「断熱ガラス」という言葉を聞いたことがあってもどんなガラスなのか詳しく知らない、という方も多いかと思います。
断熱ガラスを家の窓に使用することで、冷暖房の効率を上げ光熱費の節約になったり、結露対策ができたりと、さまざまな効果が期待できます。
しかし、ガラスの種類や製品によっては特徴が異なります。
ガラスの種類によっては期待する効果が得られなかった、という場合もあります。
断熱ガラスはそれぞれの種類の特徴をしっかり理解し、居住環境や予算に合わせ選ばなくてはいけません。
この記事では断熱ガラスの種類や特徴、メリットやデメリットなど詳しくお伝えしています。
この記事を読んでいただければ、自分にピッタリの断熱ガラスを見つけ、夏も冬も快適に過ごせるお家を作ることができます。
断熱ガラスとは熱移動を抑える機能のあるガラス
断熱ガラスとは、熱移動を抑える機能のあるガラスのことをいいます。
熱の移動を抑える効果があるため、冬は暖房の熱を外に逃がさず、夏は冷房で冷やした空気が外の気温によって上がってしまうことを防ぎます。
建物の断熱化をおこなうためには、放射、伝導、対流の3つの熱の伝わり方に合わせた対策が必要になります。
放射 |
熱が電磁波の形で放出され離れたところに熱が伝わること (例)太陽の熱が地球に届く、焚火の火で暖を取る |
---|---|
伝導 |
物体と物体が触れることによって熱が伝わること (例)ホットカーペットや湯たんぽなど触れたところから熱が伝わる |
対流 |
水などの液体や空気などの気体が動くことにより熱が伝わること (例)エアコンの冷暖房の暖かさや冷たさが伝わる |
断熱ガラスの中にもさまざまな種類があり、特徴もそれぞれ異なります。
主な断熱ガラス4種類
ここでは主な断熱ガラスを以下の4種類ご紹介します。
- 複層ガラス
- Low‐Eガラス
- トリプルガラス
- 真空ガラス
あわせて、それぞれのガラスのメリットデメリットについても詳しく解説しています。
これから断熱ガラスの交換や購入を考えている方は、メリットとデメリットの両方を踏まえて検討することをおすすめします。
複層ガラス
複層ガラスとは、2枚以上のガラスを重ね、その間に中間層のあるガラスのことをいいます。
この中間層には乾燥空気が封入されています。
乾燥空気は熱を伝えにくい性質を持ちます。
ガラスとガラスの間に乾燥空気があることにより、熱伝導率が低くなる効果が期待できます。
空気とガラスの熱伝導率の差を以下の表にまとめました。
材料 | 熱伝導率(λ)W/mK |
---|---|
空気-0℃ | 0.0241 |
窓ガラス(フロートガラス)-20℃ | 0.55~0.75 |
参考:丸昌産業株式会社「熱伝導率一覧表」(最終閲覧日:2022年10月17日)
熱伝導率とは熱の伝わりやすさを示した値のことで、値が小さいほど熱が伝わりにくいです。
この表から、ガラスよりも空気の方が熱を伝えにくいということがわかります。
また、水分を含んだ空気を封入してしまうと、その水分が結露として発生してしまうおそれがありますが、乾燥空気であればその心配がありません。
複層ガラスのメリット
複層ガラスは1枚ガラスよりも断熱性が高く、結露が発生しにくいことがメリットです。
複層ガラスはガラスとガラスの間に中間層があることから熱を伝えにくくし、1枚ガラスよりも高い断熱効果が得られます。
もう1つのメリットとしてあげられるのが結露が発生しにくい点です。
通常のガラスの場合、冬にガラスが冷えると室内に結露が発生してしまいます。
複層ガラスであれば内側のガラスは冷えにくいため、結露が発生しにくくなります。
結露が発生しにくくなることにより、カビやダニの発生を防ぐことができます。
複層ガラスのデメリット
複層ガラスには共鳴透過現象が発生します。
共鳴透過現象とは、複層ガラスの中間層の空気がバネとして働くことでガラスが共鳴し、遮音性が低下してしまう現象のことを言います。
2枚のガラスを挟んで空気の入った中間層を持つ複層ガラスは、太鼓と同じような状態になり、ガラスに伝わった音や振動が増幅してしまうため、騒音が余計に大きく聞こえてしまいます。
共鳴透過現象は、異なる厚さのガラスを用いることで共鳴を防ぐことができます。
Low‐Eガラス
Low-Eガラスとは、複層ガラスの中間層のどちらか一方のガラス面にLow‐Eと呼ばれる特殊な金属の膜をコーティングしたガラスのことをいいます。
Low‐Eとは、低放射という意味の英語「Low Emissivity」を略したもので、名前の通り放射熱を低減させる効果を持ちます。
Low-E膜が室内側のガラスにコーティングされているものを断熱タイプ(日射取得型)、室外側のガラスにコーティングされているものを遮熱タイプ(日射遮蔽型)といいます。
室内側にLow‐E膜がコーティングされている断熱タイプ(日射熱取得型)は太陽の熱をカットし過ぎず、かつ暖房による熱を外に逃がしにくいため、冬の暖房効率を上げる効果があります。
反対に、室外側のガラスにLow‐E膜がコーティングされている遮熱タイプ(日射遮蔽型)は、Low‐E膜で太陽の熱を低減させる効果を持ちます。
室内に入ってくる日射熱を低減させることができるため、冬場の寒さだけでなく夏の暑さを和らげ、冷房効率を上げることができます。
Low‐Eガラスのメリット
メリットの1つ目は光熱費を節約できる、というのがあげられます。
断熱タイプ(日射熱取得型)のLow‐Eガラスであれば冬場の暖房効率を上げ、遮熱タイプ(日射遮蔽型)であれば夏場の冷房効率を上げることができます。
冷暖房の効率を上げることにより、冷暖房費を節約できます。
