「家の周りに蛇がいる!すぐに駆除したいけど、蛇には牙があるし、毒蛇だったとしたら、噛まれたら大変……」蛇は私たちの住む郊外にも出没することがあります。蛇に詳しくない方はこんなときにどうすればよいかわからないかもしれません。
この記事では、まず蛇の牙の危険性に触れて、その後に毒蛇に遭遇しないようにする方法と、もし遭遇してしまったときの対処法をご紹介していきます。蛇が頻繁に出没して困っている方は必見です。ぜひ、蛇対策の参考にしてみてください。
蛇の牙はとっても危険!
蛇に2本の鋭い牙があることはよく知られています。しかし、その牙にいくつかの異なる機能があることはあまり知られていません。ここではまず、蛇のもつ牙の種類と機能を詳しく見ていきましょう。「牙」と一言でいっても、その種類は意外と多くあるのです。
「前牙類」と「後牙類」
牙をもつ蛇は「前牙類(ぜんがるい)」と「後牙類(こうがるい)」にわかれます。名前の通りですが、前牙類は口の前に2本の鋭い牙があり、後牙類は口の奥に2本の牙があります。
コブラやクサリヘビはおもに前牙類、ヤマカガシなどは後牙類に分類されます。また、クサリヘビなどの蛇の牙は普段は折りたたまれており、獲物に噛みつくときにだけ飛び出します。
蛇は牙から毒を出す
毒蛇の牙はさらにここからふたつにわかれてきます。ひとつは「管牙(かんが)」といって、牙の先端に穴が空いているストロー状の牙です。管牙をもった毒蛇は、獲物に噛みついた後に牙の中の管を通して獲物に毒を注入します。
マムシ、ハブ、などが管牙をもっています。もうひとつは「溝牙(こうが)」といって牙の表面に毒の通った溝がある牙です。獲物に噛みついたら、そのまま毒が傷口から侵入します。コブラなどがこの毒牙をもっています。
蛇の種類によって毒が異なる
牙だけでなく、さらに蛇の毒にも種類があります。蛇の毒には、おもに「神経毒」と「出血毒」があります。出血毒には血管を破壊する成分が含まれており、この毒をもつ蛇に噛まれると、血液の循環ができなくなり、細胞が壊死(えし)してしまいます。
さらに、出血毒は筋肉の壊死も起こしてしまうので、一命をとりとめても、体に後遺症が残る場合があるのです。神経毒は神経を麻痺させる作用があります。神経毒をもった蛇に噛まれてしまうと、筋肉が麻痺してしまい、呼吸困難などの症状を引き起こしてしまいます。
毒蛇に噛まれてしまっても、体全体に毒が行き渡るまでには時間がかかります。噛まれてしまっても、すぐに血清を打てば助かる可能性はあるので、落ち着いて対処しましょう。蛇に噛まれたときは落ち着いて、車で病院へ行くか、速やかに救急車を呼ぶようにしましょう。
できれば噛まれた蛇の種類を覚えておくと、病院に着いたときに、すぐに血清を打ってもらえます。噛まれた蛇のおおまかな特徴だけでも覚えておきましょう。
蛇に噛まれないためにはどうしたらいい?
