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畑の野ネズミを農作物に影響なく徹底的に駆除して再発させない方法

野ネズミから畑を守ろう!自分でできる対処法を解説

「ネズミに畑の農作物を食べられ、困っている」
「畑に出るネズミはどう対策すればいいの?」

畑に出るネズミは野生の野ネズミの仲間です。

特にハタネズミは根菜類や果実が好きで、畑や果樹園にたびたび大きな被害をもたらします。

とはいえ、ネズミを殺すことや、畑で薬剤を使って駆除するのに抵抗がある方も多いでしょう。

実は、ハタネズミが住みにくい環境を作れば駆除せずに追い出せる可能性があります。

今回は農家向けに、なるべく作物に影響の少ない野ネズミ対策方法を解説します。

具体的には次のとおりです。

  • ハタネズミの生態
  • 野ネズミを駆除せずに追い出す方法
  • 追い出せなかった野ネズミの駆除方法
  • 野ネズミの被害

当記事を読めば、畑に出るネズミの生態がわかり、効果的な対策をおこなえます。

※当記事の掲載情報は2022年11月28日時点のものです

畑に出るネズミはハタネズミが多い

野外で見かけるネズミは「野ネズミ」に属する種類です。

代表的な野ネズミには以下のような種類がいます。

  • ハタネズミ
  • アカネズミ
  • カヤネズミ
  • ヒメネズミ
  • エゾヤチネズミ

上記のうち人里の畑によくあらわれるのはハタネズミです。

岩手県の農耕地に生息するネズミの種類を調査した研究報告書にも、次のような記載があります。

ハタネズミ

採集地点81ヵ所のすべてから捕獲されると共に、総捕獲数の85%にもその捕獲数が達することから見て、本県の耕地全般における最優先種と考えられる

引用:岩手県の農耕地に生息する野ネズミの種類と食性(岩手県立農業試験場研究報告)

では、ハタネズミの生態を詳しく解説します。

ハタネズミの特徴と生態

ハタネズミは北海道・四国・沖縄を除く日本全国に生息しているネズミです。

完全な草食性で、根菜類や果実、野草などを食べます。

生息場所は農耕地や河川敷などで、地中に穴を掘って暮らします。

しかし、近年は宅地開発にともなう環境の変化によって個体数を減らしており、準絶滅危惧種に登録している地域もあります。

畑の農作物を食べてしまうため厄介者扱いされがちですが、実はとても貴重なネズミなのです。

以下にハタネズミの生態をまとめたのでご覧ください。

体の大きさ 11~13cm
体重 22~62g
毛の色 背中は茶色または褐色、腹は灰白色
見た目の特徴 尾が短い
好物 サツマイモや人参、大根などの根菜類、果実、野草、樹皮など
生息場所 農耕地や河川敷、牧草地などの草原的な環境
地中にトンネルを掘って暮らす
活動時期 1年中
繁殖期 春(4~6月)と秋(9~10月)
分布 本州、九州、佐渡島、能登島
参考

ハタネズミの巣穴は、畑や河川敷などの地面にあいた穴の中にあります。

写真のような穴を見つけたらハタネズミの可能性が高いです。

厳冬期でも活動できる

野生のネズミは冬になると冬眠するイメージがありますよね。

しかし、ハタネズミは違います。

2022年2月、弘前大学が発表した「津軽地域のりんご園に生息するハタネズミの生態調査」の報告書によると、調査対象のハタネズミは深い雪の中でも元気に活動し、さらに繁殖もおこなって個体数を増やしていることがわかったそうです。

津軽地域のハタネズミは厳冬期分厚い積雪に守られながら積極的に繁殖し、春までに生息数を大幅に増加させるという、既存研究で知られていた非多雪地域の個体群とは全く異なる個体数動態を持つことが明らかになりました

