オリーブアナアキゾウムシの被害に遭ってしまった場合、早急に駆除しましょう。放置すると枯れてしまうだけでなく、食い荒らされて脆くなってしまうので倒れてしまうこともあります。オリーブアナアキゾウムシの駆除は、殺虫剤を使うか捕殺によっておこないます。
また、駆除後の手当ても大切です。被害が大きい場合は業者に依頼して、駆除からその後の手当てまでしっかりおこなってもらいましょう。このコラムでは、オリーブアナアキゾウムシへの処置と予防方法について解説します。
目次
オリーブアナアキゾウムシへの処置の仕方
オリーブアナアキゾウムシへの処置には、駆除と手当てが必要です。ここでは、オリーブアナアキゾウムシの駆除方法と、手当の方法について解説していきます。自分では難しい部分もあるかもしれませんが、その場合は業者に依頼しましょう。
オリーブアナアキゾウムシは「木の根元」にいる
オリーブアナアキゾウムシは幼虫も成虫も、木の根元あたりや木の下半分あたりにいることが多いです。そのため、オリーブアナアキゾウムシを探す場合は、木の根元から見ていきましょう。オリーブアナアキゾウムシは成虫と幼虫で、いる場所が異なります。
・幼虫
幼虫は樹皮の裏側にいます。成虫が樹皮に小さな穴を掘って卵を産み付け、幼虫はそこから内部を食い荒らしながら成長していきます。そのため、裏側を食い荒らされた部分の樹皮は腐ったり変色したりして劣化します。
劣化した部分を見てみると、どこかに小さな穴が見つかるはずです。穴の周辺の樹皮を剥がしてみましょう。幼虫の食い跡や幼虫が発見できます。
また、オリーブアナアキゾウムシは木くずのようなフンを出すため、木の根元に木くずのような物が散らばっていることがあります。木くずのようなフンの周辺を探すと見つかりやすいかもしれません。
・成虫
成虫は夜行性で、昼間は木の根元にある落ち葉や陰になる場所でじっとしていることが多いです。木を支える支柱がある場合、支柱と木のあいだに入る場合もあります。オリーブの木とよく似た色をしているため見つけにくいです。よく観察して見つけましょう。
駆除は「殺虫剤」か「捕殺」で!
オリーブアナアキゾウムシの駆除は、直接捕まえて殺す捕殺か、殺虫剤を使っておこないます。殺虫剤には「スミチオン乳剤」というものがよく使われています。これを適切に薄め、4~8月のあいだに散布します。薄める倍率は製品によって異なります。
散布回数は3回以内とし、収穫する場合、収穫の21日前までに散布してください。また、連続して使用するとオリーブアナアキゾウムシが耐性をつけてしまうため、効果がなくなってしまいます。再度使用する場合はほかの殺虫剤を使いましょう。
被害箇所は手当てをしよう
オリーブアナアキゾウムシの処置では、駆除したあとの手当ても大切です。オリーブアナアキゾウムシの被害に遭うと樹皮の裏側が食い荒らされ、露出してしまいます。この部分を放置すると、病原菌に感染してしまうおそれがあります。駆除が済んだら、食害跡に癒合剤や防腐剤を塗りましょう。
場合によっては食害跡が大きく、強度に不安が残るほど食い荒らされてしまうこともあります。その場合は業者に依頼して補強してもらいましょう。
オリーブの天敵!オリーブアナアキゾウムシの生態
オリーブアナアキゾウムシはその名のとおりオリーブを食害する天敵で、日本固有の虫です。しかし、オリーブはもともと日本には生えておらず、日本に入ってきたのは江戸時代になってからです。外来種であるはずのオリーブを好んで食べる固有の虫が日本にしかいないのは不思議です。
じつは、オリーブアナアキゾウムシはオリーブしか食べないわけではなく、オリーブが輸入される前はほかの木を食べていたようです。昔はとくに目立つ虫ではありませんでした。オリーブが日本で栽培されるようになって目立つなってから発見され、命名されたというのがこの不思議の答えです。
ここからは、そんなオリーブアナアキゾウムシの生態についてみていきましょう。
オリーブアナアキゾウムシが好む環境
オリーブアナアキゾウムシの活動が活発になるのは7~10月の夏で、高温多湿の環境を好みます。体長は成虫が1~2cm、幼虫が1cm弱と小さめです。成虫は夜行性で、昼間は日陰でじっとしています。
寿命は長く、越冬しながら3~4年生き延びます。繁殖期も4~11月と長く、被害には1年中気を付ける必要があります。
オリーブアナアキゾウムシの食性
オリーブアナアキゾウムシはその名のとおり、オリーブの木を好んで食べます。オリーブはオレウロペインという毒を含んでおり、基本的には虫や動物からの食害に強い木です。しかし、オリーブアナアキゾウムシはこのオレウロペインが好物であるため、オリーブを好んで食べるようになり、オリーブの天敵として命名されたのです。
幼虫は樹皮の裏にある柔らかい部分、成虫は樹皮を好み、樹皮がなくなると実を食べることもあるようです。
被害に遭うとどうなる?
