イチジクの木は比較的育てやすいといわれていて、家庭での栽培にも向いています。しかし、とくに実の収穫を目的に育てるうえでは、ある注意点があるのです。それが、伸びた枝すべてに実をつけてしまうため枝をある程度減らさないと1つ1つの実に栄養が届かなくなる、ということ。
また、あわせて枝が多いと日当たりが悪くなってしまうということもあり、イチジクには剪定が必要なのです。
剪定で枝の数を減らして日当たりや風通しをよくすることは、病害虫の予防にもつながります。そのため、イチジクを剪定することはとても大切な作業なのです。そこでこの記事では、そんなイチジクの剪定に必要な道具や手順・剪定に適した時期などをご紹介します。
イチジクは剪定必須!必要な道具・手順・時期
早速、イチジクの剪定について確認していきましょう。作業の手順や時期、必要な道具はもちろん、剪定後のお手入れについてもご紹介していきます。
イチジクの木についておさらい
まずは、イチジクの木とはどんなものなのか、おさらいしていきましょう。おもな特徴は次のとおりです。
- クワ科
- 果樹である
- 原産地は西アジア、アラビア南部
- 高さは2~5メートル
- 受粉樹は不要
- 寒さにはやや弱く、関東北部より北では栽培が難しい
- 暑さには強い
- 落葉性である
- 葉は枝に交互につく互生
このほかにイチジクの大きな特徴として、収穫時期が3通りあることがあげられます。
「夏に収穫するもの」「秋に収穫するもの」「夏と秋の年2回収穫するもの」があります。夏に収穫するのは実を大きくつけるビオレ・ドーフィンという品種、秋に収穫するのはセレスト、蓬莱柿などがあります。
年2回収穫する珍しい品種は、ドーフィンやアーチベルです。
【前準備】必要な道具・服装
イチジクの木を剪定する前に、必要なものを準備しなければいけません。剪定に必要な道具や剪定に適した服装は、次のとおりです。
- 剪定ばさみ・・・細かい剪定用の刃が両側についているものと、太い枝を切ることができる刃が片側だけのものがあります
- 剪定ばさみ・・・細かい剪定用の刃が両側についているものと、太い枝を切ることができる刃が片側だけのものがあります
- 植木ばさみ・・・細かい枝に使います
- ノコギリ・・・おもに、幹を切るときに使います
そのほか必要に応じて、刈込ばさみやチェーンソー、ヘッジトリマーのような大型の道具も使うことがあります。また、高いところを剪定するために、脚立やはしごも用意します。
ただし、初心者が脚立にのって大型の道具を使うと大けがをするおそれがあります。このような状況のときはなるべく自分では剪定をせずに剪定をしてくれるプロの業者に依頼するのがおすすめです。
服装については、剪定をするときはケガを防止する服装に着替えましょう。枝で肌をかすめないように厚手の長袖・長ズボンを着用が望ましいです。
また、手を保護するために必ず軍手ははめてください。高所での作業も考えられるときは、頭を守るためにヘルメットやメガネなどを装着するのもいいでしょう。
基本的な剪定方法・剪定時期
事前の準備ができたら、いよいよ剪定です。ここでは、イチジクの基本的な剪定方法を紹介します。イチジクを育てる場所や将来どんな木にするのか考え、剪定方法を決めましょう。なお、剪定の時期は葉が落ちる時期である秋から冬になります。
まずは剪定の目的を確認しましょう。イチジクを剪定した後の形状には2通りあります。ひとつめは、Y字型の放射状に広がるものです。これはベランダ栽培や比較的小規模な場所で栽培に向いているため、一般の方向けであるといえます。
次に、主枝2本を左右に開くT字型の剪定方法です。この方法は場所を取るので、土地が広く本格的に栽培をしたい農家の方などに向いているといえます。また、たくさん実がなるといわれています。
次に、切る枝の選別方法についてです。基本的には、花芽がついていない枝や勢いのない枝、内側を向いている枝は、根元から切りましょう。高さが地面から約50㎝程度になったら、上方に伸びている枝も切ります。
また絡み合っている枝、地面に向かって下がっている枝も切り落としましょう。虫に食害されている枝も切り落としの対象です。
注意すべき点は、枝を切りすぎると枯れてしまうため、ある程度の花の芽を残して剪定するということです。剪定の基本は、末端の枝を切り、混み合ったら間引いていくことです。
枝の切り方にもコツがあるので、紹介していきます。イチジクの木の切るときは、枝に対して垂直に切ります。そうすると木への負荷が少なくて済みます。枝を間引くことが目的の場合は、主枝に沿って切るとよいでしょう。
ところでイチジクは初めに紹介したとおり、収穫時期が3通りあります。時期によって剪定方法もそれぞれ少しちがっていますので、ポイントを紹介していきます。
