自作のネズミ捕りは市販品に比べて金銭的なコストが安く済み、薬剤を使わないため安全性が高いことがメリットです。
ただ、罠を使ってネズミを捕まえるためには、ネズミが罠にかかりやすいようにするためのコツを知っておく必要があります。
なぜなら、むやみに罠をしかけてもネズミの警戒心を強めてしまい、駆除の難易度が高まってしまうおそれがあるからです。
そこでこの記事では、自作のネズミ捕りを作る方法と捕獲率を上げる効果的な設置方法を解説していきます。
自作のネズミ捕りの簡単な作り方
ネズミ捕りの罠はホームセンターや通販サイトなどで購入できますが、身近なものを使って自作できます。今回ご紹介する自作方法では身近なものを使うため、お金をかけずにお手軽に実践できるのが大きなメリットです。
自作ネズミ捕り1:ペットボトルを利用する方法
ネズミにふれることなく、ネズミを傷付けることなく捕獲できることから、とくにおすすめしたいのがペットボトルを利用した方法です。
材料
・ペットボトル(2リットル)1本 角張ったものをおすすめします。
・割り箸 2本
・輪ゴム 数本
・タコ糸 数本
・クリップ
・ペンチ
・カッターナイフ
・ドライバー(穴開け用)
・エサ
ネズミ捕りの作り方は以下の手順でおこないます。
1. ペットボトルの上部をカッターで切ります。この際、すべて切り落とさず、四面のうちの一面だけは切らずに残しておきます。
2. ドライバーで切込みを入れたペットボトル上部に2つ穴を空け、割り箸を貫通させます。
3. 割り箸に輪ゴムを引っかけ、その輪ゴムの伸びる範囲を計ります。
4. 輪ゴムの伸びる範囲内にまたドライバーで2つの穴を開け、2本目の割り箸を貫通させます。穴の位置は、だいたいペットボトルの中心より少し下のほうになります。
5. ペンチで割り箸の飛び出た部分を切り離します。
6. ドライバーで、ペットボトルの底に穴を空けます。
7. ペットボトルの口の部分にタコ糸をくくりつけます。くくりつけたタコ糸と反対側のタコ糸の先は、輪っかにしておきます。
8. 上部と、中心より下のほうに貫通させた割り箸に輪ゴムを引っかけます。
9. クリップを伸ばして針金のようにし(この際、丸い部分は残しておくようにする)、棒状にしたところにエサをくくりつけ、タコ糸の輪っかをクリップの丸い部分にくくりつけます。それを穴の底に引っかけるようにして仕掛けます。
10. 一度エサ部分を引っ張ってみて、開いているペットボトルが閉まるかどうか確認してみましょう。うまく作動すれば完成です。
ネズミをエサで上手におびき寄せ、ペットボトルの底に仕掛けられたエサを食べようとしたところでペットボトルの上部が閉まり、ネズミが閉じ込められる仕掛けになっています。
閉じ込められたあとも、割り箸に引っかけた輪ゴムの力によりネズミは外に出られないようになっています。
自作ネズミ捕り2:バケツを利用する方法
続いて紹介するネズミ捕りは、バケツを利用したものです。
・バケツ45リットル(プラスチック製のもの)
・針金
・空き缶500ミリリットル2本
・小石
・ペンチ
・キリ
・エサ(ピーナッツバターがおすすめ)
ネズミ捕り作りは以下の手順でおこないます。
1. 針金をバケツに巻き付け、その直径よりも20センチメートルほど長めに切ります。
2. キリで空き缶の底の中央部分に穴を空けます。この際、穴の直径は針金の直径よりも少し大きいくらいにしましょう。
3. それぞれの空き缶に小石を5個ほど入れ、上部を向き合うように配置して針金を通します。
4. 空き缶の底から通された針金の先端を、バケツのふちに引っかけられるようペンチで調節します。
5. 空き缶の表面にエサとしてピーナッツバターなどを塗りつけます。
この罠は、ネズミがピーナッツバターに興味を示し近づいたところで、誤ってバケツに落ちてしまうのを狙った作戦です。駆除力を高めるために、バケツの底に粘着テープを貼るのもおすすめです。
市販で購入できる罠の種類
ネズミ捕りを自作する時間がとれない場合は、市販のネズミ捕りを利用するのもよいでしょう。市販のネズミ捕りは自作の手間が省けるだけでなく、罠にかかったネズミを逃がさないようにする力も強いです。
そのため、自作のネズミ捕りを設置しても効果がなかった方も、市販の商品を試してみるとよいでしょう。市販のネズミ捕りはさまざまな商品が販売されていますが、おもに下記の3種類にわけられます。
・かご式のネズミ捕り
・バネ式のネズミ捕り
