一生のほとんどを地中で過ごすモグラは、畑や庭の地面を荒らしてしまう害獣でもあります。せっかく整えた庭を荒らすモグラの存在に気づいたら、被害が広がる前に追い払いたいですよね。
害獣を追い払うときには「忌避剤」が使用されることが多く、モグラの場合も例外ではありません。しかし、そもそもどうして忌避剤で、モグラを追い払うことができるのでしょうか。
本コラムでは、モグラに忌避剤が効く理由から、自分でもできる効果的なモグラ対策の方法まで紹介していきます。モグラ用忌避剤の種類や特徴も解説しているので、忌避剤を選ぶうえで参考になれば幸いです。
モグラに忌避剤が効果的な理由は?
モグラ対策をするうえで、まずはなぜ忌避剤がモグラに効果的なのかを知っておきましょう。じつは忌避剤は、モグラの弱点を的確に刺激して追い払ってくれるアイテムなのです。
モグラは嗅覚が発達している
真っ暗な土のなかで暮らしているモグラの目は、退化していてほとんど見えていません。そのかわりに嗅覚(きゅうかく)と聴覚が発達しており、活動に必要な情報の多くを耳と鼻から得ているのです。とくに嗅覚は、距離や方向感覚をつかむためにも役立てられています。
嗅覚を刺激する忌避剤が効果的
忌避剤はモグラの嫌うニオイを発して嗅覚を刺激します。ちょっとした環境の変化にも敏感なモグラは、不快なニオイのする忌避剤の周辺に近づかなくなるのです。通り道や巣穴のまわりに忌避剤を置いておけば、モグラを移動させることができます。
【注意】忌避剤の効果は一時的
モグラを追い払うのに効果的な忌避剤ですが、その効力がずっと続くわけではありません。忌避剤には有効期限があるため、定期的に設置しなおす必要があるのです。また、雨や水にぬれることで効果が弱まってしまうこともあります。
モグラに効く忌避剤の種類とは
ひとくちにモグラ用忌避剤といっても、形状や使用方法にはいくつか種類があります。地面の状況や巣穴を作られた場所に応じて、効果が期待できる忌避剤を使用しましょう。
地面に置く忌避剤
大きめの錠剤のような固形物を地面に置くタイプの忌避剤は、簡単に設置できる点が魅力です。モグラに荒らされて困っている場所や、巣穴を作られたくない場所の地面に、一定の間隔をあけて設置しておきましょう。
穴に差し込む忌避剤
モグラの通り道が特定できている場合には、地面に直接差し込むタイプの忌避剤が効果的です。モグラの嫌うニオイや唐辛子の成分が染みついた棒状の忌避剤を、モグラの巣穴をねらって差し込みましょう。
穴に噴射する忌避剤
通り道や巣穴に噴射してモグラを追い出すスプレータイプの忌避剤もあります。固形や棒状の忌避剤と違って設置の手間がなく、被害に気づいた瞬間に使えるという点は大きなメリットでしょう。天然由来の成分であれば、畑の作物などに付着してしまっても安心です。
忌避剤以外で効果的な3つのモグラ対策
これまでに紹介したモグラ用忌避剤は、嗅覚を刺激することで追い払うものでした。しかし、忌避剤以外の方法でもモグラ対策は可能なのです。ここからは、モグラ対策として効果的な3つの方法をご紹介します。
モグラが嫌いな音で追い払う
嗅覚だけでなく聴覚も発達しているモグラは、音に対しても敏感に反応します。そのため、モグラの嫌う音を発する装置を、地面に直接差し込むことでもモグラを追い払うことができるのです。
音による撃退装置は、忌避剤と同じように一定の間隔で設置して使用します。しかし、土の質や状態によって音の伝わり方が変わるため、場所によっては効果が出にくいことがあります。できるだけモグラの通り道の近くに差し込んでください。
電池を電源とするタイプと、ソーラーパネルで発電するタイプの2種類があります。雨でも使用できるものが多いですが、長時間冠水させることは避けましょう。気温が低すぎて正常に作動しないということもあるため、使用するときには天候を確認してください。
モグラを物理的に侵入できなくさせる
嗅覚や聴覚を刺激する方法は、天気や地面の状態によって効果にムラがあるのが難点といえるでしょう。より確実な対策として、トタンを利用してモグラの侵入を物理的に防ぐ方法があります。
田んぼや畑など、モグラから守りたい範囲が限られている場合は、周囲の地中にトタンを埋めましょう。地表から50~60cmほどの深さまで埋めることで、外部からモグラが侵入するのを防ぐことができます。
モグラを直接捕獲する手も……
モグラ被害のおよんでいる範囲が、トタンで守るには広すぎるということがあるかもしれません。忌避剤や音でも効果が期待できない場合は、モグラ用の捕獲器を使用しましょう。
ただし、モグラを捕獲するときには自治体の許可が必要になります。モグラは鳥獣保護法で保護されているため、勝手に捕獲したり傷つけたりすると罪に問われてしまうのです。
また、モグラのなかには日本の固有種や、絶滅する恐れのある種もいます。生態系を保護するためにも、捕獲器にかかったモグラは生きたまま自然に返してあげてください。
モグラを自然に返すときには、生きているモグラを見たりさわったりします。そのことに抵抗がないという方は、捕獲器の使用を検討してみてください。モグラに触れなければならないときには、かまれることのないよう注意しましょう。
捕獲器を設置する場合は、毎日の点検を忘れないよう注意が必要です。エネルギーの消費が激しいモグラは、十数時間エサを食べなければ死んでしまいます。捕獲したモグラをすぐに自然に返せるよう、逃がす場所もあらかじめ決めておきましょう。
確実なモグラ退治には業者を利用しましょう
これまで紹介したように、自分でおこなうことのできるモグラ対策にはさまざまな方法があります。一刻も早くモグラ被害を解決したいという場合には、これらの方法を試してみてください。
しかし、モグラ被害を解決するためには、長期的な対策が必要になることもあります。モグラ用忌避剤の効果は、あくまで一時的なものにすぎません。定期的に設置しなおさなければ、ふたたびモグラが住みつく可能性もあるでしょう。
また、自治体の許可が必要になるような捕獲器を、自分で扱いきれるか不安に思われるかもしれません。生きているモグラを適切に扱えるかどうかも心配ですよね。
本格的なモグラ対策ならプロに相談!
個人でのモグラ対策に不安があるときは、まずはプロに相談してみてください。短期間でモグラを追い払ってくれるでしょう。また、今後のモグラ被害を軽減するための予防法についても、アドバイスをもらうことをおすすめします。
まとめ
嗅覚の発達したモグラを追い払うには、忌避剤が効果的です。モグラ用忌避剤には、地面に置くタイプ・巣穴に差し込むタイプ・スプレータイプなどがあります。地面や被害の状況に応じて、これらの忌避剤を使いわけましょう。
モグラ対策の方法は忌避剤だけではありません。嗅覚と同じく発達した聴覚を刺激することも有効です。より直接的な対策をしたい場合は、トタンや捕獲器を活用しましょう。ただし、捕獲器を使うには自治体の許可が必要なので注意しましょう。
そうはいっても、自分だけでおこなった対策では不安に思うこともあるでしょう。より確実なモグラ対策をするために、まずは経験豊富なプロに相談してみましょう。
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