庭の木は、放っておくと伸びすぎて見栄えが悪くなり、近隣の敷地にまで入り込んでトラブルの原因になったりもします。では伸びすぎが気になってきた時に適当に枝を切れば良いのか?というと、そうではありません。剪定には植物によって適期というのがあります。このタイミングに剪定に行うと、見栄えが良くなるばかりでなく、木の病気の原因となる害虫の発生を防いだり、種類によっては花や実を付ける場所を決めることも出来ます。ここでは剪定の時期について解説していきます。
剪定の時期について
主に日本の住宅の庭によく植えられている植物が、いつ頃剪定時期を迎えるのか?ということをカレンダーを使い詳しく見てみましょう。
松の剪定時期
まず、松の剪定において重要なのが、「みどり摘み」と言われる、新芽を摘む作業です。これは夏期に差し掛かる前に摘んでおかないと芽が成長して固くなってしまいますので、初夏のうちに取り掛かります。
もみじの剪定時期
逆にもみじは夏期に剪定すると、切る前の長さより切った後の長さの方が長くなってしまったり、切った場所から徒長枝が伸び始め、栄養を奪って木の勢いを弱めてしまいます。そのため休眠期の冬のような時期にもみじの剪定を行った方が良いとされています。
他にも、梅の木は植えてからの年数や季節ごとに剪定の意味が異なり、例えば梅は2年目になると樹形を整えるために冬場に強い剪定を行うことがあります。
冬場の剪定について
木の剪定は、冬場に行うのはあまり好ましくないと言われています。特に厳冬期のような時期にみかんや椿のような常緑広葉樹が休眠に入る時期に強い剪定を行うと、剪定した部分を修復するのに力が奪われて木の勢いを弱めてしまいます。カレンダーには椿が載っていますが、冷え込みが強くなってきた11月ぐらいが最も適しています。花のつぼみを見ながら剪定するのが良いでしょう。これは一方常緑針葉樹は寒さにも強く、冬場に剪定をしても問題ありませんが、より美しい枝作りをしたいなら、葉が芽吹き始める3月から4月の間に剪定を行うのが望ましいでしょう。生け垣にしたり、幾何学的な形に剪定したいという場合は、3月、4月だけでなく、初夏や秋口にも剪定を行っても良いでしょう。
花木について
花の咲く木は、剪定をすることによって樹形を整えたり、花を付ける場所を変えることも可能です。例えば椿であれば、花が咲かない時、「根切り」といって、スケジュールにあるように春の間に幹の根元から30cmくらい離れた場所の根を切ってしまいます。すると根本が水分を吸収しなくなるため、花の芽がつきやすくなります。剪定する時期ではキンモクセイも、よりたくさんの花を付けられるようになります。また開花後の花がら摘みなども重要な作業です。作業を行う際は下記の表をご参考ください。
果樹について
果樹の剪定は収穫後に行うと効果的です。また、天候などによって変化もありますが、剪定によって実の付く場所や量を変えることが出来る場合もあります。木は上へ上へと伸びようとする力が働きますが、このまま上に伸び続けると実がつきにくい場合がありますので、上に勢い良く伸びる枝をあえて切り落とし、横へ伸びるのを促すように剪定を行う場合もあります。ここでは下の表に載っている植物を例に挙げながら果樹の剪定についてご紹介いたします。
果樹の若木の剪定
柿の木やブルーベリーは落葉する冬から早春にかけての時期と、成長が著しい夏ごろに剪定を行い、新しい枝を付けさせることで実付きを良くさせます。成木の柿は時期により強い剪定を行いますが、柿が若木である場合は強い剪定を行わず、出来るだけ日当たりを良くするために弱い剪定を行います。ブルーベリーも同様で、あまり若木に対しては強い剪定を行わない方が良いでしょう。
その他の剪定
剪定をするのは木だけではありません。花も同様に適期に剪定を行う必要があります。例えばゼラニウムは梅雨の時期に葉枯病などが発生しやすくなりますので、出来るだけ日当たりを良くするために成長が盛んで、摘んでもすぐに生えてくる4月から7月、9 月から11月のような時期に剪定を行うことが望ましいとされています。同様に成長が盛んになると、生命力が分散されてしまうため、ラベンダーも時期を見て剪定を行った方が良いとされる植物の一つです。花が咲くと庭も綺麗に見えますし、育てて良かったという気持ちにさせられるものです。
園芸に人気の植物の多くは、剪定を行うことによって、より大きく豊かに成長させることができます。しかし、時期や切る場所を間違えてしまうと、木が弱ったり、切った部分から病気になり、そのまま枯れてしまうこともあります。剪定する時にはその植物に適した時期を見極め、正しい場所を剪定する必要があります。自信が無い、インターネットや本で調べても情報が多すぎて迷ってしまう、そんな時は知識や経験を業者の力を借りるのも一つの手段です。