「自宅のトイレの調子が悪いけど、タンクが原因かな?」「トイレの流れる仕組みってどうなっているんだろう?」など、トイレタンクについて疑問をお持ちではありませんか?このコラムではトイレの水が流れる仕組みや、タンクの異常がわかるチェックポイントについてお伝えします。
タンクが原因の故障の、トイレの修理方法もお伝えします。トイレの修理を自分で試してみたいという方も、トイレの構造について興味があるという方も、ぜひご一読ください。
トイレのタンクの構造はどうなってる?
いわゆるトイレの「流す水」を貯める部分であるトイレタンク。タンクのフタを取り外すと、中にはさまざまなパーツがあります。そのパーツでタンクがどのように動いているのか、構造からご説明します。
・タンクの中のパーツ
まずはそれぞれのパーツの役割について、確認していきましょう。
・浮き球
浮き球はその名のとおり、タンクの中の水に浮いている球状のパーツです。タンク内の水の量に合わせて浮き沈みします。こうした浮き球の上下の動きは、水位を知るための手がかりとなります。
・支持棒
支持棒は浮き球とつながっている細い棒の部分です。浮き球の動きをその先にあるボールタップへ伝えます。こうして支持棒が伝える情報は、タンク内の水位としてボールタップに伝わります。
・ボールタップ
ボールタップは、支持棒からの情報をもとにタンクの水位を把握します。そしてその水位に合わせ、タンク内への給水の調節をします。
・オーバーフロー管
タンク内の水が外に溢れるのを防ぐ役割を持ったパーツです。詰まりなどでタンクの水が溢れてしまいそうなとき、タンク内の水を便器へ流します。
・ゴムフロート(フロート弁)
タンクの底部分にある、ゴム製のフタです。トイレの水を流すハンドル(レバー)を回すとこのゴムフロートが同時に開き、タンクから便器へと水を流します。この水が、便器の中の汚物を流すのです。
・ハンドルのアームと鎖
ハンドルには、アームと鎖がついています。アームから鎖、鎖からゴムフロートへとハンドルの動きが伝わる仕組みです。ハンドルの動きに連動してゴムフロートを持ち上げます。
・トイレが流れる仕組み
タンク内のパーツについて確認してきました。それではこれらのパーツがどのように連動してトイレの水を流すのか、その仕組みを確認してみましょう。
まず水の流れる仕組みの最初のアクションは、トイレを使用した後に人がハンドルを回すことから始まります。ハンドルが動くのをきっかけに、タンクのフタであるゴムフロートが開き、タンクから便器へと水が流れる仕組みです。
水が流れると、タンク内に浮かんでいる浮き球が減っていく水位に合わせて沈みます。それをボールタップが察知し、タンク内へ再び水を供給します。
タンク内の水がなくなるとゴムフロートは閉じて、タンクにフタがされます。そこへ水が溜まって浮き球が上昇すると、ボールタップは給水を停止し次に備えます。トイレはこのように、タンクの中の各パーツがうまく連動して水を流しているのです。
症状に合わせてチェックするタンクのパーツ
トイレに不具合のチェック方法は、その症状によって異なります。ここでは、チェックするときのポイントを解説していきます。
・チェック前に注意すること
トイレの不具合が起きたときは、あれこれ修理を試す前に、まずは故障の原因を突き止めることが大切です。原因がはっきりしていない状態でトイレの修理を試すのは、トイレの故障の悪化につながってしまう可能性があるからす。
そこで次の章では、故障の原因の調べ方をご紹介します。トイレの不具合の症状別に確認していきましょう。
・水が流れない
トイレの水が流れなくなってしまった。そんなときは、以下の3点を確認してみましょう。
・止水栓
タンクの外にある止水栓。タンクに水を供給するためのパイプです。この止水栓が閉まっている場合は、タンクへの給水がされないので水が流れない原因となります。
・浮き球
タンク内の水に浮かんでいる浮き球。この浮き球が動かないと、タンクへの給水がされません。浮き球につながる鎖が、どこかに引っかかっていないかなどを確認しましょう。
・ボールタップ
ボールタップの詰まりが生じると、タンクに水が供給されません。トイレの水が流れない場合、このボールタップに水アカやゴミが詰まっている可能性があります。ボールタップのピストンバルブを取り外し、詰まっていないか確認してみましょう。
・水が止まらない
水が止まらなくなって溢れてしまいそう!水が止まらなくなった原因は以下の6点が考えられるので、チェックしてみましょう。
