素早く動き回ってあらゆる場所にあらわれるねずみは、健康面や経済面などさまざまな方面に被害をおよぼす害獣です。
不潔な場所で活動しているため、ダニなどの害虫や病原菌を媒介しますし、人間の食料を食べたり生活に必要なものをかじって壊してしまったりすることもあります。
さらに、放置すればあっという間に繁殖して、より大きな被害が発生することも考えられます。ねずみ被害の危険性をよく理解して、迅速な駆除と予防をおこないましょう。
3つの危険なねずみ被害
人の住む家に被害をおよぼすねずみはおもに3種類おり、見た目の特徴や性格、好む場所は以下のとおりです。
・ドブネズミ
比較的サイズが大きく、小さな耳が特徴的な、気性の荒い性格のねずみです。泳ぎが得意なので、水気のあるお風呂場や台所などを好みます。
・クマネズミ
耳が大きくてしっぽの長いねずみです。警戒心が強く、駆除が難しいという特徴があります。木や壁などを登るので、屋根やマンションのベランダなどから侵入してくることもあります。
・ハツカネズミ
3種類のなかで最も小柄なねずみで、好奇心が旺盛な性格をしています。自然の多い場所を好む種類ですが、体が小さいぶんわずかな隙間からでも侵入可能なので油断できません。
そして、ご紹介した3種類のねずみがおよぼす被害は、健康被害・経済的な被害・都市機能への被害と大きく分けて3つあります。具体的にどんな影響があるのか解説しましょう。
健康被害
健康被害は、さらに衛生被害と精神的被害の2つに分類することができます。自分の身に直接関係する被害なので、よく覚えておきましょう。
・衛生被害
ねずみは下水管やホコリだらけの場所など、不衛生な場所で活動しています。そのため、さまざまな菌やウイルスを保有しているのです。ねずみが媒介する菌により発生する病気についての詳しい情報は、後述する一覧を参考にしてください。
・精神的被害
ねずみは夜行性なので、夜にカタカタと足音がしたり鳴き声がしたりすることがあります。そして、音に敏感な方は、足音や鳴き声でノイローゼになったり寝不足で体調を崩したりする例もあります。また、ねずみの見た目がそもそも気持ち悪いと感じるのも、立派な精神的被害です。
さらに、衛生面でも精神面でも被害をおよぼすのが排せつ物です。悪臭や尿などのシミは衛生的にも精神的にもダメージを受けますし、乾燥して舞い上がったふんを吸い込んでしまった場合は、アレルギー症状が出ることもあります。
悪臭や騒音などが続けば、いずれストレスが蓄積して心因性の病気が発症するリスクもあるので、早めに業者に駆除を依頼しましょう。
経済的な被害
経済的な被害も、対象はひとつではありません。食料や建物、家財などさまざまなところに影響します。
・食料
ねずみは雑食なので、穀物や野菜、果物などあらゆるものがエサになるのです。そのため、家で保管している食材から農地で栽培している作物まで狙われます。特に、無農薬で育てられたものは狙われやすい傾向があるので注意が必要です。ねずみがかじったものは病気に感染するおそれがあって口にできないので、食材が無駄になってしまいます。
・建物
伸び続ける前歯を削ったりすみかへの通路を確保したりするために、床や壁、天井、柱などをかじることがあります。被害範囲によっては多額の修理費用がかかることも考えられますし、排せつ物のシミなどが残っているだけでも建物の資産価値も下がってしまうので、早めの対策が必要です。
・家財
かじるものは建物だけではありません。家具や電気の配線なども被害にあうおそれはあるのです。ねずみがかじったことで、電化製品が使えなくなったり家具が壊れてしまったりすることもあるので、大きな被害になります。
都市機能への被害
ねずみによる被害は、家庭や店舗などの局地的なものにとどまらず、都市機能に影響をおよぼすこともあります。
家財の被害でもご紹介したように、ねずみは電線などをかじることもあります。複数の家庭や地域の施設に関係する電線やガスホースなどをかじれば、漏電やガス漏れが発生し、大規模な火災や爆発事故が起こる危険性もあるのです。
- 送電線をかじったことによる停電
- インターネットのケーブルをかじったことによる電話やインターネットの不通
- 配電盤にねずみが侵入して停電やショートが発生
ねずみが原因となる多くの感染症
ねずみは汚らしいというだけでなく、人体に影響をおよぼす危険性があります。ネズミが媒介する菌や発症する可能性のある感染症、詳しい症状について3つの感染経路ごとにご紹介しますので、ねずみの危険性について再確認しておきましょう。
食べものや空気中の菌
