「庭木が育ちすぎて、家の中に光が入ってこない。」
「木の枝が歩道まで伸びてしまい、通行人の迷惑になっている。」
手入れも大変だし、庭の木を切ってしまおうか。しかし、いざ切るとなると調べることがいっぱいです。特に「お清め」は地域によって様式がさまざまです。インターネットで調べてもやり方がたくさん出てきて、どれを参考にすればよいかわからない…。
時間をかけて調べても、そもそも本当に「お清め」って必要なのかな、などと疑問を持ってしまうこともあるでしょう。
このコラムでは、なぜ「お清め」が必要なのかをお話しします。また、木を切るにあたり気をつけていただきたいこと、安全な木の切り方などをご紹介します。
目次
伐採にはお清めが必要?「ありがとう」の気持ちを込めて…
日本には古来より、どんなものでも神様が宿るといわれてきました。木も例外ではありません。
特に古木などは、精霊が宿り人々を見守っていると考えられています。「お清め」は、木に宿った神様に感謝の気持ちを伝える大切な儀式です。
「なんだ、宗教的な理由なのか。自分は神様なんて信じてないから関係ないな。」そう思うかたもいるでしょう。でも、よく考えてみてください。
木を切り倒すということは、木の命を絶つということです。ひとつの生命を終わらせると考えると、厳粛な気持ちになってきませんか?
「お清め」は、神様だけでなく、切り倒す庭木にも感謝を伝えるためのものです。今まで見守ってきてくれてありがとうという気持ちをこめて、お神酒やお塩をお供えしましょう。
そうすることで自分自身にもひと区切りがつき、晴れやかな気持ちで伐採に集中することができるでしょう。
お清めって素人がやっていいの?お清めの方法
お清めが大切な行為だということはわかりました。では、どのような方法があるでしょうか。
様式は地域によってさまざまですが、ここでは一般的なものをご紹介いたします。
手順を守って自分でお清め
一番手軽なやり方として、自分でお清めするという方法があります。
1.お神酒をお供えする
神棚用のお酒を用意してお供えしてください。湯のみやグラスに入れたり、木の周りにまいたりとさまざまな様式があります。
宗派や地域によっても異なりますので、身近に詳しい人がいたら聞いてみましょう。
2.盛り塩で清める
お神酒の次は、盛り塩をお供えしてください。小皿を用意して、三角錐状お塩を盛りつけます。
霧吹きなどを使って水分を含ませながら形づくると、キレイに仕上がります。そして、今までの感謝の気持ちをお伝えしてください。
お寺の住職にお願いする
自分でお清めするのもよいけど、なんだか不安。そんなかたにはお寺や神社に依頼することをおすすめします。木を切りたいことを伝え、伐採の前にお清めをしてもらうようにしましょう。
伐採がNGな期間もある
木の伐採をしてはいけない時期があることはご存知ですか?実は、土用の期間中は木の伐採をしてはいけないことになっています。この期間中は土の神様が地表に上がっているとされています。そんな時期に土を動かすと、土の神様の頭部をかいてしまい、神様を怒らせてしまうのです。
木を伐採する際は、カレンダーを見ることを忘れないよう注意しましょう。
お清めしたら伐採を!自分でおこなう伐採方法
お清めが終われば、いよいよ伐採です。ここでは自分で伐採する際の手順と、伐採中に気をつけることをご紹介します。
必要な道具を準備しましょう
・ノコギリやチェーンソー
伐採する木が細い、または本数が少ないのであればノコギリでの伐採も可能です。しかし大量の木を切る、または木が太い場合は、電動のチェーンソーを用意しましょう。
・ロープ
木を伐採する際、切り倒す向きを考慮しなければなりません。ロープで切り倒す方向を調節しましょう。作業中に切れたりしないよう、なるべく太めのロープを用意してください。
・シャベル
伐採後、木の根を掘り出すときに使用します。
・ゴミ袋、ガムテープ
伐採した木を処理する時に使います。処分の方法によって用意するものが変わってきますので、必要に応じて備品をそろえてください。
伐採手順
続いて、伐採方法です。むやみに伐採すると、事故や大けがの原因となります。また、作業の効率も悪くなってしまいますので、きちんと手順を守っておこなってください。
手順1.木を切り倒す方向を決める
何も考えずに切り始めると、いざ倒したときに家の窓や壁にあたって破損をしてしまうことがあります。また、道路に倒れて通行人に当たり、けがをさせてしまう場合もあります。倒したい方向に引っ張るようにしてロープを張れば、思わぬ方向に倒れることはありません。事故や破損防止のため、伐採する前にきちんと方向を決めておきましょう。
