お庭で緑を楽しむために、植木をされている方も多いのではないでしょうか?とくにこれからの時期は緑がより一層映える時期になってきますよね。しかしお庭の植木は、放っておいていいものではありません。日々の手入れがあるからこそ、見た目にも美しいお庭を維持出来るのです。
今回は、お手入れのなかでも大切な作業である剪定にスポットを当てます。剪定はなぜ必要なのか、適した時期、方法などを取り上げます。枝の手入れをするための基本を確認していきましょう。
剪定の目的
お庭のお手入れの方法のひとつに剪定があります。樹木を剪定し形を整えることにより、お庭の見栄えもよくなって、ご近所さんからの印象もよくなります。お庭の見た目を良くするという点は剪定の重要な目的のひとつですが、剪定にはほかにもメリットがあります。
病害虫予防
特に夏などの温かい時期に木に寄ってくる病害虫は、樹木をお庭で育てている方にとって毎年の悩みではないでしょうか?剪定をして葉と枝を減らすことによって、害虫の繁殖力を低下させる効果を期待できます。
樹木が健康的に生長できる
剪定をして日当たりと風通しを良くすることにより、光合成がしやすくなり、病気のかかりにくい健康的で美しい樹木に生長させ、美しい花や実を実らせることができます。健康的な樹木は害虫への抵抗力も強まります。
ご近所への迷惑を避ける
伸びすぎた木の幹が隣の家に侵入してしまっている、落ち葉が大量に落ちて近隣の家や道路に迷惑をかけているといったことは、近所の方とのトラブルにつながるかもしれません。そうなる前に迷惑のかからないように樹木を管理するのも、剪定の目的のひとつです。
夏季剪定と冬季剪定の違い
お庭にある樹木は、どの季節にも同じような生長の仕方をするのではありません。気温や日照時間といった環境の変化は生長に影響するため、季節ごとの樹木の生長の変化に適した方法で剪定を行うとよいでしょう。樹木の健康と美しさを保つには、年に2回、夏と冬に剪定を行うのがよいといわれています。
夏季剪定では、伸びすぎた枝の剪定を中心に行います。生い茂った葉を剪定によって減らすことで、残った葉への日当たりを良くするほか、四方八方に伸びてしまった部分の枝を剪定することで台風などの強風にあおられにくくすることができます。夏は虫が大量に発生する時期でもあるので、害虫予防としての剪定も効果的と言えます。
冬季剪定では、春に備えた剪定を施します。特に桜などの落葉樹には、病気になったり腐ったりすることなく春を迎えるためにも冬剪定は適切です。冬には木の生長は弱まるため、冬季剪定はしなくていいとお考えの方もいるかもしれません。しかし、冬季剪定もメリットがあります。それは、樹木へのダメージの少ない剪定ができるという点です。
夏季剪定は栄養を蓄えた生長力のある木を切ることになるため、樹木の生命力を弱めてしまう可能性が高いのです。一方で、樹木にとって冬は休みの時期であり、葉を落とし生長速度も低下するため、樹木にかかるダメージが減ります。つまり、樹木にとっては冬に剪定しておく方がよいのです。
また、生命力のある夏の時期に剪定することによって、樹木が切った分を再生させようとするため、長く経たないうちに再度剪定をする必要がでてくることもあります。
切るべき枝、忌み枝とは
「忌み枝」という言葉をご存知でしょうか?忌み枝とは、樹木にとって必要のない枝のことを指します。樹木にとって必要のない忌み枝にはたくさんの種類があるので、いくつかをご紹介します。
・徒長枝・立ち枝
ほかの枝よりも飛び出すように伸びて樹木の見た目を悪くすることから、とび枝とも呼ばれます。
・枯れ枝
その名の通り枯れた枝のことで、茶色く枯れた葉と枝によって樹木全体の見栄えを悪くします。病害虫を呼び寄せることもあるので、早めに剪定するべき忌み枝と言えます。
・逆さ枝
通常の枝は幹から外側に向かって伸びていきますが、逆さ枝は幹の方向に向かって伸びます。自然な流れに沿わないので、木の見た目を悪くします。
・胴吹き・ヒコバエ
木の幹から直接伸びる胴吹きや根元から伸びるヒコバエは、見栄えを悪くさせるだけでなく、栄養がいきわたるのを妨いでしまうので、樹木を弱らせてしまいます。
・懐枝