病名 | 原因 | 症状 |
サルモネラ症 | 「サルモネラ菌」が付着した食べ物を摂取することで感染 | 下痢や嘔吐などの急性胃腸炎がおもな症状だが、小児や高齢者では菌血症(血液中に細菌が侵入した状態)を併発するなど重症化しやすい。 |
腸チフス・パラチフス | サルモネラ属の「チフス菌」「パラチフス菌」が原因の全身性感染症 | どちらも持続する高熱や頭痛、全身の倦怠感がおもな症状で、重症化すると意識障害や腸出血を引き起こすこともある。 |
レプトスピラ症 | 「レプトスピラ菌」に感染することで起こる急性の熱性疾患 | 発熱・頭痛・悪寒・結膜充血など風邪のような症状があらわれ、黄疸・出血・腎障害など重症化することもある。 重症型は「ワイル病」と呼ばれ、適切な治療をしなければ死にいたることもある。 |
ハンタウイルス感染症 | 「ハンタウイルス」によって起こる感染症 | 「腎症候性出血熱」と「ハンタウイルス肺症候群」の2つがあり、どちらも初期は頭痛・発熱・腹痛・吐き気・筋肉痛などインフルエンザのような症状。 その後それぞれに腎臓の障害、肺の障害が出現し、重症化すれば死にいたることもある。 |
E型肝炎 | 「E型肝炎ウイルス」に感染することで発症する急性肝炎 | 高確率で黄疸(おうだん)が表れるのが特徴で、発熱・吐き気・腹痛などの症状から始まり、肝機能の悪化を引き起こす。 |
ねずみにかまれる
病名 | 原因 | 症状 |
鼠咬症(そこうしょう) | 「鼠咬症スピリルム」「ストレプトバチルス」によって起こる2種類の感染症の総称 | 傷口が腫れて、寒気をともなう発熱・頭痛・関節痛・発疹・リンパ節肥大などの症状が表れる。 重症化して心内膜炎や肺炎・肝炎などを発症することもある。 |
アナフィラキシーショック | ねずみにかまれることで起こる急激なアレルギー反応 | 呼吸困難や意識障害があらわれ、重篤な場合は死にいたることもある。 何度もかまれて初めて発症するケースもあるが、一度かまれただけで発症するケースもあり、個人差がとても大きい。 |
ねずみの寄生虫
病名 | 原因 | 症状 |
ツツガムシ病 | 「ツツガムシ」(ねずみに寄生するダニの一種)にかまれることで起こる感染症 | 寒気をともなう高熱・頭痛・筋肉痛全身倦怠感がおもな症状で、結膜充血や肝臓・脾臓の肥大、全身リンパ節の腫れなどもあらわれる。 適切な治療をしなければ、脳炎・肺炎・心不全で死にいたることもある。 |
ペスト(別名「黒死病」) | 「ペスト菌」が原因の感染症で、ペストにかかったねずみに寄生する「ノミ」が媒介となって感染 | 全身の倦怠感から始まり、寒気をともなう高熱があらわれる。 その後はリンパ節の腫れ・皮膚の潰瘍・敗血症などさまざまな症状を引き起こす。 ※別名は、かつて致死率が高かったことと皮フが黒くなることに由来する。 |
代表的な感染症は以上9つですが、その他にも、乾燥して舞い上がったねずみのふんなどを吸い込んでアレルギー性鼻炎や気管支喘息が発症することもあります。
また、大きな病気にかからななくても、ねずみに寄生したイエダニが人にかみついて吸血することでかゆみが出て腫れてしまうということもあるのです。
ご紹介したようなねずみ被害にあうことがないように、そして被害を拡大させてしまうことがないように、一刻も早くねずみを駆除しましょう。
危険なねずみを駆除する方法
ねずみを駆除することができれば、健康被害や経済的な被害を防ぐことができるほか、ねずみを狙ってやってくるヘビやイタチなど、別の害獣対策にもなるのです。ねずみを駆除する方法はおもに3つあります。
- 殺鼠剤(さっそざい)で倒す
- 捕獲器や粘着シートで捕まえる
- 忌避剤や超音波で追い払う
殺鼠剤はねずみ駆除用の毒エサで、好物に混ぜて使用します。駆除効果は高いですが、クマネズミのなかには毒に強いスーパーラットという個体も存在するので注意が必要です。
罠を使った駆除方法は、スーパーラットにも有効です。しかし、警戒心の強い個体はかからないかもしれませんし、ねずみの活動場所を把握して設置する必要があるので、初めての駆除では成功するのが難しいこともあります。
忌避剤や超音波は、ねずみに直接なにかをするわけではなく、家をねずみにとって居心地が悪い環境にして追い出すという方法です。しかし、ねずみが臭いや音に慣れて戻ってきてしまうおそれもあるので、万能な対策とはいえません。
安全かつ確実なねずみ駆除はプロの力を借りるのが一番なので、自分で駆除するのが不安な場合は相談してみましょう。
賃貸物件のねずみ駆除費用は誰の負担?
