春にピンクや白の大ぶりで美しい花を咲かせるハナミズキ。その名が使われた有名な曲もあることから、多くの方に知られており人気の庭木です。
ハナミズキはそれほどお手入れが難しくない植物で、ガーデニング初心者の方でも安心して育てられると言われています。しかし、放っておくと縦横無尽に枝が伸びて樹形が悪くなってしまうので、剪定をすることはとても大切です。
この記事の内容は、ハナミズキの剪定方法が中心です。ほかにも、ハナミズキという樹木の特徴や育てるうえでの注意点もお伝えします。庭木の育成や選定が初めての方にもわかりやすい内容となっています。ぜひ参考にしてみてください。
まずはハナミズキの特徴をおさえよう
樹木の特徴を知ることはとても大切です。たとえばどのような花が、いつ、どんな過程で咲くのかといったことを知っていないと、適切な時期に適切な剪定とお手入れができないからです。
「ハナミズキを植えたいけれど、どんな花を咲かせるのだろう?」「うちのハナミズキの花付きが悪いのはなぜだろう…?」と疑問の方はぜひ注目してお読みください。
ハナミズキは人気のある植物
ハナミズキが花を咲かせるのは春です。4月~5月頃になると、ハナミズキの樹木はピンクや白にきれいに色づきます。なかには赤に近いほど濃い色合いのピンクになることも。
この色づいている部分は実は花弁ではなく、総苞(そうほう)です。総苞とは花を包んでいる部分のことで、ハナミズキの本当の花は小さく黄色い部分なのです。
ハナミズキには4枚の総苞片があり、大ぶりなため遠くからでもその色と美しさがはっきりわかります。
ハナミズキは落葉樹なので、春には開花、夏には青々と生い茂った葉、秋には紅葉と木の実、冬にはさみしくも凛と立つ枝幹と、季節ごとの違いを楽しむこともできます。
ハナミズキの剪定時期はいつ?
基本的にお手入れがラクと言われるハナミズキですが、健康と見た目の美しさを保つために剪定が必要です。
・冬の剪定:花芽を残して、不要な葉芽が付いた枝を切り落とします。落葉してからの、12月~2月頃が狙い目です。
・春の剪定:樹形を整えるための軽い剪定をおこないます。花が散ってから、5月~6月がベストです。必ずしもおこなわなければいけないわけではなく、逆に剪定しすぎると枯れる原因にもなるので注意が必要です。
ハナミズキの剪定方法をご紹介!
美しい花を付けるには剪定で花芽が付きやすくすることが大切です。
まずは必要な道具を用意して、剪定方法を確認しましょう。冬と春では選定の仕方が異なるので、混同してしまわないように気を付けましょう。
用意するもの
- 剪定用はさみ:細めの枝を切るのに適している
- 木ばさみ:直径2セントメートル以上の太い枝に適したはさみ
- 刈込ばさみ:長い柄のものなら、ハナミズキの高い場所も切りやすい
- のこぎり
- 軍手
- 脚立
- 長袖長ズボン
冬の剪定方法
冬の剪定では、花を咲かせる花芽を残して、余分な葉芽を切ることが大切です。見分けるためには見た目をじっくりと観察しましょう。花芽は玉ねぎ状の形をしていますが、葉芽は筆先のようにスラリと尖っています。
さらに、病気にかかって枯れている枝や、太い枝や幹から生えた樹形を妨げる枝など、忌み枝もカットします。
はじめは一番高い位置を切り、高さを決めましょう。その後、「太い枝→細い枝」の順に枝を切り整えていきます。左右のバランスが整うよう、定期的に遠くから樹形を確認して作業を進めると成功しやすいです。
春の剪定方法
花がすべて枯れた後、樹形を整えます。徒長枝など成長の妨げになる「忌み枝」を切り落とします。
ハナミズキの場合春の剪定はそれほど必要なく、むしろあまりおすすめできません。「どうしても樹形が気になる」「隣の家の庭に枝が入り込んでいて迷惑になっている」というような、必要に迫られた場合のみ、剪定をしましょう。
ハナミズキの剪定で注意したいこと
ハナミズキは剪定をしすぎると枯れてしまう可能性があるので、剪定の仕方には注意しなければなりません。
剪定する季節と、丁寧におこなうこと、この2つはとくに守りましょう。
季節に考慮して剪定の計画を立てる
冬の剪定がおすすめなのは、葉がすべてなくなって、葉芽と花芽の区別が見やすくなるからです。まだ葉がついている夏や秋に剪定をすると、花芽も剪定して花が咲かなくなってしまいます。ひどいと翌々年まで花が付かない、枯れてしまうということもありますので、気を付けましょう。
このように、剪定時期はとても重要なポイントです。苗が若いころはとくに、「剪定時期は適しているか?」ということを確認してから剪定をはじめてくださいね。
正しく丁寧に扱うこと
先ほど選定方法をご紹介した際にもお伝えしましたが、花芽と葉芽を見分ける目が不可欠です。花芽を切ってしまうと、花が咲かないさみしいハナミズキになってしまいます。
似ているので間違ってしまいそうですが、よく見ると違いが見つけられますので、丁寧に観察しましょう。また、剪定ばさみをつかうときは、雑にならないように気を付けましょう。切り方が丁寧でないと、枯れてしまう可能性があります。
剪定以外に大切なこととは?
日頃のお手入れも大切です。ハナミズキが好む環境にしてあげれば、すくすくと成長し、美しい花を咲かせてくれます。
ハナミズキの特徴を抑えながら、「肥料」「土」「水」の3点に注目してみましょう。
冬の剪定と同時に肥料も与えよう
剪定後に一緒に肥料をあげましょう。粒や固形タイプの土に置く肥料や、土に刺すだけでゆっくり栄養が行き渡る緩効性肥料が便利です。枝が伸びている幅と同じくらいの距離まで根っこが伸びていると言われていますので、広範囲に肥料を与えるのがおすすめです。
害虫からの被害が心配な場合は、害虫予防用のスプレーを散布するのもよいかもしれません。
土作りを大切にしよう
ハナミズキは水はけのよい場所を好みます。水はけがよくないと、根っこで呼吸ができなくなり、枯れたり腐る原因になるので要注意です。
また、ハナミズキは大きく成長する庭木ですので、周囲に十分なスペースを確保して、根がしっかりと張れる環境にしてあげましょう。
水やりも欠かせません
ハナミズキが好む水はけのよい土壌では、水がすぐに乾いてしまいます。庭の土壌に飢えている場合はそれほど水やりは必要ありませんが、鉢植えをしている場合にはたっぷり水をあげることが大切です。
新鮮できれいな水を与えて、成長を促進しましょう。
まとめ
春になると白やピンクに色づくハナミズキは、その美しさとお手入れの手軽さから人気の高い樹木です。
ハナミズキの剪定は冬と春におこないましょう。冬には花芽を残しながらの剪定を心がけてくださいね。春は必ずしも剪定が必要なわけではなく、樹形が気になる場合だけで十分です。また、美しいハナミズキを楽しむためには環境づくりも欠かせません。土や水にこだわってみてください。
自分で剪定すると道具の準備なども必要なため時間がかかります。さらに、枯れてしまう危険もあるため、「失敗しないか不安に感じる」、「時間がなくて作業できない」という方もいらっしゃるでしょう。そんな方は業者に依頼してみるとすべて解決です。費用はかかりますが、剪定・伐採のプロならではの仕上がりでハナミズキが美しく映えますよ。
自分で剪定する方もプロに任せる方も、ぜひ本記事の内容を参考にして、美しいハナミズキを咲かせてみてくださいね。
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