梅雨も本格化という感じになってきました。毎日、どんよりしている上に、湿度が高くジメジメしているので気分が晴れません。体調がすぐれない…という方も多く、本当にうんざりする季節です。
こんな時期にまいってしまうのは、人間だけではありません。植物にとっても、この時期は厄介です。植物の天敵、害虫は高温多湿の環境を好みます。害虫が好む時期だからこそ、植物に対してもケアが大切なのです。
今回は、害虫が繁殖原因になっている「すす病」を取り上げたいと思います。すす病の原因を知り、対策を施していきましょう!
すす病が植物に与える影響
すす病は植物の葉の表面に黒い斑点が広がる病気です。ススが付いたように見える症状なのでこの名前がついているようです。黒いすす状の斑点が広がったあと、その鏡面は被膜が薄く張ったようになっていきます。
ススが被ったような葉は見た目が損なわれてしまうのはもちろんですが、植物にとってもあまり良い状態とはいえません。
光合成を妨げる可能性がある
植物は光合成をすることで生長していることはみなさんもご存知の通りかと思います。一部の葉にだけならほとんど問題にならないこともありますが、すす病は葉の部分だけではなく、茎や枝にも広がってしまうことがあり、光合成の妨げになる恐れがあるので注意が必要です。
黒くなってしまった植物は光合成をすることができません。光合成ができなければ植物は必要な栄養素を作り出すことができず、弱体化してしまうこともあります。枯れるまでには至らないことが多いようですが、すす病が植物の広範囲に及ぶことは避けるに越したことはありません。
また、すす病は葉の表面だけでなく内部にも侵入するようです。植物の今後の生育には好ましくない影響を与える可能性が高いといえます。光合成が十分にできない身体になってしまえば、花を咲かせることを楽しみにしていても叶わないかもしれないのです。
すす病の原因
すす病はどのような種類の植物でも発症する可能性があります。
葉の見た目に異変が起きてすす病だと気が付かれる方が多いようです。
初期段階では、黒いすす状の斑点が小さく現れます。この時点で気が付けると、対策しやすいようです。対策の前に、原因を確認してみましょう。
主な原因はカビ
原因は主にカビによるものだといわれています。糸状菌と呼ばれるカビが葉の上で繁殖することで寄生したものがすす病の正体です。
カビが繁殖するために必要な養分は、植物そのものから分泌される有機物質でもありますが、害虫がからんでいる場合は病気がより広範囲に及びやすくなります。
アブラムシ・カイガラムシ・ハダニなどの害虫は、排泄物を残します。これがカビの養分となるのです。害虫は植物の生長のために、早めの駆除が必要といえます。
害虫の影響もある
すす病は1年を通して発症の可能性がありますが、4~10月は特に注意が必要なようです。カビが原因であるすす病ですが、発症の要因に大きく影響しているのは害虫です。
真冬は季節が乾燥してカビが繁殖しにくいというだけでなく、虫の活動が鈍くなるために被害は起きにくい傾向があります。しかし、冬に軽減したからと安心してしまうと季節が変わり、虫の活動とともに再び発症してしまうことがあります。
悪循環に陥らないよう、冬の間に予防をすることで被害をおさえましょう。
すす病を避けるには
カビの繁殖を抑えることが一番の予防法といえます。しかし、すす病は珍しい病気ではありません。発症してしまった場合には、被害が広がらないように注意します。
害虫を寄せ付けないこと
害虫の排泄物がカビの養分になります。アブラムシ・カイガラムシ・ハダニなどの害虫が少しでも発生しているのであれば、まずは害虫駆除を徹底した方がいいでしょう。環境を整えたら薬剤を使用するなどの防虫予防も行うことで、すす病の予防がより効果的に行えます。
葉を殺菌する
すす病が発症した葉をそのままにしておかないことが大切です。すす病が発症した部分に、殺菌剤を散布します。ベンレート水和剤などの殺菌剤が有効です。病気の治療のようですが、直しているのではなく新たに広げないために殺菌剤を散布しているといえます。
すす病を発症した部分が元通りの色を取り戻せることはほとんどないといって差し支えありません。そのため再発防止、つまりカビの拡散を防ぐ必要があるのです。
すす病になった部分を取り除く
すす病によって変色した範囲が小さい場合には、その部分を排除してしまうことも有効です。何本かある植木全体がすす病にかかっているけれど、一本ずつで見ると範囲が限られている場合には、剪定して拡散を抑える方がいいかもしれません。
日当たりと風通りをよくしましょう
日当たりがよく風通しのいい場所は、カビにとっても繁殖しづらい場所であり、害虫も好まない場所でもあります。植物を置く場所を変えてみるのもいいでしょう。
害虫も高温多湿の環境を好むのです。
大切な植物を守るためには、余分な草や木がない方がいいのです。葉や枝が込み合っていると、風通しは悪くなってしまいます。そのため病気になるリスクも高まりやすいといえます。こまめな剪定は植物の管理に欠かせないものなのです。
また剪定だけでなく大切な木を残し、必要のない庭樹は伐採するなどの管理を行うことも大切です。
すす病対策には、殺虫剤も有効
すす病の原因であるカビの繁殖を抑えると、すす病は発症しにくくなります。
カビの養分をばらまいている害虫を殺虫剤で駆除すると、収まる可能性もあります。葉の殺菌のみでなく、殺虫剤も合わせて使用してしましょう。
植物に害虫を残さないことが対策としても有効です。
害虫を見つけたら、月に数回にわたって殺虫剤を散布しましょう。
害虫駆除におすすめ
市販の殺虫剤を使用する際には以下の種類を選ぶと、アブラムシ・カイガラムシ・ハダニの駆除に有効です。
・乳剤タイプの殺虫剤
有機リン系殺虫剤など、さまざまな種類があります。水で薄めてから使用しましょう。害虫駆除に幅広く使える代表的な殺虫剤といえるでしょう。
・アセフェート
家庭でも使いやすく、広く普及している殺虫剤の成分です。水和性なので、水に薄めて使います。分包タイプは計量せずに使えるところが便利です。
効果は他のものと比較すると穏やかに作用しますが、効果の持続性が高いのがメリットです。アブラムシやカイガラムシだけでなく、ケムシやアオムシにも効果を発揮します。
水和剤ではなく粒状のタイプもありますが、効果は変わらないと言われています。根元の土に撒くだけで効果を期待できるので簡単で便利です。
まとめ
- すす病はカビ菌によって引き起こされている植物の病気
- 広範囲に及ぶと、植物の弱体化につながる可能性がある
- 予防にはカビの養分となる害虫駆除が効果的
- すす病になった葉や茎は剪定して整えることも必要
- 剪定は植物の健康のためには不可欠な管理