ジューンベリーの小ぶりで赤い実をつけた姿が美しく、庭木として育てたいという人もいるでしょう。赤い実は収穫して食べることもできるので、観賞用と食用どちらでも利用ができます。
そんなジューンベリーを長く楽しむには、育て方と日ごろの手入れを正しくおこなうことが大切です。そこで今回はジューンベリーの育て方についてご説明します。
目次
6月の果実「ジューンベリー」の育て方
ジューンベリーは4月から5月前後にかけて白い花を咲かせ、夏になると果実をつけ始めます。木の中に蓄える栄養が多いほど、たくさんの果実をつけることができます。そのため植えつけをする際は、ジューンベリーが好む日当たりのいい土地がおすすめです。
まずは、ジューンベリーの基本情報から、育て方や植えつける方法についてご紹介します。
ジューンベリーの基本情報
ジューンベリーは4メートル前後になる高木で、細長い立ち姿のため庭の象徴ともなるシンボルツリーとしても利用できます。春になると白い花を咲かせますが、初夏になると花を落とし赤い実をつけるのが特徴です。6月前後に赤い実をつけることが、ジューンベリーの名前の由来になっています。
ジューンベリーには4つの品種があり、それぞれサイズや実のつき方が違います。自分の庭や目的に合った品種を選びましょう。
・ジューンベリー・バレリーナ
バレリーナといわれる品種は、普通のジューンベリーよりも実が大きいのが特徴です。一般的なジューンベリーよりも甘みが強い傾向があるので、食用として楽しめることができるでしょう。
・ジューンベリー・ロングヒル
ロングヒルは背が高く育つため、庭に植えてシンボルツリーにするのに向いています。ほかのジューンベリーとは違って桃色の花を咲かせるので、色鮮やかな見た目で庭を彩ることができるのです。
・ザイフリボク
ほかのジューンベリーよりも果実がつくのがおそく、秋ごろに実を取ることができます。ザイフリボクの果実はほかの種類より小ぶりなので、収穫せずに見た目を楽しむのがおすすめです。
・ジューンベリー・リージェント
リージェントは実をたくさんつける傾向が強いため、収穫にも鑑賞にも向いています。樹高もあまり高くならないので、剪定も楽にできるでしょう。
ジューンベリーの栽培に適した環境
ジューンベリーは日当たりのいい土地を好みます。多少の日照不足になら耐えられますが、日当たりがいいほど実をたくさんつけます。しかし、日が強く当たり過ぎると弱ってしまうので、夕方の日差しが当たりにくい場所に植え付けてください。
また、排水性が高く栄養の多い土を好むため、庭に植え付ける際は園芸用の土を用いて、土を耕しておきましょう。土が粘土質だと、水分が土中にこもってしまい、根が腐ることがあります。
ジューンベリーの植え付け方法
ジューンベリーは背が高くなりやすいので、できるだけ広いスペースに植えつけるのがおすすめです。しかし、庭にただ植えるだけだと枯れてしまうことがあるので、正しい植え方について以下でご説明します。
・苗を用意する
ジューンベリーの苗は園芸売り場や通信販売で購入できます。ジューンベリーの苗には、まだ小さなサイズのものから、ある程度の高さまで育って実がついたものもあるので、好みに合わせて選びましょう。
・植えつける時期
苗を購入したら11月から3月前後の時期に植え付けをおこないましょう。11月から3月前後にかけては葉が落ちるため、葉への栄養分を根の部分に利用することができます。そのおかげで土中に根を張って丈夫に育つことができます。
・土の作り方
ジューンベリーは水はけのいい土を好みます。植えつける庭の土は、排水性の高い赤玉土とピートモス、川砂を少し混ぜておくのがおすすめです。また、肥料を入れておくと、木に栄養を与えることができるので、土の中には腐葉土や堆肥も混ぜておきましょう。
・支柱の立て方
ジューンベリーを真っすぐに育てるには、植えつけたときに支柱で支える必要があります。植え付けたばかりの苗は、まだしっかりと根づいていないので、風で形がゆがむこともあるのです。そのため、形が崩れないように支柱を立てておきましょう。
ジューンベリーを植え付けることができたら、小まめに手入れをして育てていきます。放置していても育つといわれていますが、しっかりと手入れをすることで、よりたくさん実をつけてくれることでしょう。
