ネズミは、ほとんどが夜行性で、繁殖力がとても高い動物として知られています。「都市部では、ネズミによる被害が多発している」といったニュースを、聞いたことがある人も多いかと思います。
ネズミを放っておくと、衛生面も悪化してしまいます。また、ネズミに噛まれてしまうと「鼠咬症(そこうしょう)」というものにかかってしまい、発疹や感染症にかかる場合もあります。家にいるネズミを駆除しないままにしておくのは危険です。
今回は、「ネズミの被害にあわないための予防方法」についてお話していきます。
古きよき「ねずみ返し」の歴史
私たちを困らせるネズミ。実は、人類は大昔からネズミに悩まされてきたのです。中学校の歴史の授業で「高床倉庫」という単語を耳にしたことがある人も、いらっしゃることでしょう。おさらいにはなりますが、高床倉庫とは弥生時代にでてきた単語でしたね。
高床倉庫とは、読んで字のごとく、床が高い倉庫のことです。弥生時代には、収穫したイネや食料はこの倉庫に保管していました。床が高いため、収穫した作物を湿気から守ること可能だったのです。大昔から人々は、ねずみに悩まされていたようですね。
また、ねずみからの被害を守るために、床を支える柱の部分に平たい皿のような「ネズミ返し」というものがつけられていました。
昔のねずみ返し、本当にねずみは防げた?
さて、この「ネズミ返し」、効果のほどはどうだったのでしょうか。ネズミ返しは、日本の遺跡だけではなく、ヨーロッパや東南アジアなどの世界各地で発見されているそうです。
また、ネズミの爪が立たないように、陶器などの部材を使っている場合もあったそうです。たしかにつるつるしていると、ネズミも登りづらいでしょうね。世界中で遺跡として残っていることから、ネズミ返しの効果は高かったと考えられます。世界各地で使われていたという事実には、驚きでしょう。
進化した現代のねずみ返し
さて、弥生時代から大きく時代は進み、ときは高度情報化社会ともいわれる「現代」。何千年ものときを経て、「ネズミ返し」の技術も大きく発展したそうです。
高床倉庫の「ネズミ返し」については知っている人もいると思いますが、現代のネズミ返しについては、あまり気をとめたことがないかたが多いでしょう。この章では現代の「ネズミ返し」についてみていきましょう。
現代でもみられるネズミ返し
現代では、ネズミの被害にあうということは少ないかもしれません。しかし、意識してみると日常生活の至るところでみることができます。たとえば、船にもネズミ返しがあるのはご存知でしょうか?
船首と船尾をつないでいるロープには、団扇のようなものがついています。これは、ネズミがロープを伝って、船内に侵入してくることを防ぐためにあるそうです。
このように、ネズミが侵入することを防ぐ方法はほかにもたくさんあります。日頃から注意してみると、また新たな発見があって面白いかもしれません。
ネズミを撃退するためのグッズが発明された
ネズミ返しの種類は多様化しました。ネズミ返しそのものを進化させるというよりも、別の方法でネズミを捕獲しようという考えがでてきました。ここではネズミを撃退するためのグッズについて、詳しくご紹介させていただきます。
粘着シート型
強力な粘着のりでネズミを捕獲します。この粘着シートの上をネズミがとおるとネズミがくっつき、捕獲する仕組みとなっています。ネズミは賢いため、粘着シートの設置場所にも注意を払う必要があります。
超音波
ネズミの嫌いな周波数を出して、ネズミを撃退する方法です。ネズミは警戒心が高く、普段と違うことに驚く生き物です。そのため、超音波の音を聞くと、ネズミが逃げるという仕組みになっています。
この方法で、ネズミがいなくなる場合もありますが、ネズミが超音波に慣れてしまって戻ってくるというケースもあるようです。
殺鼠剤
ネズミに毒餌を与え、ネズミを駆除する方法です。ネズミが毒餌に食いつくように、ネズミが好むような食材と混ぜて使用されます。なかなかネズミが餌を食べない場合には、はじめに餌付けをしてから、一気に毒の入った餌に変えるといった手段もあります。
くん煙剤
家の中に煙を充満させることにより、においと成分でネズミを駆除する方法です。ネズミを家から追い出す効果もあります。しかし、ネズミの巣が家に残っていたり、ネズミがにおいに慣れてしまったりすると、ネズミが戻ってくる場合もあるそうです。
ネズミ撃退グッズの設置に効果的な場所は?
さまざまなネズミ撃退グッズをご紹介させていただきました。ネズミの被害にあうのは、気持ちのいいものではありません。一晩中ネズミの足音がして眠れなかったという人もいらっしゃいます。一度侵入してしまったネズミは、いち早く駆除したいものですよね。
では、ネズミを住まいに寄せ付けないために、撃退グッズはどこに設置するのがよいのでしょうか。
屋外からのねずみ侵入口
ネズミは屋外から侵入してきます。ネズミは、基本的に雑食で、人間の食べるものなら何でも食べます。ネズミには、長い前歯があるので1.5㎝ぐらいの穴であれば、とおり抜けることができるそうです。また、小さい穴でも周囲をかじって穴を広げてから侵入します。
ネズミの前歯は一生伸び続けます。そのため、常に硬いものをかじることで、前歯を削っておく必要があります。そうしないと、前歯が伸び続けてしまい、食料を得ることが難しくなってしまうからです。
ネズミはケーブルやコードなどをかじってしまうこともあるため、注意が必要です。ネズミの侵入を防ぐためにも、「家の周りに食べ物や、生ごみを放置しない」「住まいへの侵入を防ぐため、穴をふさぐ」ことが大切です。ネズミが侵入しやすい場所は下記のとおり。
・増築部分の隙間
・トタンや外壁からの侵入
・壊れた通気口からの侵入
・電線やパイプの引き込み口からの侵入
日頃から、このような場所は重点的に点検し、穴を発見した際にはすぐに直す必要があります。
室内ではラットサインが目印
室内にいるネズミには、「ラットサイン」がある場所に撃退グッズを仕掛けるとよいでしょう。ラットサインとは、「汚れが付着することによって黒ずみがでるサイン」のことをさします。単にネズミがとおったことを示すサイン、と考えてもよいでしょう。
この、ラットサインがある場所がネズミの侵入経路になっています。このような場所にネズミ撃退グッズを仕掛けるとよいでしょう。また、ネズミの糞がある場所や、ネズミの気配がする場所に設置することにより、効果が高くなります。
あとはねずみを寄せ付けない暮らしを!
ネズミがいったん住まいに侵入してしまうと、駆除することが大変です。上記に挙げたネズミの生態を知って、正しく駆除することで、ネズミの被害は防ぐことができます。ネズミを寄せ付けない住まいづくりを、少しずつしていくことが大切といえるでしょう。
まとめ
大昔から人々はねずみに悩まされてきました。そのため、かつての人々は高床倉庫に「ネズミ返し」を設置して、ネズミの侵入を防いでいたそうです。現代はネズミ返しだけでなく、さまざまな方法でネズミの侵入を防いだり、ネズミを駆除したりすることができます。
ネズミによる被害を放っておくと、衛生面も悪化してしまいます。また、ネズミに噛まれてしまうと「鼠咬症」というものにかかってしまい、発疹や感染症にかかる場合もあります。正しく駆除や予防をすることによって、ネズミの被害は防ぐことができます。
ネズミを寄せ付けない住まいづくりをして、ネズミの被害から住まいを守りましょう。