「アシナガバチの巣は初期状態ではどんな姿か知りたい」
「小さい蜂の巣を見つけたので駆除しようか迷っている」
そのようにお悩みではありませんか?
アシナガバチの初期の巣を見分けるのは簡単!複数の巣穴が露出している傘型の巣なら、高確率でアシナガバチの巣です。
蜂の種類によっては時期に応じて巣の形が変わることもありますが、アシナガバチの巣の場合は初期とそれ以降では大きさが違うだけ。巣の形と大きさから、他の蜂の巣と見分けることも簡単です。
ここではアシナガバチの巣の初期状態と、駆除・予防方法についてご紹介していきます。アシナガバチの巣なら自分で駆除することもできます。巣の状態を見極めて正しく対処しましょう!
目次
アシナガバチの初期の巣の見分け方
蜂の巣の駆除や予防などの対策をする前に、まずは「その巣がアシナガバチの初期の巣か?」を見極めましょう。見極めを間違えると、危険なスズメバチの巣だったり、数十匹もの蜂に襲われたりするおそれがあるからです。
- 巣の形状が傘のように見える
- 巣の直径が5cm以内
- 女王蜂1匹しか巣にいない
巣の形状が傘のように見える
こちらの画像のように、アシナガバチの巣は傘や茶碗、蓮の実にたとえられる形状です。
蜂の種類によって巣の形状は異なりますが、開放的な場所で傘型の巣を作るのはアシナガバチです。
アシナガバチはあごで木材をかじり、唾液と混ぜ合わせてパルプを作り、薄く延ばして壁にします。そのため紙のような質感の巣ができあがります。
- 巣盤は1つのみ
- 日当たりがよい、高さ1.5m程度の場所に巣を作りやすい
- 巣の最終的な大きさは直径10~20cm程度
- 役割を終えた巣は再利用されない(1年で蜂がいなくなる)
参考:アシナガバチの分類と生態(最終閲覧日:2022年3月21日)
スズメバチの巣との見分け方
スズメバチは種類によって巣の特徴が大きく異なりますが、私たちにとって身近で遭遇しやすい種類はキイロスズメバチとコガタスズメバチです。最低でもこの2種と見分けられるようになりましょう。
アシナガバチの初期の巣との大きな違いは外被に覆われていることです。外被は断熱性があるので巣の内部を暖かく保つ効果があります。外被を内側から削りつつ外側に追加していくことで、スズメバチの巣は大きくなっていきます。
キイロスズメバチの巣 | コガタスズメバチの巣 |
初期は屋根裏や地中など閉鎖的な場所に作られる。働き蜂の数が増えてくると開放的な場所に引っ越して巣を作る。 | 初期はとっくり型。働き蜂の数が増えてくるとでっぱりが切り取られ、丸いボール状になる。 |
スズメバチの中でも、オオスズメバチやモンスズメバチの巣は外被が薄いです。しかし巣盤の数が複数あり、閉鎖的な場所に作られるのでアシナガバチと見分けるのは難しくありません。ただしどちらもアシナガバチと比較して毒性や攻撃性が強いため、むやみに巣を刺激するような調査は控えましょう。
ミツバチの巣との見分け方
ミツバチの巣は、たくさんの巣穴が露出している点はアシナガバチと同じですが、巣板が垂直に大きくなり、巣板の枚数が増えていきます。対してアシナガバチの巣はほぼ水平に大きくなります。
また、アシナガバチの巣は灰色の和紙のように見えますが、ミツバチの巣は白やクリーム色です。初期は白っぽいですが、大きくなるにつれて黄みを帯びていきます。
女王蜂1匹しか巣にいない
アシナガバチの初期の巣には女王蜂が1匹しかいません。なぜなら、女王蜂以外の蜂は越冬できず死んでしまうからです。女王蜂しか越冬できないのはスズメバチも同じで、働き蜂も越冬できるのはミツバチのみです。
4~5月ごろ、越冬した女王蜂は1匹で巣作り・産卵・幼虫の世話などをおこないます。そして約1か月後に働き蜂が羽化するため、6~7月ごろからアシナガバチの数が増加します。その後女王蜂は産卵に専念し、巣作りや幼虫の世話などは働き蜂が担当します。
こうして加速度的にアシナガバチの巣は大きくなり、同時に巣を守ろうと攻撃性も強くなります。
巣の直径が5cm以内
女王蜂1匹のみのとき、アシナガバチの巣の大きさは直径5cm程度です。自分で初期のアシナガバチの巣の駆除をするなら、巣の直径が5cm以内のときにしましょう。
