スズメバチは強い毒を持っていて、とても危険な生き物です。また、スズメバチは都会にも巣をつくるので、意外と身近な生き物でもあります。
そのため、既にスズメバチにお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。スズメバチの駆除にお困りの方の中には、「スズメバチの天敵を使って対策はできないだろうか?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、今回はスズメバチの天敵にはどんなものがいるのか、スズメバチは天敵を使って対策することができるのかなどについてご説明していきます。現在スズメバチに困っていない方でも、いざというときのためにぜひ参考にしてみてくださいね。
スズメバチの天敵一覧
スズメバチの天敵は大きくわけて3つあり、虫・鳥・ほ乳類(熊とヒト)です。
意外かもしれませんが、虫にもスズメバチを捕食するオニヤンマ(トンボ)やカマキリがいます。
また人間は蜂の子料理などスズメバチを捕食することもありますが、多くは害虫として駆除しようとスズメバチを攻撃します。
以下では、こうしたスズメバチの天敵を詳しく見ていきます。
スズメバチの天敵1:虫
じつは、虫の中にはスズメバチを食べてしまうものがいます。ここでは、スズメバチをおそう虫をご紹介していきます。
オニヤンマ
オニヤンマの特徴は、「大きな顎」と「飛行の速さ」です。オニヤンマはなんと時速70kmものスピードを出すことができ、スズメバチを捕まえます。そして、大きな顎でスズメバチを食べてしまいます。しかし、反対にスズメバチも強い毒針と強靭な顎を持っているので、スズメバチがオニヤンマを食べてしまうこともあるそうです。
カマキリ
カマキリもスズメバチの天敵で、オニヤンマと同様、両者はお互いに食べてしまうことがあります。しかし、スズメバチがカマキリを捕食する場合が多いようです。
カマキリは大きなカマで、スズメバチは毒針と強靭な顎でお互いを攻撃し合いますが、スズメバチは飛び回ることができるのでカマキリのさまざまな場所を狙うことができます。そのため、カマキリよりもスズメバチのほうが有利なのです。
ムシヒキアブ
「ムシヒキアブ」というアブもスズメバチを食べてしまうことがあります。ムシヒキアブは頭上で待ち伏せし、タイミングを見計らって高い飛翔力と動体視力でスズメバチを捕食するのです。
ミツバチ
なんと、ミツバチもスズメバチを襲うことがあります。スズメバチがミツバチを捕食するというほうがイメージしやすいかもしれませんが、反対なのです。
スズメバチがミツバチの巣に入ろうとすると、ミツバチは集団でスズメバチを襲います。これは「熱殺針球」と呼ばれ、ミツバチがスズメバチを取り囲んで発熱することで撃退するのです。
スズメバチネジレバネ
スズメバチネジレバネは、スズメバチに寄生する虫のことです。オスとメスで見た目がかなり異なり、オスは3~7mmの虫のような形をしているのに対し、メスは13~30mmの幼虫のような形をしています。ちなみに、メスには目や触角がありません。スズメバチネジレバネは、スズメバチに寄生して栄養を奪い、動きを止めてしまうのです。
カブトムシ・クワガタ
スズメバチは樹液を好みますが、カブトムシやクワガタも樹液を好みます。しかし、スズメバチが毒針で攻撃しても、固い殻で覆われているカブトムシやクワガタには効きません。そのため、スズメバチはエサ場としていた樹木から離れなければならないこともあるのです。
ムカデ
ムカデもスズメバチの天敵として知られています。ムカデは強い毒をもち、人間も噛まれれば腫れや痛みなどの症状がでます。人にとっても危険なムカデの毒は、スズメバチにも効くといわれており、巣の外にいるスズメバチを捕食してしまうのです。
軍隊アリ
軍隊アリは、巣をつくらずに列をなして集団で行動するアリのことです。強いアゴやお尻には毒針を持っていて、獲物に噛みついてお尻の毒針で何度も刺し、相手が弱ったところで捕食します。そんな軍隊アリは、集団でスズメバチの巣を襲っている場面も目撃されているのです。