【基本編】ジューンベリーのお手入れ
ジューンベリーは順調に育てば花数や実の数が多くなるといわれています。そのためには、の日常的な手入れをおこなうことが大切です。そこで、以下では基本的なジューンベリーの育て方をご紹介します。
水やり
ジューンベリーは、植えつけてから根がつくまでの2週間前後までは、小まめに水やりをおこないます。根づいてからはあまり水を必要としないので、雨水だけで育てましょう。ただし、極端に乾燥していると枯れてしまうことがあるので、夏場は土が乾いてきたタイミングで水を与えてください。
肥料
肥料は12月~2月前後にかけて与えます。冬に肥料を与えることで、春からの成長がよくなるのです。与える肥料は、粒状タイプの化学肥料がいいでしょう。粒状の化学肥料はゆっくりと水に溶けて吸収されるため、効き目が長く続きやすいのです。
剪定
ジューンベリーは放っておいても枝ぶりがきれいになるため、基本的に剪定はおこないません。ただし、枝数が増えて木の中が混み合ってくると、風通しが悪くなって害虫や病気の発生につながってしまいます。そのため、枝数が多くなったり、形の悪い枝が出てきたりした場合は根元から剪定して枝数を減らしましょう。
害虫・病気対策
害虫や病気は通気性のいい環境を嫌うため、剪定をすることで予防になります。しかし、それでも害虫や病気が発生してしまったときのための対策方法をご紹介します。
・害虫
ジューンベリーは害虫がつきにくい性質を持っていますが、カミキリムシが発生することがあります。カミキリムシは幹の中に入って育ち、成長すると枝や葉を食べてしまうため、ジューンベリーの成長をさまたげます。そのため、カミキリムシを見つけたら直接捕まえるか、殺虫剤を散布して駆除しましょう。
・病気
ジューンベリーは、うどんこ病という病気にかかりやすい傾向にあります。うどんこ病は、葉の上が白く汚れたような症状が出て、ひどくなると実がつかなくなったり、枯れたりしてしまう病気です。うどんこ病にかかってしまったときは、害虫同様に専用の薬剤を用いて対処しましょう。
収穫
ジューンベリーの果実は5月前後になると収穫することができます。色が明るいうちに食べると酸味が強いですが、6月になると赤色が濃くなり、甘みが強まるのです。そのため、摘んでそのまま食べられるでしょう。
ただし、ジューンベリーは熟すのが早いため腐りやすいのです。たくさん収穫したときは、ジャムに加工するのがおすすめです。ジャムにすることで長持ちさせることができ、収穫の時期が終わってからも果実を楽しむことができるでしょう。
果実の数はジューンベリーの木の大きさに比例するので、たくさん収穫するには、大きく育てる必要があります。そこで、次の章ではジューンベリーを大きく育てるための方法を紹介します。
【応用編】ジューンベリーのお手入れ
ジューンベリーの果実をたくさん収穫するために、木を大きく育てたいという人もいるでしょう。ジューンベリーの木を大きく育てるには、枝の先端を軽く切り落とすのがおすすめです。枝先を落とすことで、近くから新しい枝が伸び、大きく成長するでしょう。
また、木を大きくする以外にも、ジューンベリーの収穫量を増やす方法はあります。木の本数を増やしたり、人工的に受粉させたりすることで果実の数を増やすことができます。
木の増やし方
ジューンベリーの収穫量を増やすために、木の株を増やすという手段があります。ジューンベリーの株は、おもに挿し木や種まきで増やすことが可能です。その具体的な方法を以下で説明します。
・挿し木
挿し木とは、ジューンベリーの枝を切り取って、土にさすことで根をつかせる方法です。挿し木をする場合は、ジューンベリーの成長が強くなる6月~7月前後の初夏におこないましょう。
- 若い枝を先端から10センチほどで切り落とす
- 葉は先端に生えているものを2~3枚ほど残し、あとの葉は落とす
- 切り口を30分前後水につけておく
- 鉢の中に挿し木用の土を入れておき、枝をさす
- 室内や日の弱い場所におき、小まめに水分を与えて育てる
- 葉が4枚前後まで増えてきたら、庭に植え替える