2つ目は結露が発生しにくくなることです。
複層ガラスと同様に、中間層を持つLow‐Eガラスも結露が発生しにくくなる効果があります。
Low‐Eガラスのデメリット
デメリットは、ガラスが無色透明ではなく若干色がついていることです。
この色もやや青っぽい、やや緑っぽいなど、メーカーによって異なります。
交換や設置をしてからイメージと異なる、ということを避けるためにもショールームなどで実際のガラスをしっかり確認しましょう。
トリプルガラス
トリプルガラスとは、名前の通り3枚のガラスと2つの層で構成されたガラスのことをいいます。
2つの層には空気やアルゴンガス、クリプトンガスなどが封入されています。
トリプルガラスのメリット
トリプルガラスのメリットとして、複層ガラスと同様に断熱性が高いことと結露が発生しにくいことがあげられます。
3枚のガラスで構成されているため、複層ガラスより高い断熱性の効果が期待できます。
また、複層ガラスよりも断熱性が優れている分、結露も発生しにくくなります。
トリプルガラスのデメリット
トリプルガラスのデメリットは、ガラスが厚くなってしまい窓枠やサッシが限定されてしまうことです。
トリプルガラスは3枚のガラスでできている分、一般的な1枚ガラスや複層ガラスと比較すると厚みも増します。
そのため、1枚ガラスや複層ガラスからトリプルガラスへ交換しようとすると、トリプルガラスに合わせた窓枠やサッシも交換する必要が出てきてしまいます。
真空ガラス
真空ガラスは複層ガラスの一種です。
複層ガラスと大きく異なるのは、ガラスとガラスの間の中間層が真空になっている点です。
真空は熱の「伝導」と「対流」を防ぐため、他のガラスと比較すると高い断熱性が期待できます。
真空ガラスのメリット
1つ目のメリットは、アタッチメントやサッシ交換の必要がないという点です。
真空ガラスは薄いため、交換の際にそれまで使用していたサッシをそのまま使用することができます。
また、サッシを取り付けるためのアタッチメントも必要ありません。
2つ目は窓ガラスの中でも高い断熱性を持つことです。
先ほどもお伝えしたように、真空は伝導と対流が起こりません。
そのため、乾燥空気やガスが封入されている複層ガラスよりも高い断熱効果があります。
真空ガラスのデメリット
真空にすることで高い断熱効果がありますが、その分費用が高くなってしまうことがデメリットです。
費用はガラスの大きさや製品の種類によっても異なります。
交換を考えている方は、見積りを取ってから検討することをおすすめします。
断熱ガラスの費用相場
ここでは断熱ガラスの費用相場についてお伝えします。
ガラスの幅200ミリ、高さ300ミリでの価格を以下の表にまとめました。
ガラスの種類 | 参考価格 |
---|---|
複層ガラス(ペアガラス) | 約8,700円~約15,000円 |
Low-E複層ガラス(Low-Eペアガラス) | 約16,000円~約27,000円 |
トリプルガラス・Low-Eトリプルガラス | 約15,000円~約31,000円 |
真空ガラス(クリアFit) | 約22,000円~約43,000円 |
費用はガラスの大きさや厚みなどでも変動します。
見積りをとってから検討することをおすすめします。
断熱ガラスは補助金で費用を抑えられる
「長い目で見ればメリットが多いけど、導入費用が高くてなかなか断熱ガラスに手が出せない」という方も多いかと思います。
ここではそんな方に向けて、断熱ガラスの補助金制度についてお伝えします。
断熱ガラスの補助金制度の例には以下のものがあります。
- こども未来住宅事業者支援事業
- 既存住宅における断熱リフォーム支援事業
- 長期優良住宅リフォーム推進事業
補助金制度を利用する際には条件が必要です。
あらかじめ利用する補助金制度についてしっかり確認しておきましょう。
断熱ガラスと遮熱ガラスの違い
「断熱」と「遮熱」は似た言葉ですが、違いがあります。
先ほどもお伝えしたとおり、断熱ガラスは熱移動を抑える機能のあるガラスをいいます。
室内の熱を逃がさないので冬は暖房効率を上げ、夏は外の熱が室内へ伝わりにくいため冷房効率を上げてくれます。
それに対し、「遮熱」は放射熱を抑えることを意味します。
遮熱ガラスは太陽の日射熱を抑える効果のあるガラスなので、夏は冷房効率を上げ涼しく過ごせます。
断熱ガラスは部屋の断熱性を高めてくれるため、日の当たりにくい窓や寒冷地などに向いています。
反対に、遮熱ガラスは熱も太陽の光も防いでくれるため、西日や夏の日差しが気になる窓に設置するのが向いています。
断熱ガラスと遮熱ガラスはそれぞれ特徴が異なるため、状況や環境によって使い分けるのをおすすめします。
まとめ
この記事では断熱ガラスについて詳しくお伝えしてきました。
記事のポイントを以下にまとめます。
- 断熱ガラスとは熱の移動を抑える機能のあるガラスのこと
- 断熱ガラスは室内の熱を外に逃がさない効果を持ち、遮熱ガラスは太陽の日射熱が室内に入らないようにさえぎる効果を持つ
- 断熱ガラスは補助金制度を利用することで費用を抑えられる
断熱ガラスにはさまざまな種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。
居住地域の環境や予算に合ったガラスを選ぶことが大切です。
「自分の家にピッタリのガラスが知りたい」「断熱性の高いガラスに交換したい」など、ガラスについてのお困りごとはぜひガラス110番までご相談ください。
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