センチュウ
植物や動物の寄生虫で、スズメバチにも寄生します。センチュウに寄生されたスズメバチは、卵を産むことができなくなります。その結果、充分に巣を守ったりエサを運んだりする働き蜂がいなくなって、巣をつくっても生活することが難しくなるのです。
ギンモンシマメイガ
ガの一種で、赤い羽根に白の模様がついています。そんなギンモンシマメイガは、スズメバチの巣を食べる特徴を持っています。ギンモンシマメイガに襲われた巣はボロボロになってしまいます。
刺されてしまえば命にも危険がおよぶスズメバチですが、そんなおそろしいスズメバチの天敵となるたくさんの虫がいるのです。
スズメバチの天敵2:鳥
スズメバチの天敵は、虫だけではありません。スズメバチを捕食する鳥もいるのです。以下で詳しく見ていきましょう。
ニワトリ
じつは、ニワトリがスズメバチを食べてしまうことがあります。ニワトリは飛び回るスズメバチを捕まえることができるのです。
しかし、家畜として飼われているニワトリは専用の餌が与えられているため、スズメバチを捕食する可能性は低いでしょう。あくまでもスズメバチを狙うのは、餌を必要としている野生のニワトリが多いようです。
ハチクマ
ハチクマはスズメバチを捕食する渡り鳥として知られています。ハチを捕食することから、名前にハチがついているようです。スズメバチに対抗できる秘密は「体毛」にあります。小さな羽毛が密になって生えているので、スズメバチの毒針を受けることはないのです。
そんなハチクマは、スズメバチの巣を破壊することで捕食します。高い木にある巣はもちろん、地中の中につくられた巣も狙って攻撃します。巣を破壊した後、ハチクマは巣の中にあるハチの子やサナギをヒナに与えるのです。
スズメバチの天敵3:クマ・人間
スズメバチの天敵は、昆虫や鳥以外にクマや人間も挙げられます。ここからは、クマや人間が天敵となる理由について見ていきましょう。
クマ
クマもスズメバチの天敵です。クマははちみつを好みますから、スズメバチの巣を破壊して食べてしまうことがあります。そして、なんとクマはスズメバチの毒が効きません。スズメバチが硬いクマの毛に針を刺してもクマの毛は硬いため、また解毒能力があるためクマを毒で退治することができないのです。
たしかに、スズメバチに刺されることで痛みは感じるので逃げていくことはありますが、飢えているクマは多少痛くてもスズメバチの巣を食べてしまうのです。
人間
人間もスズメバチの天敵といえます。人間はスズメバチを好んで食べる地域もありますので、食料として巣が取られてしまうのです。
また、スズメバチは軒下や屋根裏、床下など人間の生活圏内にも巣をつくります。巣やハチはひとの手で駆除されてしまうのですから、人間も例外ではありませんね。
スズメバチの生態
まずはスズメバチの特徴や生息場所、被害についてご説明します。特徴や生息場所を理解することで、スズメバチが嫌う環境をつくることができます。スズメバチに巣をつくられるのを防止するためにも、以下の内容をしっかりと理解しましょう。
スズメバチの特徴
スズメバチは、巨大なハチとして知られていて、アシナガバチやミツバチに比べて攻撃性や毒性が高いため、とてもおそれられています。日本に生息するスズメバチは17種類ですが、その中でも最大級の「オオスズメバチ」は体長が4cm~5.5cmにもなるのです。
スズメバチの中でとくに刺傷被害が多いのが、全身が黄色の「キイロスズメバチ」です。あらゆる場所に巣をつくります。ときには都会にも巣をつくることがあるので注意が必要です。
そんなスズメバチは春から秋にかけて活動し、とくに8月~10月に攻撃性が高まります。春に冬眠から覚めたスズメバチは、一匹で巣をつくり、そこに卵を産み付けます。卵からかえったハチは働き蜂となり、巣を守ったりエサを運んだりするのです。
そんな働き蜂は6月~8月になると増えていき、8月~10月にかけては最も攻撃性が高まります。この時期に、来年の女王蜂となるハチを出産するからです。