引用:弘前大学 農学生命科学部 プレスリリース

果樹園では、冬季に果樹の樹皮が食害に遭い、春に雪が溶けて初めて気付くケースが多いようです。

ハタネズミに食害された部分が多いと、果樹そのものが枯れてしまうこともあります。

▼樹皮を食べられた果樹

冬季の被害を防ぐには、雪が積もる前の対策が大切です。

巣材になる落ち葉やエサになる落下果実を回収するなど、ハタネズミが住みにくい環境を整えておくことで、被害を減らせる可能性が高いです。

モグラが掘った穴にもぐることもある

ハタネズミは自分で地中に穴を掘って暮らします。

しかしときには、モグラが掘った穴に潜り込んで畑に侵入することもあります。

また、土の中にある作物を食べてしまうこともあります。

▼実際のモグラ穴

そのため、ハタネズミ対策にはモグラ対策も有効です。

詳しい対策方法は「駆除せずにネズミを追い出す方法」の中で解説します。

野ネズミ防除は被害箇所の周囲も同時におこなう

野ネズミ防除をするときは、被害に遭った畑の周囲も同時に対策する必要があります。

畑にいるネズミを駆除しても、駆除していない場所にネズミがいたら再侵入されるおそれがあるからです。

さらに侵入したネズミが繁殖し、振り出しに戻ってしまうこともあります。

なるべく広範囲を同時に対策するために、近所に声をかけて防除に協力してもらいましょう。

ネズミ被害を根本から解決するには、みんなで対策する意識をもつことが大切です。

野ネズミが住みにくい環境を作れば駆除せず追い出せる

先ほど野ネズミの防除に触れましたが、ネズミを殺すことに抵抗があったり、作物を育てる畑で駆除用の薬剤を使いたくない方もいるでしょう。

実は、畑に出た野ネズミは必ずしも駆除する必要はありません。

ネズミが住みにくい環境を作れば追い出せる可能性が高いからです。

この防除方法を「環境的防除」といいます。

薬剤や罠を使わないので、人にも環境にも優しく、畑に適した方法です。

また、薬剤耐性や罠への警戒心などに影響されず、すべてのネズミに効果があります。

環境的防除の内容と特徴
  • ネズミが住みにくい環境を整える
  • 人や環境への影響がもっとも少なく、効果が持続しやすい
  • すべてのネズミに効果がある

今回は畑の「環境的防除」方法を解説します。

定期的に雑草を刈る

畑や周辺の雑草は定期的に刈りましょう。

雑草が生い茂っていると、野ネズミの隠れ場所や、巣材、エサになるからです。

雑草を刈っておくと害虫の発生も防げます。

落ち葉や落下果実を除去しておく

野ネズミは野菜や果実を好んで食べます。

特に冬眠前の秋は、栄養を蓄えるためにたくさん食べます。

台風や雨風などで落ちた果実も、野ネズミにとっては貴重な食料です。

落下果実があったら、なるべくこまめに回収しておきましょう。

落ち葉も巣材になるので、こまめに掃除しておくことが大切です。

果樹を保護する

果樹 金網

果樹園では、果樹の収穫後、果樹に金網などを巻きつけて樹体を保護しておきましょう。

特に苗木や樹皮がやわらかい若木は狙われやすいので、しっかり対策しましょう。

地面から1mくらいの高さまで巻きつけておくと、ネズミは登れません。

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価格 8,714円

【優れた材質】金網は亜鉛メッキ鉄線でできており、防錆・防食に優れた性質を備え、屋外で長時間使用しても錆びにくい、長くお使いいただけます。
【自由にDIY】カット、加工しやすいので、用途に合わせて自由にDIYできます。丈夫ながら軽量で、作業や持ち運びは楽です。
【幅広い用途】亀 甲金網は丈夫でちぎれにくいので、危険防止ための保護網に最適です。防獣用、養鶏用、園芸用、建築用まで幅広く利用されています。

引用:商品サイト

モグラ対策もする

野ネズミがモグラ穴を利用して畑に侵入することがあります。

モグラの穴を見つけたらネズミ対策も兼ねて対策しましょう。

イラストのように、畑に植えている作物を囲むようにモグラ用の柵を設置してください。

もぐら柵

モグラ用の柵はインターネットで数千円で購入できるので、手軽に対策できておすすめです。
例えば次のような商品があります。

ねんりん モグラ侵入防止柵 モグ柵 30枚セット

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価格 5,900円

【使い方】

  • 家庭菜園.ガーデニングのモグラよけに。
  • モグラの主な活動域は地上から約15cm位の「ミミズの多い所」です。
  • 硬い土に当るまで、なるべく隙間なく、深くさしてください。

引用:商品サイト

追い出しきれなかった野ネズミは駆除する

環境的防除で追い出しきれなかった野ネズミは以下の方法で駆除しましょう。

化学的防除 忌避剤や殺鼠剤などを使用する。畑では農耕地用の薬剤を使用すること。
物理的防除 捕獲用の罠をしかける。

ただし、野ネズミの駆除は都道府県知事の許可が必要な場合があります。

必ず次の内容を確認し、必要に応じて許可を申請してください。

野ネズミの駆除は許可が必要な場合がある

ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミを除く野ネズミは「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」で保護されており、都道府県知事の許可のない捕獲・駆除が禁止されています。

