蜂が成虫になるまで
蜂は昆虫の一種であり、卵から生まれ、幼虫からさなぎ、そして成虫になります。このような経緯を辿って成長することを「完全変態」と言います。各成長段階での性質や、オスバチ・女王生態・働きバチなど性別・生態系によって役割、飛行距離、寿命などが異なることが研究や生態調査で明らかになっています。人にとって危険の大きいスズメバチとなじみの深いミツバチの幼虫・さなぎ・成虫についてまとめた下記の表をご覧ください。
幼虫
巣内部の育房内から出ることがない
食事は成虫が運んできたエサが頼り
幼虫の好物
ミツバチ・・・花の蜜や花粉を分解・合成したローヤルゼリー
スズメバチ・・・他の虫を肉団子にしたもの
さなぎ
時間をかけて徐々に蜂の姿になっていく
さなぎの期間
ミツバチ・・・約12日間
スズメバチ・・・約15日間
成虫
・成虫の活動時間は早朝から日中にかけて。
・夜行性ではないので、夜は巣にいる
・水に濡れることを嫌い、巣は雨風の影響が少ない場所に作る
・生殖虫と呼ばれる生命力の強い女王バチがいる
・「蜂毒」という毒の名前でも知られるように、毒成分を含んだ針を
持っている
同じ蜂でもこんなに違う!?スズメバチとミツバチの特徴【スズメバチ編】
スズメバチの特徴
・雑食性で昆虫の他、樹液や幼虫が唾液腺から出す分泌物も食べる
・移動距離は一日100㎞飛行可能、直線的な飛び方をする
・外敵には警戒音を出し、威嚇行動をとる
・女王バチが越冬のため巣離れをする生態があり冬眠を行う
・寄生虫に寄生された成虫は越冬する女王バチと共に越冬する
・オスバチは複眼と単眼が発達している
・威嚇性の強い種類とそうでない種類がいる
・巣が違う蜂同士は喧嘩や共食いをする
・煙や熱に弱い
スズメバチは、警告音を発する他、毒針から警報フェロモンを出しています。このフェロモンによって仲間を寄せ集め、集団で攻撃をしてきます。
同じ蜂でもこんなに違う!?スズメバチとミツバチの特徴【ミツバチ編】
ミツバチの特徴
・蜜をエサとし、エサ集めの際に植物の受粉を行う
・行動範囲が広く飛距離も長い
・巣を守るためにプロポリスを作る
・敵に巣を攻撃された際は攻撃態勢を取り蜂球という手段で迎撃する
・猛毒ではないが、毒性はあり少量でもアレルギーの危険はある
・気圧が低い台風時や雨の日は活動が鈍る
・女王バチは秋までにオスバチと結婚飛行を行う
・仲間に蜜の場所を知らせるために「8の字」を描いて飛ぶ
ミツバチ害虫としてだけでなく益虫としての面が多くある昆虫で、絶滅すれば影響が大きい生物です。刺激されれば仲間を呼び命がけで攻撃する危険性がありますので注意が必要です。
蜂に対する予防と緊急対処
蜂の成長過程や生態について少しわかったところで、次に蜂被害に遭わないような予防法と、万が一不意に蜂が部屋の中に入ってきてしまった時の緊急対処法についてご紹介しましょう。
市販品を使った予防法
今は様々な蜂対策グッズがありますが、主に駆除方法の一つとして使われているスプレーを蜂を予防するスプレーとして活用することが出来ます。
スプレー式蜂殺虫剤
蜂撃退スプレーなどをはじめ、市販の殺虫スプレーの殺虫成分にはピレスロイド系成分が多く含まれており、これは虫退治によく効くとして有名です。当然殺虫成分が含まれていれば虫も近寄り難いということで、これらのスプレーは、殺虫効果と共に蜂を寄せ付けない効果があります。商品によっては「蜂の巣を作らせないスプレー」ということで販売されているものもあるようです。
このように蜂の巣を作らせない方法としてスプレーはとても有効です。
スプレーを購入する際は効果、使い方、噴霧量などをよく確認しましょう。蚊用の虫除けスプレーでは蜂には効果が薄いと考えられますので、出来れば蜂専用のものが望ましいです。