そのため、この時期にはとくにハチに気をつけて生活する必要があります。キャンプやハイキングなどのアウトドアにいく方は、スズメバチに襲われないように黒い服や匂いの強いものを身につけるのは避けましょう。
スズメバチの生息場所
スズメバチはどのような場所に生息するのでしょうか。種類によっても違いますが、スズメバチは「天候の影響が少ない場所」「外敵から隠れることのできる場所」「餌が確保しやすい場所」に好んで巣をつくる傾向があるようです。
山や木が多くある田舎はもちろん種類によっては都会に巣をつくるものもいるので、都会でも油断せず、スズメバチが好む環境をつくらないことが大切です。スズメバチの巣は、フラスコ型か丸型をしています。
巣ができる初期はフラスコ型をしていますが、巣の規模が大きくなると丸型になるのです。そのため、これらの形の巣を見つけたらスズメバチに襲われないためにも、できるだけ早く駆除することが重要なのです。
スズメバチによる被害
スズメバチの巣に近づくとスズメバチから敵だと認識され、攻撃されてしまうおそれがあります。種類によって攻撃性の度合いは異なりますが、スズメバチはほかのハチに比べて危険です。
では、スズメバチはどのような被害をもたらすのでしょうか。ハチといえば、毒を持っているという印象が強いでしょう。ハチの中でもスズメバチの毒はとくに強力で、神経に作用します。スズメバチの毒が神経に作用すると、刺された場所が赤く腫れて強い痛みを感じます。ほかにも、神経毒によって呼吸が難しくなることもあるのです。
また、スズメバチに襲われると「アナフィラキシーショック」を起こすおそれがあります。アナフィラキシーショックを起こすと呼吸困難になったり全身が腫れたりして、最悪の場合は死に至る危険もあるのです。
また、スズメバチは毒をまき散らすこともあります。この毒は目に入ると失明するおそれもあるため、大変危険です。また、この毒は仲間を呼ぶ合図にもなります。毒をまかれて、複数のハチから襲われてしまった……なんて考えただけでもゾッとしますよね。こうならないためにも、スズメバチの対策が必要なのです。
スズメバチの生態の詳細はこちらをご覧ください。
「天敵」を駆除に応用するのは難しい……
ここまでスズメバチの天敵についてご紹介してきましたが、天敵を使ってスズメバチを駆除するのは困難です。天敵を手に入れるのが難しいだけではなく、スズメバチを一方的に捕食する生物がいないからです。そのため、天敵を利用してスズメバチを退治するよりも、ほかの方法で退治したほうが効果は期待できるでしょう。
スズメバチ対策は業者に任せよう
スズメバチの駆除は危険がともないますから、自分で駆除するのは避けましょう。スズメバチでお困りの方は、業者に駆除を依頼することをおすすめします。
ただ、業者選びにも注意が必要です。まず、できるだけ相見積りを取りましょう。相見積りを取ることによって料金相場を知ることができますので、高額な請求をしてくる業者を避けることができます。
また、実績の多さについてもチェックしましょう。作業実績が多い業者は、より多くの経験を積んでいるといえるでしょう。また、依頼の多い業者なら信頼できますよね。
さらに、相談のしやすさも確認しておきましょう。とくにはじめて業者に依頼する方は、不安なことやわからないことも多いでしょう。不安などを解消し、納得して作業をおこなってもらうためにも、親切に対応してくれる業者に依頼するのがおすすめです。
詳しくは蜂駆除業者の選び方や駆除費用をまとめた記事をご覧ください。
まとめ
今回はスズメバチの特徴や天敵についてお伝えしてきました。スズメバチはさまざまな天敵がいることがお分かりいただけたのではないでしょうか。ただ、スズメバチも強い毒針を使って攻撃するので、スズメバチの一方的な天敵がいないのが現状です。
そのため、天敵を使ってスズメバチを退治するのは難しいでしょう。また、スズメバチの駆除は危険をともなうため、専門の業者に依頼したほうが無難です。業者は、相見積りを取ることや、実績の多さを確認して選ぶようにしましょう。