第八条
鳥獣及び鳥類の卵は、捕獲等又は採取等(採取又は損傷をいう。以下同じ。)をしてはならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 次条第一項の許可を受けてその許可に係る捕獲等又は採取等をするとき。
二 第十一条第一項の規定により狩猟鳥獣の捕獲等をするとき。
三 第十三条第一項の規定により同項に規定する鳥獣又は鳥類の卵の捕獲等又は採取等をするとき。

引用:e-GOV 法令検索

ただし、農業または林業上の被害を防止する目的に限り、知事の許可を受けなくても捕獲・駆除ができます。

第十三条
農業又は林業の事業活動に伴い捕獲等又は採取等をすることがやむを得ない鳥獣若しくは鳥類の卵であって環境省令で定めるものは、第九条第一項の規定にかかわらず、環境大臣又は都道府県知事の許可を受けないで、環境省令で定めるところにより、捕獲等又は採取等をすることができる。

引用:e-GOV 法令検索

まとめると、農業に従事する方がご自身が所有する敷地内の畑で、被害防止のために野ネズミを捕獲・駆除することは、許可がなくてもOKです。

不安な方はお住まいの自治体の環境課や鳥獣対策課などに相談してみるとよいでしょう。

農耕地用の殺鼠剤を使う

野ネズミの駆除方法には罠をしかける方法と、殺鼠剤を使う方法があります。

まずは殺鼠剤を使う方法を解説します。

殺鼠剤はネズミに有害な成分が入った毒エサのことで、エサと勘違いしたネズミが食べ、体内に毒が回って死に至ります。

畑などの農耕地で使う場合は「農薬登録」された商品を選びましょう。

農薬登録された殺鼠剤であれば、農耕地、山林、貯蔵中の農作物などにも使用できるからです。

必ず使用上の注意をよく読んで正しく使いましょう。

ネズミ用殺鼠剤の種類

ネズミ用殺鼠剤の種類と成分をまとめたのでご覧ください。

殺鼠剤の種類 効き方の特徴 おもな成分
急性殺鼠剤 即効性がある。食べて数時間で死亡する。 リン化亜鉛など
抗凝血性殺鼠剤 血液が固まりにくくなり、内出血を起こして死亡する。効果が出るまで数日かかる。 ワルファリンなど
参考

常に移動している野ネズミ用商品には、食べてすぐに効く急性殺鼠剤(リン化亜鉛入り)が使われることが多いようです。

リン化亜鉛は毒性がとても強い殺鼠剤の成分として知られています。人間が経口摂取した場合の致死量が成人で約300gであることから、お子様やペットの誤食が懸念される家ネズミよりも、アカネズミやハタネズミといった野ネズミの駆除に適していると言えます。

引用:株式会社トータルクリーン「殺鼠剤の成分について【知っ得】」

例えば次のような商品があります。

メリーネコ りん化亜鉛

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価格 902円

農薬登録された農耕地専用の殺鼠剤です。

使用できる場所は畑、農地、山林、貯穀倉庫です。

上記以外での使用はできません。

含有成分はネズミの体内で分解されるので、他の野生動物がネズミの死骸を食べても危険性が少なく安全です。

【使用方法】

▼横にスクロールできます

作物名 適用場所 適用害虫 使用量 使用方法
貯蔵穀物等 倉庫 野鼠 1ヶ所あたり2〜3粒 ネズミの通路より1m〜0.5m離れた物陰に2〜3袋を数箇所に配置する
野鼠が加害する農作物等 農地 野鼠 1ヶ所あたり2〜3粒 ネズミの穴 1ヶ所あたり2〜3粒を投入する
野鼠が加害する農作物等 山林 野鼠 1haあたり300〜600g 本剤を5〜10m間隔の格子状に1ヶ所当たり1〜2gをそのまま又は紙包みにして配置する

データ引用:商品サイト

罠をしかける

続いて罠をしかけて捕獲・駆除する方法を解説します。

ネズミ用の罠にはカゴ型、板挟み型、粘着シート型などがあり、それぞれ用途によって使い分けることができます。

罠をしかける場所は殺鼠剤と同じで、野ネズミの被害があった畑の周辺や倉庫、山林などにしかけます。

各方法の特徴と野外との相性をまとめたのでご覧ください。

罠の種類 特徴 野外との相性
カゴ型 生きた状態で捕獲する。
自分で殺処分する必要がある。
板挟み型(バネ型) バネで体を強く挟んで捕獲する。
血が出ることもあるので注意。
粘着シート型 転ばせて動けなくして捕獲する。
そのまま折りたたんで処分できる。
×

