夏を彩る可憐な花、ヒメシャラ。ヒメシャラの花言葉は「愛らしさ」や「謙譲」です。ヒメシャラは初夏に小さなツバキのような花を咲かせ、その可愛らしい姿が控えめな印象を与えます。そのために、「謙譲」というような花言葉がつけられたのでしょう。
ヒメシャラは梅雨時期から開花を始めます。ツバキに似た白い清楚な花は、じめじめした梅雨や暑い夏にも、私たちの心に清涼感をもたらせてくれることでしょう。そんな可愛いヒメシャラを、あなたもぜひ育ててみませんか?まずヒメシャラがどのような植物なのか、詳しくご紹介していきましょう。
ヒメシャラってどんな植物?
ヒメシャラは日本原産のナツツバキ(別名シャラ)に似た木ですが、ナツツバキは樹高が10~20メートルにも及ぶ大木です。シャラに代わる庭木として、ヒメシャラがよく用いられています。
ヒメシャラとはどんな植物か知っておこう
ヒメシャラは日本原産の、ツバキ科・ナツツバキ属の落葉高木樹です。ヒメシャラはその樹形の美しさから人気があり、庭木として用いられます。また、最近ではすっくと立つ立ち姿が人々を魅了することから、玄関先や門周りで建物を引き立てるシンボルツリーとして植えられることも多いです。
ヒメシャラは花のみならず新緑や木の形そのものも美しいため、一年を通して庭木として楽しむことができる木です。複数本のヒメシャラが植えられている姿は圧巻です。また、一本だけですっくと立った立ち姿も見る者を魅了します。また盆栽にもできるので、盆栽好きの方にもおすすめです。
ヒメシャラの特徴を知ろう
ヒメシャラはある程度成長をすると、表皮がとれて樹皮がつるつるになります。「サルスベリ」のように樹皮が薄くてすべすべしており、細く枝分かれすることが多く、その立ち姿が美しいのが特徴です。
ヒメシャラの樹皮の感触は「サルスベリ」に似ており、その樹皮の特徴から「猿田木(サルタノキ)」と呼ばれることもあります。その幹の美しさはシラカバやアオギリと名を連ねるほどで、「日本三大美幹」の中に数えられています。また、樹皮がすべすべして赤褐色なので「アカラギ」とも呼ばれています。
ヒメシャラの開花時期、見頃はいつ?
ヒメシャラは、6~7月が開花時期です。同じツバキ科のナツツバキに似た、直径2~2.5センチメートルの可愛らしい花を咲かせます。「愛らしさ」や「謙虚」といった花言葉にふさわしい、女性らしい印象の花を楽しむことができます。
ヒメシャラは花だけでなく、葉もナツツバキより小さいです。ナツツバキと違うのは、花の外側と葉や枝に、絹に似た白い毛が生えることです。10~11月頃には、美しい紅葉を鑑賞できます。
ヒメシャラの育て方のポイントを知ろう
ヒメシャラは寒さにはやや弱く、湿度を好んで乾燥を嫌います。しかし栽培はポイントさえ押さえれば、それほど難しくはありません。ヒメシャラを育てるポイントを押さえて、ぜひ元気なヒメシャラを育ててみてください。ヒメシャラを育てるにあたって知っておくべきポイントを、これからご紹介していきます。
ヒメシャラに合った栽培環境とは?
ヒメシャラは本州や四国、九州の温帯に分布する落葉高木です。そのため、日当たりのよい場所を好みます。ヒメシャラの多くが日本海側で生息していることからも分かるように、適度な湿度がある場所が向いています。
逆に言うと、乾燥したところや風が多く吹き寒さが厳しいところでの生育には、向いていません。特に夏の日差しや西日に弱く、乾燥すると葉焼けをしてしまいます。対策としては根元に下草を植えることで地表の乾燥を防ぐことができます。また、ヒメシャラのような玄関やお庭のシンボルツリーの根本に下草を植えることで、見る人に自然な印象も与えます。
土作り・水やり・肥料やりのポイントとは?