木の幹の基部から生える忌み枝で、風通しと日光の入りを悪くします。また、病害虫が住み着きやすいため、厄介な忌み枝と言えます。
樹木の見栄えを悪くし、樹木自体の健康を妨げるこれらの忌み枝を排除するのが剪定の主な役割なのです。
枝の剪定方法
剪定に使う道具にはハサミ、脚立、ノコギリなどがあげられます。なかでもハサミの種類はさまざまで、一般的に使われる剪定バサミや、高所の枝を切るための高枝切りバサミ、広範囲を刈るための刈り込みバサミ、ガーデニングによく用いられる植木バサミなどがあります。ハサミもノコギリも、切れ味のよいものを使うと作業の進みが早く、木へのダメージも少なくなります。
次に切り方です。枝は根元から切るのが基本的ですが、細めの枝や太い枝は注意が必要です。
細い枝には小さな芽が生えている場合が多いです。芽は生える位置によって外芽と内芽に分けられますが、内芽は伸びると忌み枝になる可能性が高いため、剪定の際は枝の下に生える外芽を残すように、外芽の少し上を切るとよいでしょう。
太い枝は重いため、切る際に樹木を裂いてしまう恐れがあります。予防として、枝の先を切り短くしてから、根元より少し外側の部分に上と下からひとつずつ切り込みを入れ、そのあと根から切り落とすとよいでしょう。
剪定をする際には、目的に合った剪定方法を選ぶことが重要です。
・「切り戻し」は、幹を丈夫に保つための剪定方法で、害虫予防や、花の開花や実の収穫を増長させるのにも効果的です。しかし、樹形を悪くする可能性もあるため切りすぎには注意が必要です。
・伸びすぎてしまった枝や、日当たりや風通しの悪い木の剪定には、密度を低くし、形を良くすることができる「透かし剪定」が適切と言えます。
・「芽摘み」は松の木や盆栽のお手入れの際によく使われる、手で新芽を摘む剪定方法です。樹木の形を保持するのに効果的で、生長の抑制にもつながります。
・「刈り込み」は、丸などのきれいな樹形にするための剪定方法で、生垣などにはこの方法がよく用いられます。完成後の形を想像しながら、枝の表面が密になるように少しずつカットしていくのがポイントです。
剪定をされる際には、剪定後の枝の生長のしかたを意識するとよいでしょう。どのように伸びるのかを予測したうえで剪定することは、より長い間満足のいく樹形を保つことにつながります。また、ご自分で剪定をされる場合は、手慣れた人の手がけた樹木や専門家の剪定方法をお手本にして挑戦するとよいでしょう。
まとめ
剪定することで得られるメリットや剪定方法など、剪定するうえで重要な知識をお伝えしました。
お庭に複雑な形に剪定する場合や、樹木を高所で剪定する必要のある場合は、ご自身での剪定は危険だと思われます。また、本記事でご紹介したような、目的に合わせた剪定を数ある種類の剪定方法から選び正確に行うのはなかなか難しいのではないでしょうか。先のとがった枝が刺さる、剪定バサミで手にけがをするなど、剪定中に大きなけがをしてしまう可能性も否めません。
剪定をお考えの際には、ぜひ剪定のプロにお任せください。目的に適った剪定をしてもらえるでしょう。
【木の手入れ・育て方に関する記事はこちら】
■シラカシは生垣の定番樹木!生垣に育てる方法やお手入れ方法をご紹介
■チャボヒバの育て方と2大剪定スタイル|庭木によくあるお悩み解決
■ジューンベリーの育て方を解説!適した環境や必要なお手入れとは
■ベニカナメモチの育て方を解説!枯れたり大きくなり過ぎたら伐採を!
■桜の剪定は11月に!適切なメンテナンスを実施して木を美しく保つ
■高い木の剪定時は道具選びが肝心!取り扱いに注意しましょう
■ハナミズキの剪定に挑戦しよう!選定に適した時期や剪定方法を解説
■柿の木の剪定、どうやれば正解?これさえ知ればあなたも剪定上手に!
■芯止めを樹木にするときはコツがある!?意味や方法、注意点を解説!
■梅の木を切る時期は夏と冬!各時期にやること|枯れる原因・予防法も
■ぶどうの木を切る時期、知っていますか?剪定と甘~い実をならすコツ
■びわの木を切る方法と注意する点・剪定で小さくすることも可能
■伐採と剪定の違いとは?それぞれの適正時期・間違える危険性
■椿の木を切るならこの準備を!伐採手順や剪定による調節法もご紹介