どれもネズミ捕りとしては効果的ですが、屋外で使用することを考えると、粘着シート以外ならおすすめできます。

粘着シートは雨で濡れると粘着力が落ち、しかけの効果が弱まるからです。

ただし、カゴ型と板挟み型は捕獲したネズミを自分で殺処分しなければいけないので、本当に自分でできるかよく考えてから設置してください。

ちなみに殺処分は水に沈めて溺死させる方法がとられることが多いです。

捕獲器の使い方
  1. 使い捨て手袋を着けて捕獲器をセットする
    ネズミは嗅覚が鋭く、人間のにおいがつくと警戒されてしまうからです。
  2. 好物の野菜や果物を小さく切って捕獲器内に置く
  3. 定期的に様子を確認する
  4. ネズミがかかっていたら殺処分する

ネズミ用捕獲器の詳しい使い方や注意点は「捕獲器で効果的にネズミ駆除をするコツ」を読んでみてください。

ここまでの解説を読んで抵抗を感じた方はネズミ駆除業者にお願いしましょう。

業者に依頼すれば、駆除から処分までやってもらえます。

野ネズミの対処が遅れると被害は深刻になる

ここまでさまざまな防除方法を解説してきましたが、すでに被害を受けているなら今すぐ行動しましょう。

対処が遅れると次のような被害が発生し、被害が深刻になるからです。

  • 食害
  • 病気の媒介

それぞれどのような被害があるのかを詳しく解説します。

食害

畑にネズミがいることで発生するいちばん大きな被害は「食害」です。

野ネズミが作物を食べてしまい、収穫量が減って経済的に打撃を受けた、というケースも少なくありません。

▼野ネズミに食べられたサツマイモ

ネズミは大食漢で、1日で体重の3分の1〜4分の1の量を食べます。

ネズミは雑食で、非常に貪食です。1日に自分の体重の3分の1から4分の1のエサを必要とするため、エサが無くなると、寒い時には1日、暖かい時には4・5日程度で餓死します。

引用:渋谷区「ネズミの習性と防除法」

ハタネズミ1匹が食べる量をシュミレーションしたのでご覧ください。

大人の体重 1日の食事量目安 1週間の食事量目安
約22~62g
※今回は体重40gと仮定
約10~13g 約70~100g

※目安体重に3分の1、4分の1をかけて計算し、小数点第1位を四捨五入

1日の食事量はそこまで多くないですが、日が経てばどんどん量が増えていきます。

ちなみに1週間で食べる量100gはりんご1個分くらいです。

もちろん1種類しか食べないとは限らないので、さまざまな作物が食い荒らされることもありえます。

1ヵ月先、3ヵ月先と考えていくと被害が深刻になるのがわかると思います。

病気の媒介

ネズミはさまざまな感染症や寄生虫を媒介することから「病気の運び屋」ともよばれます。

そのなかには、排せつ物から広がる病気もあります。

おもに下記のような病気があります。

病名 症状 感染経路
サルモネラ症 腹痛、下痢、嘔吐などの食中毒症状 ネズミのフンが付着した食べ物や食器などを介して
レプトスピラ症 悪寒、発熱、頭痛、倦怠感など ネズミの尿に直接触れた、もしくは尿のついた場所に触れた手などを介して
参考

特にサルモネラ症は、口に入るものを育てている畑では、大きな被害につながりやすいです。

フンに含まれるサルモネラ菌に汚染された農作物を食べると、腹痛や下痢などの食中毒症状を引き起こします。

健康な人は特別な治療をせずに回復することが多いですが、免疫が弱っている人や乳児、高齢者などは重症化するケースもあります。

このように、畑に野ネズミがいると、直接触れなくても病気が発生するおそれがあるので、迅速に対処することが大切です。

まとめ

畑によく出る野ネズミはハタネズミです。

ハタネズミは根菜類や果物が好きなので、農作物が食べられる被害がたびたび発生します。

そんなハタネズミを含む野ネズミを防ぐ方法は大きく3つあります。

  • 環境的防除:環境を整える
  • 化学的防除:殺鼠剤を使う
  • 物理的防除:罠をしかける

環境的防除で追い出しきれない場合は、化学的防除や物理的防除法を試しましょう。

それでもネズミ被害が続く場合は、お早めにネズミ駆除業者にご相談ください。

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