夏みかんは剪定をすることによって、よりおいしくすることができます。はじけるような酸味をもつ夏みかんは、夏の暑さを吹き飛ばしてしまう爽やかさが特徴的です。剪定は景観を美しく保つだけではなく、植物に栄養がいき渡るようになって実がおいしくなったり、病気を予防したりする効果があります。剪定によって、さらに味わい深い夏みかんを楽しむことができます。
本コラムでは、夏みかんの剪定のコツについてご紹介しています。夏みかんの剪定方法や時期などについて、農家の方も趣味で育てている方も、ぜひ参考にしてください。
目次
夏みかんの剪定方法と時期
それでは早速、夏みかんの剪定をおこなうのに適した時期と方法についてご紹介していきます。なお、あわせて理想の樹形や剪定のコツ、注意点にも触れていきますね。
柑橘類の樹形は「開心自然形」が理想!
まず、剪定をする際は理想の木の形を描きながらおこなうことでより美しく木を整えることができます。夏みかんの場合、「開心自然形」と呼ばれる樹形を目指しましょう。開心自然形とは主幹を中心に枝や葉が横に広がる樹形のことをいいます。
枝の数は全体の三分の一に、30センチ以上の長さは整えることで日当たりもよくなることに加えて、メンテナンスもおこないやすいでしょう。
剪定時期は?気をつけるポイントは?
夏みかんの剪定をおこなうベストな時期は2~3月頃です。2~3月頃の春先は、枝が増え始めるからです。なお、夏みかんは1年のうち春夏秋に生長期があるので、こまめな剪定が必要になるでしょう。さらに、枝を早い段階から剪定しておくことで枝を伸びにくくします。
剪定をおこなう際のポイントは、まず強剪定は控えることです。強剪定とは枝や葉を通常の剪定のとき以上に多く切り落とすことをいいます。剪定をする際は枝と葉を1割ほどカットすることを意識し、生えたばかりの新しい枝や花芽のついた枝は切らないようにしましょう。
夏みかん剪定方法|幼木(樹齢1~3年)
幼木と呼ばれる樹齢1~3年の夏みかんの木を剪定する方法はこちらです。
1.主幹を約50センチ程度の長さにそろえる
木の中心的な位置にある主幹を切りつめる作業は、「開心自然形」にするための大切なステップです。主幹を切りつめる作業は基本的にこの時期しかおこないません。
2.間引き剪定をおこなう
間引き剪定とは、不要な枝の数を減らす剪定方法をいいます。必要のない枝をつけっぱなしにしていると、実にいくはずの栄養が分散することにより、質が落ちてしまったり、実がならなくなったりなどしてしまいます。また、太い枝を3~4本ほど残し、それ以外は切り取ります。
夏みかん剪定方法|成木(樹齢4~5年以上)
成木と呼ばれる樹齢4~5年以上の木は、時期によっておこなう作業が違うのです。夏みかんは「実がたくさん成る年」と「実の少ない年」を交互に繰り返します。一度、実をつけた枝は今後実らないので、実がたくさん成る年の翌年は込みあっている枝を軽く間引きましょう。
反対に実の少ない年の翌年は、実のなる春先に伸びた枝を多く出させる必要があります。そのため、実にならない夏枝、秋枝を切り返すようにしましょう。
剪定後は切り口の手入れをしよう
意外と忘れてしまいがちなのが「剪定後」の作業です。枝を切りっぱなしにしてしまうと、夏みかんの木が弱ってしまうかもしれません。なぜかというと、枝の切り口というのはいわば「傷」であり、この傷口から病気や害虫などが侵入してしまいます。
枝を切ったあとは癒合剤と呼ばれるもので枝の切り口を保護してあげましょう。癒合剤はホームセンターなどでも購入することができますよ。
剪定業者に依頼した場合、いくらかかる?
夏みかんの剪定は、おいしい果実を実らせるために大切な作業です。しかし、剪定の仕方を間違えると果実が実らない場合があります。また、「なかなか時間がなくて剪定ができない!」といった方もいるかもしれません。
そんなときは剪定のプロである業者におまかせするとよいでしょう。剪定をする時間がない方や夏みかんの剪定について悩んでいることがあったり、自分の力ではうまくいかなかったりする場合は業者に依頼してみてはいかがでしょうか。
夏みかんの剪定に要する費用相場は、木の高さによって異なります。たとえば0~3メートルの低い木の場合、約3,000円、3~5メートルの場合6,000~8,000円程度、それ以上は1万円以上かかるでしょう。
さらに出張費や交通費が追加される場合もあるので、事前に見積りを確認しておくことが大切です。弊社では無料でのご相談、お見積りも受け付けております。
夏みかんの手入れから収穫まで
これまで、夏みかんの剪定方法や時期をご紹介してまいりました。ここからは、夏みかんのお手入れ方法や収穫時期をご紹介します。また、夏みかんに発生する病気や害虫の種類も解説しています。よりよい夏みかんを作るためにチェックしておきましょう。
夏みかんがよく育つ!手入れのポイント
植物を育てると聞くと水やりをしなくてはならないと思うかもしれません。しかし夏みかんの木は、植えた直後以外は特に水やりをしなくてもよいのです。ですが、肥料は3月と10月の2回与えましょう。この肥料によって栄養を蓄えているので、忘れずにおこなうことが大切です。
また、夏みかんが小さいうちに果実を摘む「摘果」をしておくことで栄養がいき渡るようになり、より大きな果実を作ることができます。摘果する量の目安ですが、葉10~15枚に対して1つほどが理想です。
夏みかんは収穫時期でおいしさが変わる
夏みかんは爽やかな酸味が特徴的ですが、旬のものでないと強烈な酸っぱさがあります。夏みかんがおいしく頂ける時期は、だいたい4月下旬から5月下旬頃です。この時期になるとちょうどいい酸味になります。収穫する際には春先から夏前を狙ってみましょう。
柑橘類に発生しやすい害虫と病気
夏みかんのような柑橘類は、害虫や病気の被害を受けやすいものでもあります。害虫の一種であるミカンハダニは、春先に多く発生して、被害を受けた葉に白い斑点ができるのが特徴です。
果実に対しての直接的被害はないものの、被害を受けた場所から「カンキツかいよう病」と呼ばれる病気に感染してしまう可能性が高まります。カンキツかいよう病に感染すると葉が落ちたり枝が枯れたりと、さまざまな被害が生じるのです。
次第に葉や枝、果実にも斑点ができてしまいます。果実の見た目が悪くなるだけでなく、葉が落ちてしまう、枝が枯れてしまうなどの弊害が生じるでしょう。対策としては薬剤を使ってミカンハダニを徹底的に駆除する、感染した葉や枝をこまめに切りつめるなどがあります。
夏みかんのトラブルは予防と知識で回避!
夏みかんを剪定することでより充実した果実を作ることができます。剪定を終えたあとは、こまめに手入れをすることでトラブルを回避しましょう。夏みかんに寄りつく害虫や病気によるトラブルを防ぐためには、事前に予防しておくのが最も効果的です。
そのほかにも、「実がならない……」「実がつきすぎてしまった」といった場合や、剪定や収穫で分からないことがあるという場合は、知識のある専門家に相談することで解決できるかもしれません。もしも身の回りに詳しい人がいないのであれば、剪定をしてくれる業者の力を借りるのもおすすめです。樹木の手入れに関すること全般に対応してくれることでしょう。
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