木の形を整えるときにおこなう作業に、「刈り込み」と「剪定」があります。それぞれの作業は、目的も方法も違う別々のお手入れ方法です。刈り込みと剪定の違いやメリットやデメリットを理解しておくとで、庭木の手入れがより楽しくなるでしょう。
このコラムでは剪定と刈り込みの違いから方法までを解説しています。また、これを読めば業者に頼むことになったときに知りたい費用相場や業者依頼のメリットもわかります。庭木をお持ちの方はぜひ参考にしてください。
刈り込みと剪定の違い
刈り込みと似た作業に「剪定」というものがあります。どちらも木に施すお手入れなので同じものだと混同してしまいそうですが、剪定と刈り込みは違う目的のためにおこなうものなのです。刈り込みと剪定の違いについて理解を深めて、使い分けられるようになると、お庭の手入れが楽しくなりますよ。
刈り込みとは?
刈り込みは木の輪郭の形を整えるために枝や葉を切ることです。「刈る」という言葉のとおり、木の枝や葉を外側から刈っていき、形を変えていきます。生け垣の形を整えるときなどによくおこなう作業です。
・メリット
木の形がきれいになります。刈り込みは見た目や機能性(道路にはみ出した枝を切るなど)重視でおこなう作業です。きれいに植木を刈り揃えれば、庭の整理にもなるでしょう。
・デメリット
刈り込みは枝の密度などは関係なくおこなうので、木の健康状態を守るためのお手入れとしてはあまり適していません。あまり枝を切り過ぎると、ダメージとなってしまう品種の木もあります。
ダメージの大きさや木の状態によっては、刈り込みによって枯れてしまうことも。刈り込みをおこなう際には、その木の状態やおこなってもよい品種か必ず確認しましょう。
剪定とは?
剪定は残したい枝を残し、不要な枝を切り落とす作業です。伸びすぎて邪魔な枝を切って整えたり、枝を減らすことによって風通しをよくしたり、枝の伸び方を変えたりする目的があります。この作業はお手入れという感覚で、期間をおきつつ定期的におこなうことが多いです。
・メリット
剪定をすることで得られるメリットは、「木が強くなる」ことと「枝を美しく整えられる」ことです。木は枝や葉が伸びすぎると栄養が偏ったり、風にあおられて折れやすくなったりします。これを防ぎ、木の形も美しくなるのが剪定なのです。
・デメリット
剪定のデメリットとしては、失敗したときに木が枯れていることがあるということです。枝を切るのは木にとって負担の大きい作業で、切り口の処理が不十分だとそこから病気になることがあるのです。また剪定に適さない時期に木を切るのも木に大きな負担をかけてしまいます。
庭木の種類によって適した剪定方法があります
剪定や刈り込みは、木の種類によって適したやり方が違います。さらに木の品種によっては剪定をおこなう時期も違うので、正しい知識を持っていることも大切。
自分の庭木を、刈り込みで手入れするのか、剪定で手入れするのか、ベストな方法がわからないときは業者に頼んでみると、最適なお手入れをしてもらえます。
剪定の時期とそれぞれの方法
今後何度も剪定をするのであれば、自分でおこなう方法を覚えておきましょう。やり方の要点を押さえて、庭木で少しずつ練習していけば上達できるはずです。
剪定に適した時期
木によって剪定は夏におこなう「夏剪定」が適した種類と、冬におこなう「冬剪定」が適した種類、そしてその両方をおこなうものがあります。ここでは、木を「落葉広葉樹」「常緑樹」「針葉樹」にわけて、それぞれに適した剪定時期を説明しましょう。
・夏剪定:針葉樹と常緑樹
針葉樹の剪定は冬が終わった春先の、暖かくなるころにおこないましょう。針葉樹の剪定には3月から5月ごろが適しています。また、常緑樹も暖かい時期におこなうのが適していて、6月から10月ごろがおすすめです。
・冬剪定:落葉広葉樹
落葉樹は冬の間に葉を落として冬眠する品種です。落葉樹を剪定するのは葉が落ちている11月から2月ごろにおこなうのがよいでしょう。木の健康にとって適していますし、葉が落ちるので樹形が芽で確認しやすいという作業上でのメリットもあります。
詳しくは剪定時期の解説記事をご覧ください。
「剪定」の方法
剪定するときには道具を整えましょう。必要なものをリストアップしました。
- 剪定バサミ
- 剪定ノコギリ
- 割りばし(害虫をつまんで処理するため)
- ゴミ袋(枝を捨てるため)
- 軍手
- 脚立やはしご
これだけあれば、ほとんどの木の剪定に対応できるでしょう。必要に応じて長袖の衣服などをそろえ、けがをしないように作業に臨むようにしてください。
関連記事:最低限必要な剪定道具一覧
剪定する枝の見分け方
剪定で残すべきなのは、木の中心の幹から地面に水平方向に伸びている枝。それを前提に考えると、幹と同じ方向に伸びる枝や、地面の方に向かって伸びる枝は不要な枝ということになります。
また、2本の枝がクロスしてしまっているときや、枝が密集しているところは間引く必要があるので、そのような観点から見分けていってください。
関連記事:切るべき忌み枝の種類
剪定手順
最初にするのは木の完成形をイメージすることです。木の枝が広がりすぎかなと思ったら枝の長さを整えていき、葉が多すぎるのなら枝の数を減らします。イメージができたら、不要な枝を切りましょう。
枝を切るときには、「芽」の上で切ると、その後の生長をある程度調整できます。芽は枝の下側(地面側)についているものを残してください。下についた芽を残して切ると、そこからバランスよく枝が成長するでしょう 。
「刈り込み」の方法