弊社の加盟店6社に蜂駆除についてアンケートを取ったところ、以下の結果が出ました。
- 3社:どの種類も駆除できない
- 2社:アシナガバチの巣
- 1社:どの種類も駆除できる
- 3社:駆除できない
- 2社:5cm以内
- 1社:大きさは関係ない
全体的に駆除はおすすめされていませんが、直径5cm以内のアシナガバチの巣なら働き蜂が少ないので駆除できるという回答もいただきました。
前述のとおり初期の巣には女王蜂1匹しかおらず、その目安となる大きさが直径5cmです。アシナガバチの成虫の大きさが約2cmなので、その2~3倍の直径の巣には安易に手を出さないようにご注意ください。
大きな巣・スズメバチの巣は蜂駆除業者に依頼する
アシナガバチはスズメバチと比べておとなしく、毒性は弱いです。しかしスズメバチと似た毒を持っており、刺されればアナフィラキシーショックに陥って命を落とすおそれがあります。実際に過去にはアシナガバチに刺されて亡くなった事例もあります。
午後3時の休憩が終了し、作業を再開したが、今度は作業者Cが左手首をアシナガバチに刺された。Cは、持参していたアンモニア水を左手首に塗布したが、痛みがとれなかった。そのため、約5mほど離れた甲川の中洲へ行って刺されたところを冷やしていたところ、突然その場に倒れてしまった。これを見ていた他の作業者たちは、Cを救出するとともに、救急車を呼んで病院に収容した。
なお、Cの服装は、保護帽・半袖・地下足袋で、軍手は支給されていたが、使用はしていなかった。また、災害発生当日は、7月中旬の真夏日であった。
後になって分かったことであるが、Cは、約5年前にハチ(種類不明)に刺されて入院したことがあるとのことであった。引用:職場のあんぜんサイト「河川敷の草刈り作業中にアシナガバチに刺され、死亡」(最終閲覧日:2022年3月21日)
蜂駆除用の道具を購入すれば自力でアシナガバチを駆除することもできますが、駆除用の防護服だけでも5万円以上のものが多く、業者に依頼するよりも高額になってしまいます。
何度も蜂の巣を作られるなら専用の防護服を買う選択肢もありますが、そうでなければ業者に依頼することをおすすめします。
弊社の「ハチ110番」に寄せられたお問い合わせから集計すると、アシナガバチ駆除の平均費用は18,385円となりました。金額ごとに件数を分けると、「1万~2万円未満」が最も大きな割合となりました。
金額 | 件数 | 割合 |
1万円未満 | 694 | 9% |
1万~2万円未満 | 4,830 | 61% |
2万~3万円未満 | 1,537 | 19% |
3万~4万円未満 | 508 | 6% |
4万~5万円未満 | 192 | 2% |
5万円以上 | 195 | 2% |
当社実績より算出
集計対象:2015年1月1日~2020年12月31日うち、件数の多い4~11月を月次集計
防護服などを買いそろえた場合の約3分の1の金額でアシナガバチの駆除が完了します。自分の手に負えない蜂の巣を見つけた際は、ぜひお問い合わせください。
もしも初期のアシナガバチの条件をすべて満たしていた場合、専用の防護服を使わず自力で駆除することも可能です。数千円で好きなタイミングで駆除できるので、安全を確保できるなら試してみてください。
初期の巣の駆除に必要な道具
アシナガバチの駆除に必要な道具はドラッグストアや通販などで簡単に購入できます。選択肢が多いので、最低限必要なおすすめの道具をご紹介していきます。
※専用の防護服を購入すると高額になるため、ここでは防護服が不要な小さい巣の駆除に必要な道具のみとします。
- 殺虫剤
- ゴミ袋とトング
- 蜂に刺されにくい服装
殺虫剤
殺虫剤はアシナガバチを駆除するだけでなく予防にも力を発揮します。
「蜂駆除用の殺虫剤も種類が多くて選びにくい」と思われるかもしれません。そこで弊社の加盟店に、市販の殺虫剤の選び方についてもアンケートをおこないました。
- 2社:噴射力
- 2社:持続力(量の多さ)
- 1社:駆除する蜂の種類と合っているもの
- 1社:アシナガバチにもスズメバチ用を使う
これらの条件を満たした殺虫剤がこちらです。
商品名 | フマキラー ハチ・アブ 駆除 殺虫剤 スプレー バズーカジェット 800ml |