夏に収穫
夏に収穫するイチジクには、花芽がある枝とない枝があります。花芽がある枝は、ひとつの枝に5~6個の花芽をつけるように先端を切りましょう。
翌年に芽が増えるようにするためです。花芽がない枝の先も先端を切りますが、こちらは翌年に新芽ができ翌々年に花芽が増えることになります。
また、風通しが悪くなると病害虫の被害が発生しやすくなってしまい、実が腐ることがあります。伸びすぎた枝や邪魔になっている枝は切り、日光もよく当たるようにしましょう。
秋に収穫
秋に収穫するイチジクの木は剪定が簡単であるといわれています。前年の枝をすべて、芽を2~3個残して切ってしまいましょう。そうすることで、春以降に芽が増えて収穫も増やすことができます。
年2回収穫
夏と秋、年に2回の収穫ができる品種の剪定方法は、ふたつあります。ひとつめは、今年成長した枝の一部を剪定しない方法です。このとき、1~2芽を残すことがポイントになります。
ふたつめは、今年伸びた枝以外の枝を切り落とす方法です。このときすべての枝を切り落とすのではなく、2~3芽を残すようにしましょう。
太い幹を剪定したら癒合剤を使用する
イチジクの剪定をした後は、ケアをすることも大切です。太い幹を剪定したときには傷口ができている状態になっているので、雨や雑菌や害虫の侵入するおそれがあります。
植物には免疫細胞や抗体がないため、これらが侵入すると木の一部を枯らすことで増殖を防ごうとします。しかしそれがうまくできないと、木全体が枯れてしまうのです。
そうなるのを防ぐために、剪定をした後は切り口に、ホームセンターなどで売られている癒合剤を使用しましょう。木工ボンドで代用することも可能です。なお、枝の剪定程度であれば、切り口のケアは必要ありません。
剪定後は枝の処分もする
イチジクを剪定した後は、切り落とした枝を処分します。剪定枝は、自治体によって回収方法が決まっています。袋の指定や回収の方法を確認してみましょう。
剪定枝を回収してもらうときは、草や葉も一緒に入れていいのか、枝に金属などがついていないかども確認する必要があります。もし剪定枝が多くて運ぶのが難しい場合は、回収を業者に依頼することもできます。
プロの剪定なら、手間なくおいしい実を期待できる!
ここまでイチジクの剪定方法などについて紹介してきましたが、いかがでしたか?
「イチジクに剪定が必要なことはわかったけれど自分でできるか不安」、「冬の剪定はつらそう」など、自分ではなかなか難しく感じるかもしれません。
そんなときは、イチジクの剪定をプロの依頼してみましょう。プロに依頼すれば、手間をかけることなくおいしい実の収穫が期待できます。
剪定をプロに依頼すると、剪定後の枝の処分をしてもらうこともできます。ただし、剪定の料金とは別で枝の回収料金がかかる場合がありますので、事前にしっかり確認しておきましょう。
「剪定110番」では、365日24時間、相談を受け付けています。無料で現地調査や見積りもおこなっています。お気軽にお問い合わせください。
イチジクを育てるうえで気をつけたい害虫・病気
イチジク育てるときに気をつけたいのが害虫や病気です。イチジクは比較的、害虫や病気に強い木だといわれています。それでも、被害に遭うことはあります。ここでは、イチジクにつきやすい害虫やなりやすい病気についてみていきましょう。
カミキリムシ・ケムシ
イチジクにつきやすいカミキリムシは、ゴマダラカミキリムシです。これは黒っぽく細長い体に白い斑点があり、長い触覚をもっています。幼虫のときは白っぽい半透明の芋虫で、この幼虫がついた木は中が空洞化して枝が枯れたようになってしまいます。
カミキリムシが産卵した部分は、木が変色するといった異変がみられます。ここで卵を除去できれば一番いいのですが、気がつかずに幼虫になってしまうと、幼虫が木を食い荒らすため木に穴があきます。
すると木の周りに木くずが残り、周りに糞が出てきます。成虫にまでなってしまうと葉を食べられてしまいます。
カミキリムシの発見は早ければ早いほど被害が少なく済みます。イチジクの剪定によって葉や枝が密集しないようにすることは、カミキリムシを見つけやすくするという意味でも重要です。
イチジクにつくもうひとつの害虫が、黒地に白い斑点模様で白い毛がある「イチジクヒトリモドキ」というケムシです。ケムシの幼虫は、葉の裏を食害し、次第に太い葉脈以外の葉の全体を食べるようになります。葉が少なくなると果実の皮も食べてしまうので要注意です。
ケムシに有効な薬剤はあまりないこともあり、幼虫の早い段階で寄生している葉を取り除くことが被害防止になります。やはり剪定によって葉を整えておくことが効果的といえます。
うどんこ病