種類ごとにメリット・デメリットがあるので、詳しくみていきましょう。
粘着シート
ネズミがよく通る場所・道に粘着力の強いシートを設置し、ねずみが粘着シートの上を通るのを狙う罠です。粘着シートにかかったネズミは生きたまま身動きがとれない状態となります。
・粘着シートのメリット・デメリット
粘着シートのメリットは比較的安価な商品が多いことや、使い捨てで衛生的であることです。しかしデメリットとして、捕獲したネズミは生きているためトドメをさす必要があります。しかし、のちほどご紹介するかご式のネズミ捕りとはちがい、粘着シートは使い捨てであるためネズミに直接ふれることはないでしょう。
・粘着シートを設置する際のコツ
粘着シートを設置する際には、設置範囲を広くするとネズミを捕獲しやすいです。複数枚の粘着シートを、隙間がないよう敷きましょう。また、かかったネズミがフンをしたりして粘着シートの周囲を汚すことも考えられるため、同時に新聞紙を敷いておくと安心です。
かご式のネズミ捕り
かご式のネズミ捕りではエサでネズミをおびき出します。カゴにネズミが入ると入り口が閉まり閉じ込める仕組みとなっています。
・かご式ネズミ捕りのメリット・デメリット
かご式ネズミ捕りのメリットは、繰り返し使える点です。粘着シートに比べると価格は高いですが、繰り返し使えば長期的にみて経済的といえるでしょう。
デメリットは、生きたネズミにトドメをさして処分しなくてはならない点です。また、サイズが比較的大きいので設置場所を選ぶ点もデメリットとしてあげられます。
・かご式ネズミ捕りを設置する際のコツ
かご式ネズミ捕りは、ネズミにとって魅力的なエサを使うことが重要です。家の食品がかじられるといった被害にあった方は、その食品をエサとして使うとよいでしょう。
また、ネズミを見かけたことがある方は、その特徴からネズミの種類を特定することで好物を把握できます。家に住みつくことが多いネズミは、クマネズミ、ハツカネズミ、ドブネズミの3種類です。ネズミの種類によって異なる好物を把握し、効果的に かご式ネズミ捕りを設置しましょう。
バネ式のネズミ捕り
バネ式のネズミ捕りは、ネズミが罠の上にあるエサをさわると、バチンッとばねが素早く作動し、ネズミを挟み込むようにして捕まえる仕組みとなっています。
・バネ式ネズミ捕りのメリット・デメリット
バネ式ネズミ捕りのメリットは、比較的安価で繰り返し使える点です。しかし、ばねの力が強いので、捕獲したネズミから体液が飛び散る可能性がある点がデメリットとしてあげられます。
生きたネズミにトドメをさす必要はありませんが、グロテスクな死体を目にしたり片づけたりするのがいやな方は、ほかの種類のネズミ捕りを使用したほうがよいでしょう。また、設置する際に誤って手をバネに挟んでしまうことがあるので、注意してください。
・バネ式ネズミ捕りを設置する際のコツ
バネ式ネズミ捕りもエサでネズミをおびき寄せるものなので、かご式ネズミ捕りと同じように好物を使うと効果的です。
ネズミの捕獲率を最大限にあげるポイント
ここでは、ネズミ捕りを作ったり設置したりするうえで注意すべきポイントをお伝えします。どの種類の罠でも共通するポイントなので、参考にしてみてください。
【1】ネズミの罠に人間のにおいをつけない
ネズミの罠や、ネズミをおびき寄せるためのエサに直接手でふれてしまうと、「人間のにおい」がついてしまい、ネズミを警戒させてしまいます。
ネズミ捕りを作ったり設置したりする際は、人間のにおいをつけないよう必ず軍手など手袋を使いましょう。
もし素手でさわってしまったときには、ふれた部分を丁寧に水拭きすれば問題はありません。人間のにおいもきれいに取り除くことができます。
【2】ネズミの通り道に罠をしかける
ネズミが罠にかかりやすくするためには、ネズミの通り道に罠をしかける必要があります。ネズミの通り道を見つけるには、「ラットサイン」を探してみてください。ラットサインとは、ネズミが家の中を移動する際に残す汚れやフン・尿です。
ネズミは体が汚れているため、通り道には黒いすすのような跡が残ります。また、ネズミは移動しながら排尿する習性があるため、通り道には排泄物が落ちていて強い臭いがするのです。
適切な場所に罠を設置するために、このようなラットサインからネズミの通り道を見つけましょう。
【3】設置場所は掃除をしない