ヒメシャラは、そもそも栄養が豊富な湿気の多い山地に自生をしています。そのため土の環境はとても大事なものです。土が良くないと、元気なヒメシャラを育てにくくなりますので、土には気を使いましょう。
用土は樹木の皮を原料としたバーク堆肥に、庭土か黒土(火山灰や腐敗した植物を含んだ、黒色がかった土)を混ぜて作ります。風通しの良さと湿気を好むので、通気性があり湿度の多い土が向いています。
ヒメシャラは乾燥を嫌うので、水をよくやることが大切です。庭植えの場合も、たっぷりと水やりをしましょう。乾燥すると、葉が枯れてしまいます。ヒメシャラは養分の多い土を好むので、肥料は大切です。ほかの植物が育っているようでしたら問題ありません。油かすなどを少し肥料として与えるとよいでしょう。
植えつけや植え替えについて知っておこう
鉢植えのヒメシャラは2~3年に1度、植え替えをすれば大丈夫です。植え替えをすることで、通気性が良くなります。ヒメシャラは根が浅いので、一度庭植えをしたらそのまま育てましょう。
春か秋に植え付けを行います。2~3月か10~12月が適しています。春なら、肥料と腐葉土を混ぜて植えます。秋の植え付けでは、肥料は少しにしておきます。1週間ほど水やりを十分行ったら、乾燥が気になる日に水をやる程度で大丈夫です。
元気なヒメシャラの育て方とは?
ポイントさえ押さえれば、元気なヒメシャラを育てることは可能です。今からご紹介するヒメシャラの育て方のポイントを知って、ご自宅で元気なヒメシャラを育てましょう。
病気と害虫について知っておこう
ヒメシャラは複数の枝が成長し込み合いやすいため、病気や害虫に気をつける必要があります。
【病気】
ヒメシャラはさび病、輪紋葉枯病といった、葉に病斑ができる病気にかかることがあります。また白門羽病や幹心腐病のように、根や幹が病気におかされることもあります。
【害虫】
チャドクガやアオドウガネといった害虫が、ヒメシャラの葉を食べます。チャクドガは毒性のある害虫ではありますが、ヒメシャラはツバキ科のなかではチャクドガがつきにくい植物です。
アオドウガネは光沢のある緑色をしたコガネムシです。成虫はさまざまな植物の葉を食べ、幼虫は土の中に生息し植物の根を食べて成長します。コガネムシの駆除は基本的に見つけたら捕まえるというものですが、アオドウガネは夜行性なので日中の発見は難しくなります。
そのため、アオドウガネのような夜行性の害虫には、市販のトラップを使った駆除方法が良いでしょう。これはコガネムシの好きな匂いでおびき寄せ、捕獲するものです。また周囲の土全体に農薬をまくという駆除方法もあります。
病気や害虫予防には剪定を!
年末から年明けの2~3月上旬までに、軽くヒメシャラの剪定をしておきましょう。枝や葉が込み合っていると害虫がつきやすくなったり、病気にかかりやすくなったりします。そのため、剪定して害虫や病気を防ぐ必要があるのです。
剪定は軽く細い枝や葉を切る程度でよく、のこぎりなどを使った大掛かりな剪定は、樹木全体の形を崩したり、枯れたりするので止めましょう。
ヒメシャラを増やすには?
10月頃にヒメシャラから完熟した種を採ることができます。採った種を、できるだけ湿度がある土に種まきをします。種を保存しておいて後からまくより、種を採ってからすぐまいた方が元気に育ちます。秋に種まきをすると、春には芽が出てきます。また「挿し木」といって、株の一部を切り取って発根をさせて増やすこともできます。
まとめ
ヒメシャラは、シャラは初夏に小さなツバキのような花を咲かせ、その可愛らしい姿が梅雨時や暑い時期に私達を癒してくれます。しかし、ヒメシャラ自体は乾燥や日差しに弱い植物なので、育て方に気を使ってあげる必要があります。栄養や湿度の多い用土を用いることと、冷えや乾燥にさらされないような環境をまず整えてあげましょう。
元気なヒメシャラに成長させるには、たっぷり水やりをすることはかかせません。また年に1度は剪定をしてあげることで、病気や害虫から守ることができます。ヒメシャラは初夏に咲く花だけでなく、秋の紅葉も楽しめます。葉や幹の姿も美しいため、庭木にはぴったりの高木です。ぜひ今回ご紹介したポイントを押さえて、元気なヒメシャラを育ててみましょう。
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