枝選びが必要な剪定と比べると、刈り込みはより大雑把にできる作業だといえます。必要な道具は剪定と似ています。
- 刈込バサミ
- 剪定用ノコギリ
- ゴミ袋
- 軍手
- 脚立やはしご
- チェーンソーやバリカン(あると便利)
・作業手順
刈り込みでも、まずは木のでき上がりを想像します。特に生け垣などを刈り込むときは、彫刻のような「形をつくる」作業ですので、フォルム重視のイメージを頭に浮かべながら進めましょう。刈込バサミやチェーンソーなどで、木の枝の輪郭からはみ出したものを切って長さをそろえていってください。
・バリカンやチェーンソーで効率アップ
「刈込バサミ」は刃の長い大型のハサミです。広い範囲を同じ長さにそろえることができる道具ですが、「バリカン」というものを使うともっと作業が楽になります。
バリカンはチェーンソーのような枝刈り機で、葉を当てるだけで刈り込みをすることができます。作業を効率化するのなら、バリカンやチェーンソーを使うとよいでしょう。
刈り込み・剪定のお手本はプロの剪定作業
刈り込みや剪定の基礎をお伝えしましたが、一番よいのが実際に剪定されている木を見てみることです。植木屋さんや庭師さんが刈り込みや剪定をしている木は民家や公園、道路沿いなどにもあります。どのような密度剪定するのがよいのかの感覚をつかむための参考にできます。
自分で刈り込んだり剪定をするのに自信が持てなかったりするときは、業者に依頼してみるのもよいでしょう。剪定スタッフのやり方をみて、次は自分でやってみるという業者の活用方法もあります。業者探しのときは弊社で無料相談・無料見積りが気軽にできますので、ぜひご利用ください。
庭木の剪定は自分とプロどう違うの?
自分の木を自分で剪定するのは、世話をしている楽しさを味わえるというメリットがあります。いっぽう、経験と技術を蓄積している業者なら安心感をもって任せられますよね。それでは、そんな業者依頼はどのくらいの相場でできるのでしょうか。
熟練のプロに依頼するメリット
自分で剪定をおこなうのと業者に依頼するの、大きく差が出るのが仕上がりの美しさとスピードです。
刈り込みで必要な切るときの道具さばきの技術や、全体的な仕上がりのイメージなどは経験によって培われるものなので、現場で刈り込みをこなしている業者の作業はスピードも早く、きれいな仕上がりが期待できます。
また剪定ではその後の木の生長も見越して作業をします。技術と経験で、「こういう木にしたい」という希望通りにしてもらえる点が業者を選ぶメリットです。また、高所での作業や虫刺されなどの危険を回避できるのもよい点といえるでしょう。
剪定の料金形態と費用相場
剪定の作業料はスタッフの人数と働く時間で決まる「時給制(日当制)」と、何メートルの木を何本剪定するかという本数によって決まる「単価制」の2種類があります。
それぞれ業者によって採用しているシステムが違います。ここでは「作業料」に関して、全国の業者をランダムに選んで算出した相場をみていきましょう。
・時給制(日当制) :20,000円/日
時給制の場合は「1日ひとり20,000円」というのが相場です。この料金体系の業者の中には、「半日」や「1時間」などの時間単位を設けているところもあります。その場合は、たとえば半日であれば10,000円程度というふうに割り算した額が作業料金になります。
時給・日当制の料金は「作業時間×人数」で決まると覚えるとわかりやすいでしょう。詳しい料金はそれぞれの業者について調べることになります。
・単価制 :6,000円/5mの立ち木1本
単価制は一般的な立ち木で5メートルのものが6,000円の相場です。また、生け垣は幅1メートルで2,000円程度の相場になります。単価制は木の高さによって値段が変わりますので、5メートルというのも目安としてとらえてください。
詳しくは庭木の剪定費用相場をまとめた記事をご覧ください。
剪定以外にかかる費用とは
相場のところで紹介した料金は、枝を切るという剪定の作業にかかる「作業料」の相場です。業者に頼むときには、作業料以外にも料金がかかるので、実際に支払う金額は少し高くなると考えましょう。剪定の作業料以外には、次のような費用があります。
- 片付け費用
- 現場までの出張費
- 基本料
- 材料費
片付けの費用は作業料に含まれている場合があります。また、基本料を設定しているかは業者により違いますので、確認してください。材料費は、太い枝を剪定したあとにつける薬などでかかることがあります。
業者に依頼をする前に相見積りをしよう!
業者によって費用として公開されている料金は、「作業料」だけであることが多いということをお伝えしました。出張費や材料費は現場によって請求額が変わるので、業者側も明記しづらい現実があります。作業料を合わせた正確な合計費用は、業者に問い合わせて確認しましょう。
見積りで料金をシミュレーションすることは、思わぬ高額請求を避ける上でも大事だということがわかっていただけるかと思います。弊社の業者紹介では、見積りを無料で取っていただくことができます。まずは費用を知ってから判断したいという方は、無料相談にお問い合わせください。
まとめ
刈り込みと剪定はそれぞれ目的の違う作業です。剪定や刈り込みの方法をご紹介しましたので、参考にしつつ、庭木に必要な工程を選んで実践してみてください。
剪定や刈り込みは、その木の見た目を大きく左右する、人間でいうとヘアカットのようなものです。見た目にこだわりたい木に手を施したいときは、十分に気をつけながらおこなってください。自分での作業に自信がなくても、業者に頼めば思い通りの形にしてくれることでしょう。