さきほどラットサインについての説明で、ネズミの通り道にはフンが転がっていることがあると解説しました。ネズミのフンを見つけたときは、フンの掃除はしないことをおすすめします。
わたしたち人間にとっては汚い場所をキレイにしたいと思うものですが、ネズミは自分たちのフンや尿のにおいがあると落ち着いて警戒心を緩めます。そのため、罠の設置場所は掃除をしないようにするとネズミを捕獲しやすくなるのです。
これまで自分たちの通り道であった場所が突然キレイになっていたり、人間のにおいがついたりしていると察知すると、ネズミは警戒心を高めてしまいます。
【4】ネズミの活動時間に罠をしかける
ネズミが罠にかかりやすくするためには、罠を設置する時間帯も重要なポイントとなります。なぜなら、ネズミの活動時間である夜中は人間が活動しない時間帯であるため、ネズミの警戒心が弱くなります。
また、日中だれも家にいない家庭では、日中もネズミの活動時間となるでしょう。より効果的に罠を設置するために、ネズミの活動時間を意識してみてください。
【5】ネズミを一匹捕獲できたら…
複数のネズミがいると思われる場合、一匹の捕獲に成功したら「うまくいった!」と思ってまたすぐ同じ場所に同じ罠を設置してしまいがちです。しかし、次の捕獲は2、3日くらいたってからにしてください。
なぜかというと、罠にかかったネズミの姿をほかのネズミが目撃している可能性があるからです。もちろん目撃したネズミは罠に警戒し、近寄らないようにすべきと判断するでしょう。
一度ネズミを捕獲したあとは、罠に使用したのと同じエサを罠の設置してあった場所にまいておき、ネズミがそれを食べていれば、警戒心がなくなってきているということです。
ネズミ捕りを使う際に注意すべきポイント
ネズミ捕りを使う際には注意すべきポイントがいくつかあります。知っておかないと健康被害や近隣トラブルにつながることもあるかもしれません。ここでご紹介する3つのポイントをよく理解しておきましょう。
【1】捕まえたネズミを直接さわらない
罠で捕まえたネズミを処分する際には、ネズミに直接さわってはいけません。なぜなら、ネズミの体には数多くの菌やウイルスが付着しているからです。人間に健康被害をおよぼす代表的な病原菌としては、レプトスピラ菌やサルモネラ菌があげられます。
このような危険な菌・ウイルスにふれたり吸引したりしないよう、ネズミを処分する際には使い捨ての手袋とマスクを着用するようにしてください。また、捕獲したネズミが生きている場合にはかみついてくる可能性があるため、破れにくい厚手のゴム手袋がよいでしょう。
ネズミを処分したあとは、除菌効果がある石けんでよく手を洗うようにしましょう。さらに、罠を設置した場所やその付近にもネズミの菌・ウイルスが付着している可能性が高いと考えられます。エタノールや次亜塩素酸ナトリウムなどを使って除菌しておくとよいです。
【2】ネズミの処分は適切におこなう
罠でネズミを捕まえたはいいものの、その後の処分方法に悩んでしまう方もいらっしゃるでしょう。どのようにトドメをさせばよいのか、どのように死体を処分すればよいのかは、はっきりとした決まりは基本的にありません。
そのため、今回はなるべく精神的な負担が少なく、トラブルになりにくい方法をお伝えします。
・ネズミにトドメをさす方法
生きているネズミにトドメをさす方法として、ネズミを水死させるやり方があります。深さがある洗い場やバケツに水をため、罠ごとネズミを水没させます。しばらくしてネズミが水死したことを確認できたら、死体を処分します。
・ネズミの死体を処分する方法
ネズミの死体は、可燃ゴミとして処分するとよいでしょう。土に埋めたり離れた場所に放置したりすると、発見した人が不快感や恐怖を抱いたり、死体が腐敗して悪臭が発生したりするかもしれません。そのため、ネズミの死体は責任をもってゴミとして処分するのが望ましいでしょう。
さらに、ネズミの死体をゴミに出す際の注意点として、死体が人目につかないよう新聞紙でつつむようにしてください。また、ゴミが収集されるまでに死体が腐敗することがあるかもしれないので、新聞紙で死体をつつんだあとはビニール袋に入れ、しっかり封をしておくとよいです。
【3】使用した道具は処分か消毒する
さきほどふれたように、ネズミの体には危険な菌やウイルスが付着しています。そのため、使用した罠の取り扱いにも注意が必要です。罠を自作した場合は、処分できるものはなるべく処分し、処分できないものは消毒するようにしてください。
