木を切る方法と聞くと、伐採と剪定の2種類の方法が思いつくのではないでしょうか。
どちらも木を切ることに変わりはありませんが、伐採は木を根元から切ること、剪定は枝を減らすことを意味します。
状況に応じて樹木を伐採して丸ごと除去したり、剪定で風通しをよくしたりすることで、庭木は美しい状態を保っているのです。
伐採と剪定は目的や作業に適したタイミングが異なります。
それらを正しく理解していなければ、適切な方法で伐採・剪定をおこなうことはできません。
本記事では、伐採の目的や適期、林業のおける複数の伐採方法、剪定の目的や適期など、木を切るさまざまな方法について解説します。
伐採や剪定に関する理解を深めましょう!
伐採とは不要な樹木を除去する方法
伐採とは、木を根元から切断することです。目的ごとに異なるさまざまな伐採方法があるので、のちほど詳しくご紹介します。
伐採をおこなうおもな目的は4つです。
それぞれどのようなメリットがあるか、問題となっていることはないかなどをご紹介しましょう。
・自然環境を守る
森林伐採をおこなうことで、木と木の間に間隔を持たせることによって木が茂りすぎるのを防ぎます。
こうすることで、残った木々全体に日光が当たりやすくなったり、土からの栄養がいき渡りやすくなったりして、木が生長しやすくなるのです。
さらに、森林の地面にも日が当たりやすくなるため、草もよく生長し虫や鳥が住みやすくなり、生態系が安定し自然環境がよくなります。
・土地を整備する
広い敷地を確保するためや、枯れてしまった不要な庭木を撤去するなど、土地を整備するために伐採をおこなうこともあります。
伐採する木の本数が多かったり、大木を伐採しなければならなかったりと大掛かりな作業が必要な場合は、業者に依頼して伐採をおこないましょう。
・建物や農地に活用する
建築物の材料として木を伐採することもあります。
ですが、木を切りすぎると動物の居場所がなくなり、自然破壊につながりかねません。
実際に森林伐採のし過ぎは問題視されているので、むやみやたらに木を切らないようにすることも大切です。
・薪炭材の確保
電気やガスなどを使って生活している方が多いと思いますが、電気やガスの代わりに薪を使用している人もいらっしゃいます。
木材需要のおよそ5割が燃料として使われているほど、薪炭材としての伐採は必要なのです。
伐採のタイミングは目的で変わる
伐採は、目的によっておこなう時期が異なります。
目的に沿った時期に伐採をおこなうようにしましょう。
・木材として利用する
木を木材として収穫する際は、冬の時期に伐採するのが適切です。
冬場の木は成長が止まり樹液が減るため、木の中の密度が高くなり頑丈な木になります。
・敷地を整備する
木々が生えている敷地内を更地にしたい、病気にかかってしまった木から他の木への感染を防ぎたい、などの理由であれば、どの時期に切ってしまっても問題ありません。
抜根で根っこも除去できる
伐採は根元から木を切断しますが、地面ギリギリで切るわけではないので、切り株は残ります。
しかし、土地を整備する場合など、切り株まで撤去したいと思う方もいるでしょう。
また、残った切り株はシロアリなどの住処になるおそれがあります。
庭にシロアリが住みつけば、いずれ建物に使われている木材まで食い荒らされてしまうかもしれないので、早めに撤去しておいたほうがよいでしょう。
そこで、伐採とともにおこないたいのが抜根という作業です。抜根とは、漢字の通り木の根を抜く作業のことを指します。
伐採後に残った切り株を、あらゆる道具を使って掘り出すのです。
ただし、個人で抜根をおこなうことは難しいですし、業者によっては抜根作業を請け負っていない場合があります。
抜根が必要な場合は、対応可能な業者かどうか事前に確認してから依頼しましょう。
林業における5つの伐採方法
森林伐採などをおこなう林業における伐採には5種類の方法があります。
それぞれ目的が異なりますので、どのような目的で伐採がおこなわれるのか、その違いを見ていきましょう。
間伐
間伐は、樹木同士の間隔を持たせることを目的とした伐採方法です。