うどんこ病は、葉の表面にうどん粉をまぶしたような白いカビが生える病気です。乾燥する時期に発生しやすく、白くなった部分は光合成をおこなうことができなくなります。これを放置すると葉が枯れてしまい、果実も大きくならないので大変です。
また、このカビは繁殖して被害が拡大していきます。ただし、作物によってうどんこ病の菌の種類がちがうため、ちがう作物にはうつりません。
そこで、イチジクどうしを並べておかないことが対策にもなります。うどんこ病は、初期であれば薬剤で繁殖をおさえることができますが発症した部分は回復しません。症状が進めば葉を切り取ることになってしまいます。
さび病
さび病は、カビの一種であるさび病菌に感染することで発生します。さび病の症状は、はじめに葉の裏に黄褐色の細かい斑点ができ、そのうち淡い黄色の粉状になって飛び散ります。さらに、別の赤褐色の斑点を生じ、そこに黒色の斑点ができるという流れです。
さび病にかかると、早くに葉が落ちてしまい果実が大きくなりません。さび病は8月下旬ごろから発病するので、予防するためには8月ごろに薬剤をまくと効果的です。また、質とが高いところでかかりやすいので、風通しをよくして日が当たるようにすることが大切です。
疫病
疫病は、夏を中心に果実に発生します。果実の表面が暗い緑色や紫色になり、さらに白いかびが生じます。雨が降った後に一気に蔓延するため、雨のあとに予防のための薬剤をまくことが効果的です。
また、木の周りの排水をよくしたり、木をビニールで覆う雨よけ栽培をおこなったりすることも予防になります。そして、風通しと日当たりをよくすることが大切です。
害虫・病気の予防は弊社におまかせください
このように、イチジクの木はさまざまな害虫や病気に侵される危険があります。大切に育てていても、害虫に侵されてしまってはがっかりしてしまいますよね。
しかし適切に剪定をすることで、害虫や病気を防ぐことができます。また、虫がいないか、病気になっていないかを早期に発見することにもつながります。
自分でうまく剪定できるか不安、剪定のときに害虫や病気を発見したいという方は、プロに剪定を依頼することをおすすめします。業者に依頼することで、害虫や病気を予防について相談することもできるのです。
「剪定110番」では、365日24時間相談を受け付けています。現地の見積りも無料でおこないますので、お気軽にご相談ください。
イチジクの剪定費用・業者の選び方
剪定が大切なのはわかったけれど、自分でできるか不安、手間を省きたいなどという場合は、業者に依頼するというのもひとつの方法です。そこで気になる費用や業者の選び方などを紹介していきます。
イチジクの剪定にかかる費用
業者に依頼するとき、気になるのが費用ではないでしょうか。剪定にかかる費用は、料金体系によって異なります。日数(時間)制、1本単位とそれぞれの料体系をみていきましょう。
日数(時間)制の場合
日数制では、剪定をする職人1人につき1日いくらという料金体系です。時間制で料金を換算する場合もあります。料金は地域などによって異なり、イチジクの本数によって剪定する人数を決める場合もあります。
1本単位の場合
1本単位の場合は、イチジクの木の本数や大きさによって料金が決まります。木が大きいほど料金が高くなるということです。剪定の費用以外にも、出張料や枝処分の費用がかかる場合がありますので、事前にしっかりと確認しましょう。
業者選びのポイント1:要望にあった適切な業者を選ぶ
業者選びのひとつめのポイントは、自分の要望に合った適切な業者を選ぶということです。業者には、造園・エクステリアを生業にしている業者と、植木・庭木を生業にしている業者があります。
造園・エクステリアは庭全体を整えることが専門なので、剪定は、庭木の剪定を専門にしている業者に依頼することをおすすめします。
業者選びのポイント2:業者の対応をみる
業者選びの1つ目のポイントは、業者の対応です。たとえば、
- 1本からでも対応してくれる
- 時間指定ができる
- 施工の前に見積りを出してくれる(追加料金の有無が明確)
- 質問に対してしっかりとした返答が返ってくる
などがあげられます。しっかりこちらの話を聞いて親身になってくれるか、対応をよくみて判断しましょう。
業者選びのポイント3:相見積りをする
以上の2つのポイントで、ある程度は業者を絞ることができる場合が多いでしょう。しかし、その中でもどの業者にするか迷ってしまいますね。そんなときは、相見積りをしてみましょう。比較してみると、料金の相場も把握でき、違いがわかりやすいです。
「剪定110番」では、ご希望に合った業者を紹介させていだたきます。いつでも相談ができ、無料で現地見積りもおこなっていますので、お気軽にご連絡ください。
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