・手洗い管
水を流すと同時に流れる、タンク上の手洗い用の管。トイレの水が止まらないのは、この手洗い管の劣化が原因の場合があります。手洗い管の接続に使われているナットがゆるんだりパッキンが劣化していたりしないかを確認してみましょう。
・オーバーフロー菅
オーバーフロー管は、タンク内の溢れそうな水を便器へ流してくれる管です。このオーバーフロー管が故障すると水が止まらなくなることがあるので、チェックが必要です。
・ゴムフロート(もしくは鎖)
ゴムフロートと鎖が絡まっていたり、ゴムフロートに水アカなどがついていたりすると、ゴムフロートがフタとしての役割を果たせない場合があります。ゴムフロートが原因でないかのチェックも無駄ではありません。
・浮き球
タンクの水位を確認するための浮き球が破損している可能性もあります。浮き球に穴が開くなどの破損が生じると、浮き球は水に沈んで機能しなくなるためです。
・ボールタップ
タンクへ水を供給するボールタップが故障していると、タンクへの給水が止まらなくなる場合があります。ボールタップも劣化していくものですので、長年使用しているトイレでは、このボールタップが故障していることも考えられます。
・レバー
そもそも水を流すためのスイッチである、レバーが故障していることも考えられます。レバーが劣化によって錆びたりすると、回転が悪くなりレバーがもとの位置に戻らなくなってしまうことがあります。こうしたレバーの劣化が原因でないかもチェックしてみる必要があります。
自分でタンクを修理する方法
水が流れない場合と止まらなくなった場合とに分けて、トイレの故障原因の確認方法をご紹介しました。次は、タンクの修理を自分で直したいという方のために、タンクを自分で修理する方法をお伝えします。
・最初に止水栓を閉めましょう
溢れそうな水を今すぐ止めたい!そんなときはまず、止水栓を閉めましょう。タンクへの水の供給パイプである止水栓を閉めれば、とりあえず流れ続ける水を止めることができます。
・手洗い管に異常がある
手洗い管のナットやパッキンの状態を確認してみてください。水が止まらないときは、手洗い管の接続部品の劣化による故障の場合があります。ナットがゆるんでいたら締め直し、パッキンが劣化していたら新しいものと交換しましょう。
・浮き球が引っかかっている
浮き球がタンク内に引っかかっていないか確認しましょう。浮き球がタンクの壁などに引っかかっていると、水位が上がらないために、ボールタップが閉じずに水をタンクへ流し続けてしまうのです。浮き球が引っかかっている場合は、浮き球が水に浮いた状態に戻しましょう。
・ボールタップが汚れている
タンクへ水を供給するボールタップは、時間とともに劣化していきます。ボールタップは浮き球からタンク内の水量を察知しますが、劣化するとこの機能が失われている場合があります。
ボールタップの故障を確認するために、浮き球をタンクの上の方へ持ち上げてみましょう。このとき、タンクに供給されている水が止まらない場合は、ボールタップの故障が原因です。新しいボールタップへ交換するなどの対処をしましょう。
・ゴムフロートの鎖がずれている、切れている
タンクのフタであるゴムフロートの鎖部分を確認してみましょう。ゴムフロートの鎖は、レバーの動きをとゴムへと伝える機能があります。この鎖部分がずれたり切れたりしていると、ゴムフロートがフタとしての役割を果たすタイミングがつかめません。鎖のずれを直し、切れている場合は新しいものへと交換しましょう。
・レバーが動かない
レバーが錆びたりすると回転が悪くなり、動きが悪くなります。レバーが回転後にもとの位置に戻らないと、タンク内のパーツは作動し続け水が止まらなくなります。レバー部分が錆びている場合は、まずはタンク内にあるレバーの心棒に潤滑油をさしてみましょう。それでも改善しない場合は、レバーを一度分解して錆を取り除きましょう。
・オーバーフロー菅に届かないのに水が止まらない
水が止まらないとき、タンク内の水位がオーバーフロー管の高さまでない場合はゴムフロートに原因があることがあります。ゴムフロートのフタとしての機能が悪く、タンクに水が溜まらないので水が流れ続けているのです。
このような場合のときは、ゴムフロートの掃除をしましょう。ゴムフロートとタンクの間にゴミがあれば取り除きます。またゴムフロート自体にも水アカなどのゴミが付着していることがあるので、きれいに取り除きましょう。
・オーバーフロー菅まで届いていて水が止まらない