毒蛇に噛まれると激痛が走り、さらにはその毒により命を危険にさらされます。当たり前のことですが、誰でも毒蛇には噛まれたくないものです。そのための対策方法として、「遭遇しないこと」と「厚手の衣類を着ること」が挙げられます。詳しく見ていきましょう。
蛇のいそうな場所に近寄らない
実は蛇とは非常に憶病な生き物なのです。ですので、彼らは身を隠せる場所を好みます。深い草むら、沼などの湿地帯、岩陰などが蛇が好むところに当てはまります。もし、蛇がいそうなところを歩く場合は、長い棒などで前方をかきわけながら進むようにしてください。
また、進んでいるときに蛇の姿が見えたり、「シャーッ」という威嚇音が聞こえたりした場合は、すぐにその場で立ち止まって、蛇がいなくなるのを待ちましょう。
厚手の衣類を着る
蛇がいそうな場所を通るときは、サンダルや半ズボンなどの肌の露出が多いものを着用するのは避け、肌の露出が少ない、厚手の衣類を着用することをおすすめします。毒蛇の牙は鋭いですが、短いものが多いです。
蛇に出会ってしまったときの対処法
蛇に噛まれないためには遭遇しないことが一番です。しかし、どんなに気を付けていてもある日ばったり遭遇してしまうこともあるかもしれませんよね。もし、毒蛇に遭遇してしまったらどうしたらよいのでしょうか。蛇に遭遇したときの対処法についてご紹介していきます。
放置するのが最善
毒蛇に遭遇したら、誰でもびっくりして慌ててしまうかもしれませんが、ここはグッと堪えて、蛇を刺激しないように静かにその場で立ち止まりましょう。前述しましたが、蛇とは憶病な生き物です。おそらく、遭遇した蛇も私たち同様にびっくりしています。
このときに騒ぐなど、蛇を刺激するような行動をとってしまったら、蛇は自分の身を守るために容赦なくおそいかかってくることでしょう。蛇の行動パターンとして、身の危険を感じたときは隠れます。その次に威嚇音を発し、最終手段として牙で噛みついてくるのです。
こちらから危害を加えないかぎり、蛇はめったにおそってくることはありません。蛇に遭遇したときは、慌てずに蛇が自分から去ってくれるのを待ちましょう。
蛇を叩いたり触ったりするのはNG!
間違っても蛇に遭遇したときに、棒で叩いたり、水をかけたりすることはしないようにしましょう。先ほどもご紹介しましたが、蛇は身の危険を感じるとおそいかかってくることがあります。繰り返しますが、蛇に遭遇したときの最良の対処方法は「放置」です。
家の蛇対策もしっかりと
蛇は山や沼などに生息していますが、ときにはエサや心地のよい住処を求めて民家に迷い込んでしまうこともあります。そして、一度蛇が民家を気に入ってしまうと、蛇はそこに定住してしまいます。
家でばったり蛇と遭遇してしまって、蛇の鋭い牙で噛まれてしまったら大変です。ここでは、蛇が家に住み着かないようにするための対策についてお話していきます。
芝生や茂みは短く切っておく
憶病な蛇は身を隠せる環境を好みます。もし、家のお庭などに生えている草が伸び放題になっている場合は、短く切っておきましょう。
また、草が伸びていると蛇だけでなく、コオロギやネズミなどの生物も集まってきます。長い草がある環境はいろんな生物が好むのです。
ネズミや昆虫類は駆除する
もし、家の周りにコオロギやネズミがいる場合は要注意です。蛇はこういった生物をエサにしています。家の中でネズミが発生した場合、つられて蛇も家の中に侵入してくるかもしれません。家で発生した際は、蛇をおびき寄せないために速やかに駆除するようにしましょう。
家の穴や隙間を埋める
体の細い蛇はわずかな隙間からでも家の中に侵入してくることがあります。家の壁にひびがあればそこから侵入したり、室外機や換気扇から侵入したりすることもあります。
「ある日エアコンを使っていたら、エアコンの送風口から蛇が落ちてきた」という事件も実際に発生しています。もし、蛇が入ってきそうな隙間が家にある場合は、早急に修繕し換気扇や室外機には金網をするなどの対策をすると、蛇の侵入を防ぐことができます。
蛇の駆除は警察や業者に依頼しよう
蛇が家に出現してしまった場合は、とても慌ててしまうことでしょう。それが毒蛇であればなおさらです。毒蛇の牙には非常に強烈な毒があります。噛まれてしまえば、命に関わる事態に陥ってしまう危険性もあるのです。
ですので、自力では絶対に駆除しないようにしてください。ここでは、蛇の駆除はどこに依頼すればよいかをご紹介していきます。
緊急性の高い場合は警察に連絡
まず、ひとつめに「最寄りの警察署に駆除を依頼する」という手段があります。警察の仕事は「市民の安全を守ること」なので、依頼をすれば蛇の駆除もおこなってくれます。
連絡をすればすぐに駆け付けてくれる場合が多いので、今すぐ蛇を駆除したいときは警察に蛇の駆除をお願いするとよいでしょう。