金額 | 1,226円(2022年3月21日時点) |
噴射距離 | 最大12m※ |
容量 | 800ml |
巣作り防止効果 | 4か月 |
適用害虫 | アブ、ムカデ、ケムシ、クモ、カメムシ、アシナガバチ、ミツバチ、スズメバチ、ツマアカスズメバチ、ガ、ゲジ、ヤスデ |
※無風時。
※巣を駆除する際は3~4mの距離まで近づいて使います。
最大12mの噴射距離で、蜂を遠くから駆除できます。800mlの大容量なので、駆除中に薬剤が切れてしまうリスクを小さくします。
さらに4か月間の巣作り防止効果を併せ持ちます。予防するには同じ場所にたっぷり薬剤を吹き付けなければいけないので、その点でも大容量タイプが役に立ちます。念のために2~3本購入するのもおすすめです。
ゴミ袋・トング
駆除したアシナガバチの死骸と巣を捨てるために使います。基本的に死骸も巣も可燃ごみとして捨てられます。
トングは軒下や木の枝などにくっついているアシナガバチの巣をはがす際に役立ちます。また、蜂の死骸に触れると反射的に刺される危険があるので、トングでつかむと安全に死骸を回収できます。
蜂に刺されにくい服装
アシナガバチに刺されないためには防護服を着るのが一番ですが、他のもので代用することもできます。以下のポイントを守り、イラストのような服装で身を守りましょう。
- 黒色など暗い色の服を着ない
- ひらひらした服を着ない
- 肌を露出しない
- 袖口や襟から蜂が入らないようにする
これらに加え、目の保護のためにゴーグルをつけたり、軍手の下にビニール手袋か薄手の革手袋などをつけたりするとさらに安全です。
蜂を刺激する香りは身につけない
香水や整髪料など香りが強いものを身につけていると、蜂を刺激して襲われてしまうおそれがあります。黒い服を身につけないのと同じように、香りがついているものは体から落として挑みましょう。
アシナガバチの巣を駆除する手順
準備が整ったら駆除の開始です。基本的には以下の手順でおこないます。
駆除は夜がおすすめです。夜は蜂の活動が鈍くなるだけでなく、出かけていた働き蜂が戻ってくるのでまとめて駆除しやすいからです。
- 3~4m離れた場所から殺虫剤を噴射する
- 戻り蜂に備えて1日様子を見る
- トングでゴミ袋に死骸と巣を回収する
アシナガバチの初期の巣なら、蜂の数が少ないので戻り蜂が発生することは少ないでしょう。発生したとしても、その数はごくわずかです。
それより注意すべきは、別の場所からやってくるアシナガバチの女王蜂です。一度営巣場所に選ばれたということは、他の女王蜂からも同じように選ばれる可能性があります。
駆除後の巣の再発を防ぐ予防方法
蜂の巣の再発予防は、働き蜂が少ない時期と多い時期で適した方法が異なります。ここでは働き蜂が少ない時期の予防方法をご紹介します。
女王蜂を捕獲するトラップを使う
トラップを仕掛けておけば自動的に女王蜂を駆除できるので、蜂の巣が作られるのを防ぐために役立ちます。
蜂用のトラップは市販されていますが、ペットボトルで安く作ることもできます。以下のように家にあるものだけで簡単に作れるので試してみてください。
ただし蜂の数が増える6月以降は働き蜂も集まって危険なので、暑くなってきたらこのトラップを使うのは避け、後述の方法をお試しください。
- 2リットルのペットボトル:トラップの容器になる
- カッター:ペットボトルに切れ込みを入れる
- お酒、砂糖、酢(3:1:1の比率で混ぜる):蜂を引き寄せる誘引剤になる
- ひもか針金:トラップを吊るす
蜂を寄せ付けない忌避剤を使う
誘引剤を使うトラップとは逆に、蜂が苦手な成分を含む忌避剤で遠ざける予防法です。蜂予防として選択肢に上がるのは以下の3つです。
- 木酢液
- ハッカ油
- 蜂用の殺虫剤
おすすめなのは蜂用の殺虫剤です。木酢液やハッカ油は予防に使えますが、駆除には使えませんし、設置用の容器の準備など手間がかかります。
しかし殺虫剤は常備しておくだけで簡単に駆除にも予防にも使えます。噴射力があるので軒下などの高所も予防処理がしやすいです。上記の「フマキラー ハチ・アブ 駆除 殺虫剤 スプレー バズーカジェット」の場合4か月間予防できる※ので、これだけで蜂のシーズンをしのげます。