挿し木をするときには、切り口を斜めに切ってください。切り口が広ければ、そのぶん水を吸収できるので、枝が育ちやすくなります。
・種まき
ジューンベリーの果実から種を取り出して、そのまま繁殖させる方法もあります。種をまくのは、発芽しやすい11月~3月前後か収穫してからすぐの6月前後におこなうのがおすすめです。
- ジューンベリーの果実から種を取り出す
- 種を出したら袋に入れ、種まきをするときまで冷蔵庫の中で保管しておく
- 苗用のポリポットに赤玉土を入れ、種をまく
- 種が乾燥しないよう、こまめに水分を与える
- 発芽して株になったら、庭に植え替えをする
ジューンベリーの果実から種を取り出すときは、下にザルやボウルを用意しておきましょう。果実の中にある種は細かく、水で洗ったときに流れてしまうことがあるので、ザルやボウルが受け皿になります。
収穫量をアップさせる方法
庭にスペースがなく、株数を増やすのが難しい場合は、人工授粉をして実だけを増やす方法がおすすめです。人工授粉は筆があれば簡単にできるので、花が咲く4月~5月にかけてぜひチャレンジしてみてください。
- 柔らかい毛筆用の筆を用意する
- 花の中心に何本もの突起があるおしべを見つけ、筆で撫でる
- 花の中心に1本しか突起がないめしべを見つけ、同じく筆で撫でる
以上の方法で、ジューンベリーは人工的に受粉させることができます。筆が用意できない場合は、おしべのある花をつみとり、めしべに直接こすりつけることで受粉させることができます。ぜひ試してみてください。
庭木を伐採することになったら?
ジューンベリーはサイズが大きくなりやすい樹木なので、生長し庭の外に出てしまうこともあります。また、ほかの庭木を植えたくなったとき、大きなジューンベリーが邪魔になるかもしれません。
そんなときは、ジューンベリーを伐採するのもひとつの手段です。ただし、大きなジューンベリーを自力で伐採するのは難しいかもしれません。そんなときは、業者に依頼をするとスムーズに取り除くことができるでしょう。
しかし、業者に依頼をするとなると費用面が心配になる人もいるでしょう。そこで、以下では樹木の伐採にかかる費用相場についてまとめてみました。伐採の費用は、木の高さによって料金が異なります。
- 3メートル未満:3,000円~5,000円前後
- 3~5メートル:8,000円~15,000前後
- 5メートル以上:15,000円~25,000円前後
このように伐採費用は木の大きさによって変わるので、コンパクトなジューンベリーなら伐採も安く済むといえます。ただし、伐採した木を回収したり伐根したりすると、伐採料金に追加料金がかかることが多くあります。業者に依頼するときは、事前に業者から見積りを取っておきましょう。
伐採110番では、伐採でお困りの方に、弊社に加盟している業者を紹介させていただくことができます。加盟店の業者では見積りを無料でおこなっているので、伐採に費用がかかりすぎてしまう心配も少なく安心です。24時間無料で電話でのご相談をおうけしていますので、ぜひ気軽にご相談ください。
まとめ
ジューンベリーがつける赤い果実は、観賞用としても食用としても楽しむことができます。日当たりがよく広いスペースを好むので、広い庭などで育てると、より大きく育ってくれるでしょう。小まめな剪定や水やりを必要としないため、ジューンベリーの育て方がわかれば、初心者も挑戦しやすい樹木といえます。
また、ジューンベリーは順調に育てればたくさんの果実をつけますが、人工授粉をすることで、さらに収穫量を増やすこともできます。ジューンベリーの果実は熟すほどに甘くなり、そのまま食べてもおいしくいただけるでしょう。たくさん収穫ができ、食べきれなかった場合は、ジャムに加工することで長持ちさせることができます。
ただし、ジューンベリーは大きく育つため、ほかの庭木を植える際に邪魔になることがあり伐採が必要になることもあります。自力で伐採するのは、大変な時間と労力がかかるので、業者に依頼するとよいでしょう。経験を積んだ業者に任せれば、手間や時間をかけずにジューンベリーを伐採することができるでしょう。
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