オリーブの木にオリーブアナアキゾウムシがつくと、まず樹皮に卵を産み付けます。10日ほどで卵が孵化し、外周をぐるぐると回りながら樹皮の裏を食い荒らしていきます。裏側を食害するためパッと見ではわかりにくいですが、気づかずに放置すると内側がボロボロになり、樹皮を剥がしてみると幹が細くなってしまっていることもあります。
そのまま放置すると倒れてしまうこともあるため、すぐに駆除すべき害虫です。気づくのが遅れてしまった場合、卵を大量に産み付けられている可能性もあります。そうなった場合は業者に依頼して、プロによる徹底的な駆除と手当てを依頼しましょう。
弊社は枯れてしまった木の伐採のほか、剪定や害虫対策など木に関する技術をもった数多くの業者と提携しております。お客様のご要望に沿った業者をご紹介しておりますので、お気軽にご相談ください。
「無農薬で育てたい!」害虫を予防する3つの対策
オリーブアナアキゾウムシの処置には、殺虫剤が有効です。しかし、オリーブを収穫して実を使いたいという方は、できれば無農薬で育てたいと思うでしょう。一度ついてしまった害虫は捕殺するしかありませんが、つく前に予防すれば無農薬で育てることも可能です。ここからは、無農薬でオリーブを育てるため、害虫を予防する方法をご紹介します。
対策1.剪定をする
害虫予防には、剪定が大切です。オリーブアナアキゾウムシをはじめとした害虫は、基本的にジメジメした高温多湿の環境を好みます。剪定をすることで枝葉を適切な量にし、風通しと日当たりをよくすることで害虫を予防することができます。また、カビなどの病気の予防、幹が見やすくなることによる、病害虫の早期発見にも繋がります。
対策2.根元をきれいに保つ
オリーブアナアキゾウムシの予防には、根元をきれいに保つことが大切です。オリーブアナアキゾウムシの成虫は、落ち葉や雑草の陰を好みます。手間はかかりますが、つねに土が見えるように、オリーブの木の根元を掃除しておくようにしましょう。半径1mをきれいにしておけば、劇的に被害を軽減できるはずです。
対策3.こまめに観察する
もっとも大切なのは、こまめに観察し、卵を産み付けられないようにすることです。孵化して幼虫が樹皮の裏に入ってしまうと見つけにくいですが、その前に卵を見つけることができれば被害を防ぐことができます。また成虫は樹皮の外にいるため、比較的見つけやすいでしょう。
成虫も木くずのようなフンを出すため、木くずのようなものが根元に落ちていたら要注意です。数日に1回は観察し、小さな穴や卵がないか確認しましょう。成虫は夜行性ですので、夜に観察してみるとよいでしょう。
予防には年数回の剪定と日々の手入れが大切です。剪定が難しいと感じる方は、業者に依頼するのもよいでしょう。弊社では全国の加盟店の中から、オリーブの剪定ができる業者をご紹介することができます。現地での見積りまで基本的に無料でおこなっておりますので、お気軽にお電話ください。