市販の罠については、粘着シートのように使い捨てのものであればそのつど処分し、カゴ式・バネ式のネズミ捕りのように繰り返し使うものはそのつど消毒するようにしましょう。
消毒には、エタノール、アルコール、次亜塩素酸ナトリウムなどが含まれた消毒液を使用するとよいといわれています。菌やウイルスによる健康被害をふせぐために、しっかり消毒をおこないましょう。
ここまでご紹介したように、ネズミ捕りでネズミを捕獲するにはコツが重要であったり、衛生面の注意が必要であったりします。そのため、自分でネズミを退治するのが不安な方はネズミ駆除の業者を利用してみるのも選択肢のひとつです。
自作・市販のネズミ捕りが効果的である理由
ネズミの駆除方法には捕獲以外にも、毒エサを食べさせたり、忌避剤を使って追い出したりする方法があります。それぞれの方法ごとに異なる効果がありますが、ネズミ捕りを利用する方法には下記のようなメリットがあります。
・死体を正しく処分できる
・薬剤を使わない点で安全性が高い
・自作のネズミ捕りはエコ・ネズミの習性を利用できる
これら3つのメリットについて、詳しく解説していきます。
死体を正しく処分できる
ネズミ捕り以外の駆除方法で、毒が含まれたエサをネズミに食べさせて死亡させるという方法がありますが、この方法だと死体の処理に苦戦することになります。
ホームセンターなどでよく売られている殺鼠剤(さっそざい)は、ネズミが一口食べた瞬間に死ぬというわけではなく、食べてから3日~1週間くらい後に死ぬといわれています。
そのため、ネズミがエサを食べた場所に必ず死体があるというわけではなく、その後ネズミがどこに移動してどこで死んでいるのか分からない状態になります。
そうなると、死体を発見するまでに腐敗が進んで処理が困難になったり、家の中でも手の届かない場所に死体が残り続けたりすることとなり、死体の正しい処理が困難になってしまいます。
そのため、ネズミの死体を確実に回収できるネズミ捕りには、後処理を適切におこなえるというメリットがあるのです。
薬剤を使わない点で安全性が高い
殺鼠剤や忌避剤には薬剤が含まれているため、ペットや小さいお子様がいる家庭では誤飲やアレルギーなどを心配される方もいらっしゃいます。いっぽう、ネズミ捕りは薬剤を使用しないため、ペットや小さいお子様がいる家庭でも実践しやすい方法だといえるでしょう。
自作のネズミ捕りはエコ、ネズミの習性を利用できる
ネズミ捕りを自作する場合、材料はどれも家にあるようなものばかりです。また、使い終えたペットボトルや割り箸を利用できる点でエコであるといえます。市販のネズミ捕りは安いもので1つ500円程度はかかりますので、自作ならさらに低コストで挑戦しやすいのもうれしいところです。
また、ネズミ捕りを自作する際には、ネズミの捕獲率を最大限にあげるポイントとしてあげた「罠に人間のにおいをつけない」という点を十分注意できます。
ネズミは警戒心が強く、学習能力の高い動物です。そのため、せっかく市販のネズミ捕りシートなどを設置したとしても、それに人間のにおいが付着してしまっていたり、「危険なもの」であることを学習してしまうと、エサがあっても近寄らなくなってしまいます。
そのため、用意する段階から人間のにおいの付着に注意できる自作の罠は、ネズミの習性を利用しやすい手段だといえるでしょう。
まとめ
この記事では、ネズミ捕りを自作する方法や、市販で手に入る罠の種類をご紹介してきました。自作の罠でも市販の罠でも、捕獲を成功させるためにはコツをおさえておく必要があります。ネズミの警戒心を弱めるために人間のにおいがつかないよう注意したり、罠にかかりやすいようネズミの通り道に設置したりしてみてください。
また、ネズミ捕りはネズミの死体を確実に回収できるという点などからおすすめの駆除方法ですが、捕獲後はご自身でネズミの処理をしなくてはなりません。適切に処理しないと健康被害やトラブルにつながることもあるので、後処理までの段階を事前に理解しておきましょう。
しかし、皆さんの中には、ネズミの処理をするのがおっくうだという方や、ネズミの姿をみたくないという方もいらっしゃるかもしれません。そんな方は、ネズミの駆除をおこなう業者に相談してみましょう。
ネズミ駆除のプロであれば、ご自身の環境に合った方法で効率よくネズミを退治し、侵入口を見つけて塞ぐなど再発防止までしてくれるでしょう。どんな感じか気になった方は、まずはよさそうな業者に無料見積りをとるところから始めてみてはいかがでしょうか?