ねずみ駆除をおこなうにあたり、持ち家の場合は当然自身が駆除費用を負担することになります。しかし、賃貸物件の場合は誰が駆除費用を負担することになるかご存じですか?じつは、被害にあった状況などによって、負担する人が変わります。
・管理者側が費用を負担する例
建物自体の経年劣化を放置したことによる壁のひび割れや配管の隙間などが原因で、契約後入居前にねずみが発生した場合や、共用スペースにねずみがあらわれた場合
・入居者側が費用を負担する例
ゴミを放置したり、入居者が衝撃を与えたことによる壁などの破損でねずみが発生した場合
ただし、建物自体に不備がある場合は、入居の時点で気が付くことも多いはずです。入居後にねずみが発生した場合は、入居者が費用を負担する可能性が高いので、できるだけ部屋を清潔にして、ねずみに侵入されることがないように生活しましょう。
賃貸物件でねずみ被害は発生したにもかかわらず、駆除せず放置した場合、排せつ物による悪臭やシミ、ねずみのかじった跡が残って損害賠償請求される危険性があります。場合によってはすぐに退去して修繕費用を請求されるということも考えられます。ねずみ被害を発見したら速やかに駆除してください。
集合住宅で、自身の部屋は清潔にしているのにねずみがいなくならない場合は、近くで繁殖してしまっているかもしれません。被害拡大防止のため、建物全体のねずみ駆除作業が必要になる可能性があるので、管理者に相談して対策してもらいましょう。
ねずみ被害は火災保険の適用外
ねずみ被害は、ときに火災や爆発などの大規模な災害の原因になるとご紹介しました。しかし、基本的にねずみ駆除は火災保険の適用外となっているのです。
火災保険にご加入の方は、保険証券を確認してみてください。「害虫・害獣が原因の火災は対象にならない」という旨の一文が記載されている可能性が高いです。
少しでも駆除費用を抑えたいと思っている方は、見積り無料の業者を探すことをおすすめします。事前にどの程度の費用がかかるのか、追加請求はないのかなどを確認しておけば、支払いで焦ることはありません。
弊社では相見積りも歓迎していますので、費用面が心配という方は一度ご相談ください。
早めの対策でねずみ被害を防止
ねずみ駆除に成功した場合は再発防止に、ねずみ被害にあいたくないと不安に思っている方はねずみを寄せ付けないために、すぐにやっておきたい予防法をご紹介します。
ねずみ被害を防ぐための対策は、ねずみの侵入経路をふさぐこととねずみが嫌がる環境をつくっておくことが大切です。
侵入経路は、金網や防鼠用のパテ、金属製のたわしなどを使ってふさぎます。壁のひび割れや床下の通気口など、ねずみが通れそうな隙間を探して、すべてふさいでしまいましょう。
そして、ねずみの嫌がる環境をつくることですが、まずは食品を出しっぱなしにしないことです。扉付きの棚やフタ付きの容器に入れて保存する癖をつけることで、ねずみのエサとなるものは多少減らすことができます。
あとは、ねずみが嫌がる忌避剤を置いておいたり、部屋をこまめに掃除してねずみの隠れ場所になる場所をつくらないようにしたりするのも効果的です。今すぐできる対策もあるので、できることから少しずつ実践していきましょう。
ねずみ対策は駆除も予防もプロにお任せ
ねずみは多方面に大きなダメージを与えるおそれのある危険な害獣です。大きな被害が出る前に駆除や予防をしておいて、安心した生活をおくりたいですよね。
ねずみの駆除や予防用のグッズは通販サイトやホームセンターなどで購入できるものがたくさんあります。被害範囲も狭く、すぐに埋めることができる侵入口しかなければ自分で対処できる場合もあるかもしれません。
しかし、ねずみは知能の高い生き物です。環境に順応する能力も繁殖力も高いため、被害の再発がないように駆除や予防をすることは簡単ではありません。わずかでも対策に漏れがあれば、隙をついてねずみに侵入されてしまいます。
弊社が確実にねずみを駆除してくれるプロの業者をご紹介しますので、一度お電話ください。施工保証が付いている業者や予防も一緒におこなえる業者など、ご要望もできる限りかなえられるようご協力いたします。