しかし、警察は蛇の駆除をおこなってくれても、アフターケアまではおこなってくれません。蛇は一度定住してしまうと、追い払っても再び戻ってくることがあります。
ですから、「せっかく蛇を追い払ってもらっても、しばらくすると、蛇が戻ってきた」なんてことも起こりうるのです。
警察に蛇の駆除依頼をする場合は、緊急時など、すぐに蛇を追い払いたいときにするとよいでしょう。
再発防止は業者に連絡
では、蛇の再来を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。しつこい蛇に困ったときは、業者に相談することをおすすめします。
業者なら、蛇を駆除してくれることはもちろん、蛇被害の再発防止のためのアフターケアもおこなってくれるので、一度業者に依頼をすれば解決することができるでしょう。徹底的に蛇を駆除したい方は、業者に連絡するようにしましょう。
とはいっても、初めての方はどの業者に依頼すればよいかわからないかもしれません。せっかく業者に駆除してもらったのに、処置が不十分で、蛇をしっかりと駆除できなかったら、お金も時間も無駄になってしまいます。そんな事態を避けるために、失敗しない業者の選び方をご紹介します。
【公式サイトや口コミを利用する】
公式サイトを利用すれば、その業者の業績やサービス内容、費用などを把握することができます。また、口コミで自分の住んでいる地域で評判のよい業者を見つけるのもよい手段です。
【業者を紹介してくれる会社に相談する】
自分で業者を決めることに不安がある方は、業者を紹介してくれる会社に連絡するのがよいでしょう。電話で連絡するだけで、業者を紹介してくれる会社はあなたの要望に沿った業者を紹介してくれるでしょう。
【業者同士を比較する】
自分に合った業者を見つけたい方は、複数の業者に見積りを取ってもらい、業者同士を比較するとよいでしょう。複数の業者を比較することで、費用の相場や、サービス内容が明確になるので、きっと自分に合った業者を見つけることができます。
【番外編】ペットとして蛇を飼うことは可能?
毒蛇の牙には猛毒が仕込まれており、噛まれてしまったら命を落としてしまう危険性があります。しかし、猛毒があるにしても蛇をどうしても飼いたい方もいるかもしれません。では、蛇を飼うことは容易なことなのかということと、初心者向けの蛇についてご紹介していきます。
ペットとして飼うには注意が必要
蛇は毒をもっていたり、脱走することで生態系を破壊したりする危険性があるので、飼育するために地方自治体の許可が必要な蛇も存在します。さらに、蛇はもともと熱帯地域に生息する生き物です。飼育する際には、適度な温度と湿度を保たなければいけません。
また、エサとしてピンクマウスを使うことがあります。もし、一緒に家に住んでいる方がいる場合は、事前に確認を取りましょう。ピンクマウスは冷凍保存をする必要があります。「冷凍庫を開けたらマウスが入っている」状況を、同居人に無断で作ることは難しいでしょう。
また、蛇は細い体を活かし、わずかな隙間からでも脱走してしまいます。ちょっとした油断で蛇に逃げられてしまうことも少なくありません。どうしても蛇を飼いたいという方は飼育するうえでの責任と、適切に育てるための知識をもつようにしてください。
ペットで飼える初心者におすすめの蛇
蛇を飼いたいという方はまず、飼育が比較的簡単な初心者向けの蛇を飼育することから始めてみるようにしてください。ここでは、初心者でも飼いやすい蛇を3種類ご紹介します。
【コーンスネーク】
アオダイショウの仲間のコーンスネークという蛇はおとなしい性格をしています。この蛇の牙も非常に小さく噛まれてしまっても大けがをすることはないでしょう。また、触ることができるため、初心者にはおすすめの蛇です。色の種類も豊富なことから、人気を集めています。
【カリフォルニアキングスネーク】
色の豊富さと飼育のしやすさから初心者にもオススメの蛇です。食欲旺盛で、ほかの蛇と同じケージに入れることは避けましょう。
【ボールパイソン】
身の危険を感じると、身体を丸めてボールのようになることが名前の由来です。ボールバイソンもおとなしい性格をしており、初心者でも飼いやすい人気の種類のひとつといえます。
まとめ
毒蛇の牙には「管牙」と「溝牙」という種類のものがあり、さらに毒の蛇にもたくさんの種類のものがあります。万が一毒蛇に噛まれてしまった場合は、なるべく噛まれた蛇の種類を把握しておくようにしましょう。
また、毒蛇に噛まれないようにするには毒蛇と遭遇しないことが一番です。毒蛇が潜んでいそうな場所にはなるべく行かないようにしましょう。もし、家に毒蛇が出現してしまった場合は、自力でなんとかしようとせず、警察や業者に駆除を依頼するようにしてください。
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