タンク内の水位がオーバーフロー管の高さまであっても、水が止まらない。そんなときは、浮き球やボールタップの故障を疑いましょう。浮き球が破損したりタンク内に引っかかったりしてはいませんか。浮き球が正常であれば、ボールタップの劣化や故障が原因です。
ボールタップの修理には、バルブ部分を取り出しゴムパッキンを交換する方法があります。また劣化が進んでいる場合には、新しいボールタップへ交換するなどの対処をしましょう。
・作業が終わったら止水栓を開けましょう
すべての修理作業を終えたら、止水栓を開きましょう。タンク内へ再び水が供給されます。レバーを回転させるなどして、トイレの流れが改善されたか確認しましょう。
やっぱり業者に依頼するべき?迷ったときの判断基準
でも、トイレの修理ってなんだか難しそう…と不安をお持ちの方。トイレの修理は、自分でする以外にも業者へ依頼するという手段もあります。最後にトイレ修理を業者へ依頼するか迷ったときの判断の基準について、お伝えします。
・業者に依頼した方がよいケース
自分での修理に自信がないときは、トイレ修理のプロである業者へ依頼するのがおすすめです。修理作業をする時間がなかったり、手間が面倒に感じたりするときは業者へ依頼すれば手間なく簡単に修理ができます。
また、自分で修理しようとしてもうまくいかないときや、いざ修理をしようとしてもトイレに合うパーツがわからないようなときにも、業者の技術や知識を使った作業が可能です。以上の点で迷っているような場合は、業者の利用がおすすめです。
・連絡するときのポイント
業者への依頼を決めた場合は、まず業者への連絡が必要です。その際、トイレの故障原因がわかっている場合は業者へ伝えましょう。このコラムを参考に故障原因をチェックしている場合は、トイレの不具合の様子を業者へより明確に伝えることができると思います。
また業者へ依頼する前に自分で修理を試した場合は、そのようなことをしたのか業者へ伝えましょう。作業によって故障具合が複雑化している場合もあるので、業者が的確な修理をするための手がかりとなります。
・業者を選ぶ5つのポイント
トイレの修理は信頼できる業者に頼みたい!と誰もが考えると思います。信頼できる業者を選ぶためのポイントを確認しましょう。業者を選ぶには、以下の5つのポイントがあります。
・相見積りをとる
より信頼できる業者を選ぶためには、いくつかの業者で見積りをしてみましょう。多くの業者が、無料で見積りをおこなっています。
何社からか見積りをとった上で、修繕費とその明細を確認しましょう。きちんとした作業内容が含まれているか、作業内容に見合った金額になっているかなどが比べる際のポイントです。
・業者の種類
トイレの修理を依頼する場合は、下水道の修理をおこなっている業者の選択が必要です。水道業者は上水道と下水道とに分かれているためです。下水道の修理業者は上水道も扱っている場合は多いですが、業者を選ぶときにはあらかじめ確認をしておきましょう。
・実績
業者の実績を確認しておくことも大切です。これまで修繕してきた件数や、利用者の声などの実績は、業者のホームページなどで確認できます。実績は業者のそれまでの功績を示すものですから、しっかり確認しておきましょう。
・丁寧な対応
業者によって、対応の丁寧さは異なります。例えば見積りについては希望すれば現地調査をして見積りを出せる業者もあります。その他作業後の保証がしっかりしているかなど、しっかりとした対応をしてくれる業者かどうかをチェックしましょう。
・資格
業者を資格から判断するには、水道局が指定している業者であるかどうかが一つの判断材料です。またスタッフの熟練度なども気になるとことですが、その判断には業者の実務年数などが参考になるでしょう。
まとめ
トイレの水が流れる仕組みや、タンクの異常を見つける方法をお伝えしてきました。トイレのタンク内には各パーツがあり、それぞれの役割を担っていることがお分かりいただけたかと思います。トイレのタンクは、水を流すためには欠かせない部分なのです。
またタンクが原因で故障した場合の修理方法も、お伝えしました。トイレの不具合のチェックをして、タンクに原因がありそうなときは、ここでお伝えした方法をぜひ試してみてください。
トイレ修理をご自分で試しても改善しない場合は、業者への依頼がおすすめです。あれこれ試して不具合が悪化しないよう、早めに業者へ依頼しましょう。ご自宅のトイレの不具合が、早く解決できるよう願っています。