自然環境を守るために、森林に隙間をつくってあらゆる場所に日光が当たるようにします。
除伐
除伐は、残したい木の生長を妨げる余分な木を取り除く伐採方法です。
1本1本の木に効率よく栄養がいき渡るようにするためにおこないます。
畑や花壇でおこなう雑草取りをイメージするとわかりやすいかもしれません。
主伐
主伐は、木材として利用するための木を伐採することをいいます。
木の密度が高い冬場におこなわれる作業で、樹齢40~60年ほどの木が対象となるようです。
択伐
択伐は、木材として利用するための木を局地的に伐採することをいいます。
森林破壊にならないよう、決められた割合の分だけ伐採をおこなうのです。
伐採して空いたスペースには、新しい苗を植えて森林を再生させることもあります。
皆伐
皆伐は、決められた範囲内にある木材として利用するための木をすべて伐採することで、全伐ともいわれています。
以前は、広範囲の木をまとめて伐採し、その後新しい苗を植えて、樹木が生長したらまたまとめて伐採するという方法でおこなっていたようです。
しかし、土壌の大きなダメージを与えるということもあり、近年は以前より狭い範囲でおこなわれていることが増えています。
ご紹介したような大規模な伐採は、必要な道具や知識を持つプロに依頼が必要です。
ほかにも、庭木が大木になってしまって困っているなどという場合にもプロの力を借りるのがよいでしょう。
業者によって対応可能な作業規模が異なります。
業者選びに迷ってしまったら、弊社にご相談ください。
お電話でご要望をお聞きして対応に適した業者をご紹介いたします。
剪定は庭木のお手入れのひとつ
剪定とは、木そのものではなく枝葉を切って、木の生長を促したり樹形を整えたりする作業です。
庭木は、放っておくと枝が長くなりすぎたり増えすぎて風通しが悪くなったりします。
余分な枝が残っていると、生長の妨げになることはもちろん、花や実がつきにくくなるおそれもあるのです。
庭木を美しく健康に育てたい方は、定期的な剪定を欠かさないようにしましょう。
剪定のタイミングは季節と樹木の種類で変わる
剪定のタイミングは樹木の種類によって季節も頻度も変わります。
しかし、ある程度目安を知ることができる場合もあるのです。
樹木には大きく分けて広葉樹と針葉樹の2種類があり、さらに1年を通して青い葉をつける常緑樹と秋に紅葉して冬に葉を落とす落葉樹があります。
そのうち、広葉樹には多くの種類があり、針葉樹は多くが常緑針葉樹です。
・常緑広葉樹
基本的に温かい時期の剪定が適していて、3月下旬~4月下旬、5月下旬~6月などにおこなわれることが多いです。
・落葉広葉樹
落葉樹は、休眠期に入り木の生長がゆるやかになる冬の寒い時期が剪定に適しています。
葉を落として枝の様子が見やすくなる12月~2月がおすすめです。
・常緑針葉樹
冬でも剪定できますが、新しい芽ができる前の春前に剪定をおこなうほうがきれいに花を咲かせることができます。
・落葉針葉樹
寒さに強い品種が多く、寒い時期の剪定が適しています。
おすすめなのは12月~3月です。
また、夏と冬の2回剪定をおこなうという樹木もたくさんあります。
夏の剪定は木の環境をよくするために、冬の剪定は見た目をよくするという目的でおこなわれることが多いです。
伐採や剪定の時期を間違えるリスク
伐採・剪定時期を間違えてしまうと、以下のようなリスクを負うおそれがあります。
それぞれの適性時期に伐採・剪定をおこなうようにしましょう。
【伐採】質の低下やシロアリの発生
冬になると、木の水分が抜けて頑丈な木になりますが、それ以外の時期は水分が抜けきっておらず、質の低い木が多くなってしまいます。
さらに、梅雨の時期に伐採をおこない、伐採した木をそのままにしてしまうと、シロアリなどの虫が住みつきやすくなるというリスクもあります。
梅雨時期の伐採は避けるべきですが、もし梅雨の時期に伐採をおこなった際は、速やかに木を撤去・処分するようにしましょう。
【剪定】樹木の衰弱
樹木には、木の中に樹液が多く含まれる時期があり、おもに春から秋の終わりまでが活発に分泌されます。
