水漏れが突然発生することは珍しくありません。早急に水漏れ被害を止めることができなかった場合は水があふれ返り、マンションなどの集合住宅では下階の部屋にまで到達することがあります。そのため、自身が被害に遭うだけでなく、加害者にもなりうるのです。
また、戸建住宅では加害者になることはないものの水漏れは発生します。
場合によってはリフォームが必要になった場合、費用を工面するのは容易なことではありません。そんな時に保険に加入していると、少しでも負担を減らすことができるでしょう。
今回は、水漏れ時に適用できる保険を2つご紹介します。それぞれの特徴や内容を把握したうえで今一度自身の加入状況を見直してみましょう。
もしもまだ水漏れが止まっていないなら、まずは水漏れの直し方の記事を見て、適切な応急処置や修理をおこなってください。
水漏れ時に使える損害保険は?
水漏れが発生した場合、修理費用、損害賠償などがいくらかかるか気になるところです。賃貸であればオーナー側が負担するケースもありますが、大抵は実費を出さざるを得ない場合が多いです。
戸建住宅にお住まいの方は損害補償に加入していなければ全額自己負担になりますし、マンションなどの集合住宅で床下まで水漏れしてしまうと、下階の住民の部屋まで水が浸食している可能性もあります。
そうなった場合は損害賠償を請求されてしまうでしょう。リフォームを要するほどの被害状況であれば負担額は計り知れません。
そういった「もしも」のためにも保険に加入しておきたいところです。高額な出費になってしまう被害に遭っても、保険が適用されれば負担を減らすことができます。
では、水漏れが発生してしまった場合適用できる保険は何があるのでしょうか。また、どのような場合に適用されるのでしょうか。
水漏れは損害保険が適用可能か
水漏れが発生した場合、適用することができる損害保険は主に2種類あります。
■火災保険
基本的な火災保険では”適用外”になる。
通常の火災保険に付加する形で加入する水漏れ補償に入っていれば”適用可能”。
■個人賠償責任保険
集合住宅に住んでいて自分の不注意により階下の住人に迷惑をかけてしまった場合に”適用可能”。
ただし、加入者個人の被害に関しては”適用外”なので注意が必要。
保険の補償・プラン内容をよく確認しておく
保険が必要になる場合は予期せぬタイミングで訪れます。いざというときに混乱しないよう、事前に「どの保険に入っているのか」また「補償内容はどうなっているのか」の確認を行うようにしましょう。
上記にてご紹介した「火災保険」と「個人賠償責任保険」。ではそれぞれどのような保険なのでしょうか。
火災保険の水漏れ損害補償って?
火災保険は「建物と建物内にある動産(家具・日用品)を保証する保険」になります。しかし、基本的には建物にのみ保険適用になる場合が多く、保険加入時に建物のみに保険をかけていると建物の被害分だけの保障になります。家具に被害を受けていても補償金は受け取ることができません。
「火災」保険という名ですが、火災以外にも、自然災害や衝突、盗難、水漏れにも対応しています。ただし、加入時に申請をおこなっていない場合は保障されないので注意が必要です。
漏水・水漏れ補償の概要
【保険が適用される場合】
・建物内外の給排水設備に生じた事故
・他の戸室で生じた事故に伴う漏水・放水・溢水
給排水設備とは、水道管、排水管、給水タンクなどのことを指します。つまりは、個人の不注意で起こらない水漏れが保障の範囲になります。
【保険が適用されない場合】
・個人の不注意による水漏れ
・雨漏り
個人が注意すれば発生しなかった水漏れは保障されません。また、雨漏れは基本的に保障されないですが、台風などの風害に遭った場合に起こりうる天井からの雨漏りであれば、保障される場合があります。
【保険料は建物規模で変動】
戸建住宅の場合は規模によって値段が変動します。新築の場合は住宅ローン加入時に火災保険もあわせて加入すると割引されることがあります。集合住宅の場合は戸建住宅よりも安く加入できる場合が多いです。
また、火災保険は一括払いが可能の場合があります。
一括で支払った場合は割引金額も多く、毎年支払うよりもお得になる場合があります。金銭面に余裕がある場合や、火災保険に長期加入をするのであれば、検討してみるのもいいでしょう。
【加入する上での注意点】
基本的に家財の保証はない!!