手順2.伐採する
まず、倒したい方向に「受け口」という切り込みを入れます。幹の直径1/3ほどの部分に角度30~40°の、くの字の切り込みを入れてください。この時、受け口の下の部分は地面と水平になるようにしてください。続いて、受け口の2/3程度の高さに「追い口」という切り込みを入れます。
こちらも幹の直径1/3ほどまで入れます。
ただし受け口とは違い、角度をつけず水平な一本線を入れましょう。
追い口から受け口の方向へ木を押せば、簡単に倒れます。切り倒された木は、かなりの重さがあります。大きな木を伐採する際は、木が倒れる方向に十分注意してください。
手順3.根を取り除く
切り倒した木を片付けた後は、木の根の除去に取り掛かりましょう。シャベルで土を掘り起こし、引っ張れば簡単に抜けるはずです。
土や根が硬くて抜きにくい場合は、水で濡らすと抜けやすくなります。
伐採した木を適切に処分しましょう
伐採した後の木は、可燃ごみとして処分できる場合があります。ごみの処分方法は自治体によって異なりますので、ごみを出す前にホームページなどで確認してみるとよいでしょう。
可燃ごみで捨てられる場合は、家庭ごみと同様にごみ袋にまとめ、ごみ集積所に出してください。
ごみ収集のほかに、特定の施設で持ち込みを受け付けている自治体もあります。その際は、伐採した木を運搬しやすいように切り分けて、自分で施設まで持って行ってください。
可燃ごみとして捨てられない場合は、業者の力を借りるという方法もあります。不用品回収業者に依頼すると、持って行ってもらえます。
木を切り分けるのもかなりの労力が必要となりますので、大きな木を切り倒す際は無理に自分で処分しようとせず、業者の利用を考えたほうがよいでしょう。
木の伐採でケガをすることも…不安なときは専門業者へ相談を
木を切り倒すのは大きな危険が伴います。また、専門的な知識も必要です。少しでも不安がある方は、専門業者へ相談してみてください。
この項目では伐採業者に依頼するメリットと、伐採業者を選ぶポイントをお伝えします。
無理に伐採すると思わぬ事故につながる?伐採業者に頼むメリット
どんなに気をつけていても、素人の手による伐採は危険が伴います。切り倒す向きを間違えて家の方向に木が倒れ、窓ガラスが割れたり外壁が傷んでしまうということも少なくありません。また、時には大きなけがにつながります。
生きている木に含まれる水分量は非常に多く、大きな木だと人を押しつぶしてしまうおそれがあります。
切り倒す方向を間違え、自分のほうに倒れてきてしまったら…。
また、歩道側に倒れて通行人にけがを負わせてしまう場合もありますので、十分に注意が必要です。
伐採に使うチェーンソーも、扱いを間違えば大事故につながります。チェーンソーは使い方を間違えると「キックバック」という現象が起こってしまうのです。「キックバック」とは、作業している人に向かってチェーンソーが跳ね上がる現象をいいます。死亡事故につながりかねない危険な現象です。
このような事態にならないよう、伐採業者に依頼することをおすすめします。
業者を選ぶポイントは?
業者によっては、伐採のほかにもさまざまなサービスを提供していることがあります。一つ一つの業者のサービスを確認し、自分に合った会社を選びましょう。
また、急いで切ってもらいたいときは、伐採場所から近いところにある業者を選びましょう。早めに対応してもらえます。
さらに、伐採には大きな危険が伴います。特別な講習や教育を受けているかどうかを基準に、業者を選ぶのもよいでしょう。
また、料金を明確に提示する業者かどうかというのも大切です。なんの作業にどのくらいの費用がかかるのかということを尋ねて、しっかりと答えてくれる会社を選びましょう。
まとめ
木を切る前にお清めをするのは今までいっしょに生きてきた木と、木に宿る神様に対して感謝とお礼を伝えるためです。
自分でお清めをするのもよいですし、お清めも含めて業者のかたに依頼をするのもよいでしょう。生き物の生命を終わらせるのですから、しっかりと手順を踏んでお送りしたいものです。
また、伐採はたいへん危険な作業です。健康な人でも時間がかかり、かなりの重労働となります。切り倒す際は十分注意して作業してください。
高さがあるもの、また太さがあるものの場合は、無理に自分で切ろうとはせず、伐採業者さんに依頼してください。
【伐採の言い伝え・風習に関する記事はこちら】
■庭木を伐採する際はお清めが必要?さまざまなお清め方法とタイミング
■木を切ってはいけない日の確認|つちの日・土用の日は避けるべき理由