樹液は、木にとって大切な栄養です。その樹液が活発な時期に大きな剪定をおこなってしまうと、その樹液が流れ出てしまうおそれがあります。
樹液が流れ出てしまうと、木に栄養が回らなくなるため木が弱ってしまうのです。
そのため、春以降の寒くなるまでの時期は、剪定は避けたほうが安心といえるでしょう。
また、木の種類によってツボミや芽をつける時期は異なります。そのツボミや芽ができた後に剪定をおこなってしまうと、次にできる花や実ができなくなってしまいます。
花や実がつく芽を落としてしまわないよう、芽ができる前に剪定をおこなうようにしましょう。
伐採も剪定もプロへの依頼がおすすめです
質のよい業者を選ぶためには、おもに4つのポイントがあります。そのポイントを参考にして、自分に合った業者を選ぶようにしましょう。
優良業者を見極めるポイント
・知識が豊富で、実績もある
業者のホームページで、実績件数などを確認してみましょう。
実績があればあるほど、経験や知識も豊富であるというケースが多いです。
・実際に会って確かめる
現地見積りを依頼するなどして、実際に会って業者の雰囲気を確認するのもおすすめです。
その業者がどのような対応なのか、相談しやすい雰囲気か、などを確認して信頼できる業者か見極めてみましょう。
信頼のできる業者ですと、安心して依頼することができますよね。
・地元密着型の業者
地元密着型の業者ですと、その地域の特徴をしっかり把握しています。
雪が多く降る地域であれば、大雪を想定した剪定や伐採をおこなうなどの細やかな対応が期待できるでしょう。
・依頼前に無料で見積りができる
作業前にあらかじめ料金を確認する場合は、見積りを無料でおこなってくれる業者に依頼すると費用を抑えられます。
また、追加料金がないかどうかも確認すると、より安心して作業依頼ができるでしょう。
業者に依頼してかかる費用はいくら?
伐採も剪定も料金を決定するうえでとくに注目しているのは木の大きさです。
樹高が高くなればなるほど高額な費用が必要になります。
樹高を3段階に分けて、1本あたりにかかる費用をご紹介しますので、以下の表をご覧ください。
【伐採の場合】
~3m | 3~5m | 5~7m |
5,500円 | 10,400円 | 25,600円 |
※掲載金額は、伐採業者5社が提示している金額の平均値を算出したものです。
伐採は、幹の太さによって料金が変わる場合があるので、ご紹介した金額はあくまでも目安としてお考えください。
【剪定の場合】
~3m | 3~5m | 5~7m |
2,988円 | 6,860円 | 15,624円 |
※掲載金額は、伐採業者9社が提示している金額の平均値を算出したものです。
上記の金額に加えて、抜根をおこなう場合はその費用、作業後の木の処分費、重機が必要な重機代がかかります。
また、業者によっては作業にかかる時間や必要な作業員の人数で料金を決めている場合もあるので、詳細は見積りをとって確認しましょう。
まとめ
伐採と剪定はそれぞれ木を切る目的が異なります。
伐採とは不要な木や木材となる木を切る作業のことで、剪定とは余分な枝を落として木の生長を促すための作業です。
さらに、森林伐採をおこなう場合は、さらに細かい目的別の伐採方法があります。
今ある自然を壊さないよう気を配りながら伐採がおこなわれているのです。
そんな伐採や剪定には、目的や樹木の種類に応じて作業をおこなうのに適した時期というものがあります。
適期を逃すと木が弱ったり質が落ちたりするリスクもあります。
樹木をよい状態で伐採・剪定するためには、プロの業者に作業を依頼するのが最適な方法なのです。
そして、業者に依頼する際にご紹介した費用目安を知っていれば、「こんなに費用がかかるとは思わなかった」という事態は避けられるでしょう。
見積りを無料でとりたいという場合は、弊社にご相談いただければ無料見積りをおこなっている業者をご紹介します。
少しでも費用を抑えて、伐採や剪定がおこなえるよう、ぜひご活用ください。
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