家財の保証は基本的に含まれておらず、任意の場合が多いです。加入時にしっかり確認を行いましょう。 |
補償が受けられたケース
・トイレからの水漏れ
・お風呂場の排水溝が詰まった際の水漏れ
・水道管が凍結して破裂した場合
補償が受けられなかったケース
・老朽化による破損・故障が原因の水漏れ
・洗濯機の排水ホースが外れたことによる水漏れ
・お風呂のお湯を貯めすぎてあふれた場合による水漏れ
個人賠償責任保険とは
個人賠償責任保険は、平たく言えば「普段の生活で他人に怪我を負わせたり、物を壊して賠償責任が発生したりする時に適応される保険」です。
その為、マンションなどの集合住宅にお住まいの方が加入しておくと、部屋で水漏れが発生した場合に他者への損害賠償の負担を減らすことにつながります。
個人賠償責任保険について詳しく知っておくと、水漏れはもちろん他のトラブル時にも役立つでしょう。
個人賠償責任保険の概要
■保険が適用される場合の一例
・マンション等で水漏れし、下の部屋にまで浸食した場合
・自身の飼育しているペットが他人に危害を加えた場合
・人にぶつかってけがを負わせた場合
■保険が適用されない場合の一例
・家族にけがをさせた場合
・わざとけがをした・させた場合
・仕事中の事故
・他人からの借用物を破損させた場合
■保険の対象者の範囲
・個人(本人)
・配偶者
・親族(同居している場合)
・生計を一にする別居の未婚の子
個人賠償責任保険の特徴として適応範囲が広いことが上げられます。したがって、家族のうち1人が加入をしていれば保険の対象になります。
■個人賠償責任保険は単体では加入できない
個人賠償保険は単体では加入できず、大抵は他の保険に特約で付帯加入することになります。自動車保険や損害保険、火災保険に付帯していますが、最近ではクレジットカードに付帯している場合も多いです。
■保険料はとても安価
個人賠償責任保険は月々の保険料がとても安価です。加入しておくといいでしょう。また、月額金額を減らした場合、ほとんど元値と変わりなくとも、もらえる保証金額が大きく変動する場合があります。
加入するのであれば、基本的に保険料を減らすのは避けた方がいいでしょう。
【加入する上での注意点】 ■個人賠償責任保険が重複加入している可能性がある 個人損害賠償責任保険は何らかの保険やクレジットカードに付帯している保険のため、知らぬ間に重複して加入している可能性があります。クレジットカードや不要な保険の解約時は当保険も解約することになるので、加入時や解約時にはしっかりと確認をおこないましょう。 また、集合住宅の場合は大家さん側で加入している場合があるので、一度問い合わせをすると良いでしょう。 ■余談交渉サービスが付属しているものを選ぶ 余談交渉サービスがついていないと自身が加害者になり被害者との損賠賠償の話し合いをする時は、被害者と保険会社双方と自分で交渉しなくてはいけなくなります。 金銭が発生する交渉はトラブルになりやすいので必ず確認をしましょう。 ■早めに保険会社に連絡しなければいけない 加害者になってしまった場合、救急車や警察など必要に合わせて連絡をおこなったのちに保険会社へ連絡をおこないましょう。連絡が遅れてしまうと保険が適用されず保険金の請求が不可能になってしまうケースがあります。 パニックになってしまいがちですが、冷静に対処をすることが大切です。 |
マンション等で自分が被害者になった場合の留意点
もしマンションなどに住んでいた場合、上階の住民の部屋から水漏れが発生して水漏れ被害に遭うこともあるかもしれません。その場合は地震が火災保険に加入していれば保険会社より補償金を受け取ることができます。
また、加害者側がもし個人賠償責任保険に加入しているならば、加害者側の保険を適用して補償金を受け取ることが可能です。
しかし、被災時に受け取れる保険金はどちらか片方のみになるので二重で受け取ることはできません。
まとめ
水漏れ時に適応できる保険は主に二種類あります。
■火災保険
「建物と建物内にある動産(家具・日用品)を保証する保険」
自身が水漏れの被害者になった場合に適用可能
保険料は建物規模によって変動
雨漏りや個人の不注意による水漏れなど、一部保険適応外のものがある
保険内容によっては家財の補償がない場合がある
■個人賠償責任保険
「普段の生活で他人に怪我を負わせたり、物を壊して賠償責任が発生したりしするときに適応される保険」
自身が水濡れの加害者になった場合に適応可能
保険料はかなり安価
保険単体での加入はできない
また、次の2点を気をつけましょう。
■被害者は「自身の火災保険」と加害者の個人賠償責任保険」の両方から 補償は不可能
■個人賠償責任保険は様々な保険に付帯しているので重複していないか注意する
水漏れ被害の原因は多岐にわたります。自身がどのような内容で契約したのか今一度保険の契約内容を見直し、再検討しましょう。ご不明点があれば、ご加入している保険会社や水漏れ修理のプロにご相談すると解決の糸口が掴めるかもしれません。