スプレーボンドや冷凍スプレーなどの殺虫成分を含まない、駆除目的のものもあるので混同しないようにしましょう。
虫除けスプレーとしてアロマの精油「ゼラニウム」を使うことがありますが、かえって蜂が寄ってきてしまい、防止策にならないこともありますので注意しましょう。
ハチトラップ
蜂用の罠(トラップ)を設けて蜂の巣作りを予防するものです。ペットボトルタイプと粘着シートを使ったタイプがあり、蜂の取り方と作り方を解説します。
撃退ペットボトル
別名捕獲器ペットボトルといい、ペットボトル上部に穴を開け中に誘引液や誘引剤を入れて置き、巣を作りに来た女王バチを溺死させるものです。基本的にハチの巣ができる前のトラップで6月までの設置が望ましいです。
粘着シート
蜂が巣を作りそうな場所に粘着シートを設置しておくことで、蜂の巣作りを予防するものです。粘着シートは蜂用を使用することで、蜂の激取れ効果が期待出来ますがゴキブリ用を使用した場合粘着力が足りずに逃げられてしまうこともあるようです。
注意点
両方とも主にスズメバチトラップとして使われますが、使用は巣の出来始めに限定し、蜂の巣に直接ペットボトルを設置しないようにしましょう。トラップを9月頃に設置しますと増えた蜂が大量に寄ってきて危険です。また設置するなら蜂が活動し始める午前中早めに。巣を駆除したばかりの場所では「戻りバチ」と呼ばれる、出かけていた働き蜂との遭遇にも注意が必要です。
ワンポイントアドバイス
蜂の種類と巣の大きさに注意
ご紹介した蜂予防法は、営巣の前、或いは巣がまだ小さい場合(目安としては10cm未満)にのみ利用するようにしてましょう。冷凍しても生き返るほどの凄まじい生命力を持つスズメバチの場合は、死んでいると思っても思わず攻撃される場合があります。見た目ではどの種類か見分けがつかない場合は、スズメバチの駆除が可能な業者へのご依頼をお勧めします。
その他の蜂対策
その他、木酢液(または竹酢液)をカットしたペットボトルなどに入れ、蜂が営巣しそうな場所に置いておくという方法も蜂予防策としてよく知られています。ベランダに殺虫剤を撒くような方法と同等に手軽にできる方法です。タバコの煙で予防する方法も知られているようですが、銘柄などによってはその香りに蜂が引き寄せられて来ることもありますので注意が必要です。
緊急処置編
室内に侵入してきたときの緊急対処法
しっかり予防をしていて周りに巣がなかったとしても、時に浮遊中の蜂が部屋に侵入してしまうことがあります。こんな時は下記の方法で慌てず落ち着いて対処するようにしましょう。
部屋から逃がす方法
部屋からの追い出し方として最も簡単な方法は、家中の窓を開けた状態で電気を消し、外に誘導するものです。その際、騒がず部屋の中で動かないようにすることが大切です。
自力による退治方法
緊急的退治法として、蜂専用の殺虫剤があれば一番効果的ですが、ご家庭にあるゴキブリ用の殺虫剤でも十分に効果があります。但し、反撃されないよう細心の注意を払って使用するようにしましょう。
ワンポイントアドバイス
騒ぐのは厳禁。スズメバチの場合や蜂が複数匹いる場合は、無理をせず駆除依頼をしましょう。
蜂の生態の仕組みや予防法・対処法などを知っておけば蜂被害のリスクは少しでも下げられるはずです。また、普段の生活周りだけでなく、これらの知識や対策は、登山などの屋外活動時にも活用出来ます。ご紹介した他にも、蜂が嫌いなものがありますので、無理のない範囲で揃えて蜂に備えてみるのもよいでしょう。しかし、ハチを刺激してしまった場合、反撃されることもありますので安全が確保出来ない時には、無理をせず業者を利用すると良いでしょう。