※1㎡あたり約10秒塗布する必要があります。
ただし殺虫剤が不向きな場面もあるので、その場合は木酢液やハッカ油などで代用しましょう。
- 屋内:部屋が汚れたり、引火したりするおそれがある
- 風下:薬剤を吸い込んだり、肌についたりするおそれがある
- 庭木:木が枯れるおそれがある
- ペット:体調を崩すおそれがある
アシナガバチが巣を作りやすい場所
アシナガバチが巣を作りやすい場所は以下のとおりです。トラップや忌避剤を仕掛ける際は、以下の場所を重点的に仕掛けてみてください。
アシナガバチの巣の詳しい特徴や駆除方法はこちらをご覧ください。
不安なときはまずハチ110番にご相談を
既に何匹ものアシナガバチが住み着いている」「何度もアシナガバチに巣を作られてしまう」
自分での対策に限界を感じたり、そもそも自分で対策したくないと思ったりしたら、プロに相談することをおすすめします。
当サイト【ハチ110番】はスズメバチ・アシナガバチ・ミツバチいずれのご相談にも応じます。もちろん初期の巣の駆除だけでなく、大きくなった巣の駆除や予防もご相談いただけます。
お問い合わせ内容に応じて、お近くの弊社加盟店が現場に駆けつけます。無料の現地調査・お見積りが可能な加盟店をご紹介することもできます※ので、「費用がいくらかわからない」と不安な方もぜひお気軽にお問い合わせください。
※対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様の了承をいただいた上で、調査費用等をいただく場合がございます。
アシナガバチの初期の巣に関してよくある質問
ここまでアシナガバチの初期の巣の特徴や、駆除・予防方法をご紹介してきました。最後にアシナガバチの初期の巣に関してよくある質問をご紹介していきます。
蜂の巣は 1日でどれだけ大きくなる?
以下の初期の巣を参考に、アシナガバチの巣が大きくなる速さを計算してみました。
- 6月(初期):直径5cm・育房の数35個
- 8月(最大):直径15cm・育房の数315個
- 1日あたりの育房の増加数:4.7個
アシナガバチの種類や地域によって営巣規模は異なるので、必ずしもこのペースで巣が大きくなるとは限りません。ただし働き蜂の羽化が始まる6月からは分業され、働き蜂が本格的に巣作りを進めます。巣が大きくなるほど危険性も増すので早めに対処しましょう。
アシナガバチの巣は放置していい?
人の通り道や軒下など刺激を与えやすい場所以外に巣が作られた場合、わざわざアシナガバチの初期の巣を駆除する必要はありません。なぜならアシナガバチはおとなしく、こちらから刺激しなければむやみに襲ってくることは少ないからです。
また、アシナガバチは益虫としての面もあります。野菜を食害するチョウやガの幼虫などを狩ってくれるためです。実際にアシナガバチがどの程度獲物を狩るかの研究もおこなわれ、その効果が立証されました。
上の 3つの研究からみたように,野菜や果樹栽培 の観点から見ると,アシナガバチは,葉菜類を食害 するモンシロチョウ幼虫やミカンの葉を食するアゲ ハ幼虫などのコントロールに少なからず貢献すると 評価できる.但し,創設期の捕獲量は全期間の 5~7% に過ぎないので,捕殺の効力を発揮するのはワー カーが出現してコロニーが成長する 7月~9月にか けてである.
引用:アシナガバチの分類と生態(最終閲覧日:2022年3月21日)
このような理由から、スズメバチの駆除に対応している自治体でもアシナガバチの駆除はおこなっていないということが多々あります。
むやみに刺激しなければ襲われない点はスズメバチとミツバチも同じです。ただし巣の規模が大きくなるほど攻撃性は強くなるので、危険を感じた際はお早めにご相談ください。
秋に見つけた巣は放置していい
もしもアシナガバチの巣を見つけたのが秋だった場合、わざわざ駆除する必要はありません。なぜならアシナガバチの営巣は11月でほぼ終了し、巣が空になるためです。12月ごろに空になるスズメバチの越冬より少し早いタイミングです。
アシナガバチの巣の規模が最大になるのは8月ごろなので、秋まで何事もなければ巣が滅ぶまであとわずかです。前述のように巣が刺激されやすい場所になければ放置し、冬になるまで少し待ちましょう。