することをおすすめします。
剪定方法は成長によって異なる
ぶどうの木の剪定方法は、成長した年数によって異なります。ここでは1年目から3年目にかけて、それぞれの剪定方法を見ていきましょう。
●1年目のぶどう
植えてから1年が経ったぶどうの木を剪定するときは、鉢植えと地植えでやや異なります。鉢植えの場合は、地面から30cmほどのところで枝をカットしましょう。一方、地植えの場合は、地面から60cmくらいのところで切ってあげるとよいです。このように、成長過程にあるぶどうの木を、最初のうちに剪定すると、成長を促すことができます。
●2年目のぶどう
2年目に差し掛かると、ツルが伸びてきて成長がはじまります。ぶどうの木はツル性植物と呼ばれ、らせん状に巻きつくように成長していきます。そのため鉢植えで育てる際は、植木鉢に支柱を設置して、ツルが巻き付くようにするとよいでしょう。剪定するときは、成長している枝を残して、それ以外の弱った枝や葉は切るとよいです。
地植えの場合は、とくに大胆な剪定の必要はなく、成長が遅くなっているツルなどを重点的に剪定してあげる程度でよいです。また、ツルが伸びてしまうので、ツルの誘引をする必要があります。ツルの誘引はフェンスを使って垣根仕立てなどにするとよいでしょう。
●3年目のぶどう
3年目になると、ぶどうの木は樹形が整ってくるため、それぞれの品種に応じた剪定をする必要があります。成長が早い種類は、長梢剪定と呼ばれる剪定方法をするとよいです。一方、成長が遅い種類は、短梢剪定と呼ばれる剪定をおこないましょう。これらの詳しい剪定方法は、下記で説明しています。
もしぶどうの木を育てていて、剪定の方法や育て方が合っているのかわからないと思っている方は業者に相談してみましょう。プロのアドバイスをもらうことで、おいしいぶどうを収穫することができるはずです。
枝を切り落とす以外の管理も大切
ぶどうの木の剪定には、枝を切る以外にも、必要な芽を残して、それ以外の芽を切るといった剪定方法があります。また、剪定方法は育てているぶどうの品種によって異なるため、よく確認するとよいです。
短梢剪定
短梢剪定はシャインマスカットなど、成長スピードが遅い品種に適している剪定方法です。この剪定は、昨年伸びた長い枝の生え際から数えて3~4番目の芽が出ているところから先を切り落とすとよいでしょう。
中梢剪定
中梢剪定は、ある程度成長スピードがある品種に対しておこなわれる剪定をいいます。昨年に伸びた枝の生え際から数えて5~6番目の芽が出ているところから先を切り落とすとよいです。
長梢剪定
長梢剪定は、巨峰やデラウェアなど成長スピードが早い品種に適している剪定方法です。この剪定では、昨年に伸びた枝の芽を5~10個程度残して、それ以外の芽は切ります。長梢剪定は短梢剪定よりも残す芽が多いため、どの枝を切るか見極めなければなりません。
二芽剪定
二芽剪定は、2芽だけを残してそのほかの芽は剪定するという方法です。幹から伸びた枝の生え際から数えて、3番目の芽が出ているところから先を切るイメージをするとわかりやすいでしょう。2芽だけを残すことによって、新しい芽が出やすくなり、ぶどうの木の生育が促されるのです。
芽傷処理に注意
芽傷処理とは、芽の上の部分に傷をつけることをいいます。この傷をつけることで、初芽を促してくれる効果があります。芽傷処理をおこなうのは、2月中旬ごろが適しているでしょう。
このように、ぶどうの木を育てるにはさまざまな剪定方法があります。せっかく育ててきたぶどうの木を無駄にしたくないと思っている方は、業者に相談してみるとよいでしょう。
おいしいぶどうを実らせるお手入れ
おいしいぶどうを収穫するためには、正しく剪定するのはもちろん大事なことです。しかし、剪定をすること以外にも、ぶどうが育ちやすい環境をつくることも欠かせません。ここでは、おいしいぶどうを実らせる手入れについてご紹介していきます。
剪定以外のお手入れ
おいしいぶどうを実らせるためには、剪定以外にも手入れが必要になってきます。みずみずしくて甘いぶどうを摘むために欠かせない作業になるので、一緒に確認していきましょう。
・つる、枝の誘引
ぶどうをおいしくきれいに育てるためには、成長とともに伸びてくるツルや枝を誘引することが大切です。鉢植えの場合は、支柱を立て、そこにツルを絡ませるとよいです。地植えの場合は、伸びたツルを自宅のフェンスや屋根などに這わせましょう。そうすることで、きれいな緑が生い茂り、そこにおいしいぶどうを実らせることができます。
・房の間引き
ぶどうの木が成長して花が咲いてきたら、花の形を均一にそろえて、房が等間隔になるように間引きする花房整形という作業をおこないます。実となる花の数を適正にすることで、みずみずしいぶどうの実を収穫することができるでしょう。
具体的には、花が咲いている部分を3.5cm~4cmくらいに調整するとよいでしょう。最終的に、残った粒が40粒くらいになるようにするとちょうどよいです。
・果実の袋掛け
ぶどうの実が成長してきたら、ぶどうに袋をかけましょう。袋をかけることで、病気や害虫、自然被害などから果実を守れます。
伐採でぶどうが育ちやすい環境に
ぶどうをおいしく育てるためには、伐採をおこなって、自宅の庭の環境を整えることが重要です。ぶどうは水はけのよい土壌を好み、温暖な気候のなかで育ちます。そのため、庭に木々が密集していたりすると、おいしいぶどうを育てることができなくなってしまうでしょう。
実がつかないぶどうの木を伐採するものアリ
長年ぶどうを育てていて、あまり実がつかなくなった場合は、思い切ってぶどうの木を伐採するのもひとつの手です。伐採をすることで、品質低下を防ぐことや、病気や害虫の予防をすることができます。
数年育てて古くなった樹木を伐採して、新たに樹木を植えなおすことで、高品質のぶどうを収穫することができるのです。とくにぶどうをつくっている農家の方々は、クオリティの低下を防ぐために、伐採して品質のよい木に更新しています。
ぶどうの木が荒れてしまったりして、ぶどうの実がつかなくなったという方は、思い切って伐採をしてみるとよいでしょう。もし伐採の方法がわからなかったり、本当に伐採しても大丈夫なのだろうかと悩んでいる方は、一度業者に依頼してみることをおすすめします。
まとめ
ぶどうの木を剪定する時期は1月~2月ごろが適しているといわれています。また、剪定方法はぶどうの品種によって異なり、それぞれに合わせた剪定をおこなうことで、よりおいしいぶどうを収穫することができます。
また、ぶどうの実が実らない場合は、思い切って木を伐採してみるとよいでしょう。伐採して新たに樹木を植えなおして、ぶどうが育ちやすい環境をつくることで、青々としたみずみずしいぶどうを収穫することができるはずです。