みなさんはキアシナガバチというアシナガバチをご存知でしょうか。アシナガバチはスズメバチに比べたら温厚なハチで、巣に近づかない限りはあまり攻撃されることはありません。
しかし、キアシナガバチに限ってはスズメバチと同等なほどに凶暴で、強い毒をもつ危険なハチなのです。そこで、今回はそんなキアシナガバチの特徴や活動時期などを解説し、実際にキアシナガバチの巣を発見した場合の対処法などもいっしょにご紹介していきます。
その他のアシナガバチの種類はこちらをご覧ください。
キアシナガバチは、アシナガバチ亜科では最大種!
キアシナガバチはスズメバチ科のアシナガバチ亜科に属している蜂で、体長は約20~26mmと、アシナガバチの中では最大級の大きさになります。黄色の身体に黒色のまだら模様があるのが特徴で、その黄色い身体が「キアシナガバチ」と呼ばれる由来となっています。
北海道~沖縄にかけて日本全土に生息しており、森林や雑木林など自然の多い場所を好むようです。またその中でも、低い山地に生息している場合が多いでしょう。
キアシナガバチによく似ている蜂として、セグロアシナガバチという蜂もいます。セグロアシナガバチは身体的特徴だけではなく、キアシナガバチと同じくらいの攻撃性をもっている危険なハチです。
セグロアシナガバチは体長もキアシナガバチとあまり変わらず、色などの身体の特徴も似ているため、区別できる方は少ないかもしれません。どちらにせよ、見かけたら警戒しておくべきでしょう。
キアシナガバチは攻撃性も毒性も種内で一番!
キアシナガバチはアシナガバチ種の中でも、攻撃性と毒性でトップクラスだといわれており、よく似たセグロアシナガバチよりもさらに気性は激しいといわれます。巣に近寄るだけでもお腹を丸めて威嚇をしてくるでしょう。
ハチの毒に侵されると、激しい痛みとかゆみに襲われるようになります。キアシナガバチの毒はスズメバチの毒に比べると弱いものの、かゆみがほかのハチの毒よりも強く出るという特徴があります。
また、刺されるとアナフィラキシーショックを引き起こすこともあり最悪の場合死に至ることもあるのです。
アナフィラキシーショックとは、ハチの毒に対して何らかのアレルギーをもっており刺されることに身体にアレルギー反応の症状があらわれることをいいます。
アナフィラキシーショックは1回目に刺されるよりも2回目に刺されるときにおこることが多いです。1回目にハチに刺されると体内でハチの毒に対する抗体がつくられる免疫という作用が働きます。
しかし、再びハチに刺されてしまうとこの免疫が過剰に働き、逆に症状が悪化してしまうのです。
詳しくは蜂に刺された際の症状と対処法をまとめた記事をご覧ください。
キアシナガバチが活発なのは春から初秋
キアシナガバチの活動時期は4月~10月にかけて活動をしています。その中でもとくに活発に活動しているのが、7月~8月にかけての時期です。この時期が1番キアシナガバチによる被害が多く報告されています。
4月~5月ごろの女王蜂が単体で巣をつくっている時期は、そこまでの攻撃性はありません。しかし、働き蜂が増加するにつれて攻撃性はどんどん増していき、7月~8月ごろには働き蜂の数も増えることで、活動が盛んになるのです。
そして、繁殖期にあたる8月末~10月には、キアシナガバチはもっとも興奮しやすく攻撃性が高くなります。この時期は巣を守るために、巣に近づくものすべてに対して強い攻撃性を示す、非常に危険な時期になります。
冬にはほとんどのキアシナガバチが活動を停止するものの、それ以外の春から初秋の時期は強く警戒しておかなければなりません。
詳しくはアシナガバチの生態をまとめた記事をご覧ください。
危険なキアシナガバチの巣はどこにある?
キアシナガバチの巣に気づかずに被害にあう報告が多数あります。では、そんな危険なキアシナガバチの巣はいったいどこにあるのでしょうか。巣のある場所の特徴や見つけたときの対処法をご紹介します。
キアシナガバチの巣の形状とよくある場所
キアシナガバチの巣は森林や雑木林などの自然の多い場所にあることが多く市街地ではあまり見ることはないかもしれません。民家などに巣をつくる場合は軒下や木の枝などによく好んで巣をつくる傾向にあります。
ハチは種類によって巣の形状に違いがあり、キアシナガバチにも独特の特徴が見受けられます。キアシナガバチの巣はつりがね状に均一な6角形の穴が重なったシャワーヘッドのような形状をしており、色は半透明な白っぽい色をしているのがほとんどです。
ハチの巣といえば黄色っぽい色をイメージする方も多く、意外に思う方もいらっしゃるかもしれません。キアシナガバチは巣の素材によく繊維や泥を使うことから、灰色が多く模様がない巣ができあがるのです。また、巣の場所は壁におおわれていない開放空間を好みます。
巣を見つけたときの安全な対処法
巣を発見して駆除しようと思った場合、殺虫剤や防護服など、しっかりとした道具を揃えてから駆除するようにしましょう。半袖などの肌が露出した服装であると、キアシナガバチの針が直接刺さってしまう危険があるからです。
キアシナガバチを安全に駆除するには、昼間などの行動が活発な時間帯はさけて、夜などの動きが弱くなる時間帯を狙い駆除するのがおすすめです。
ですが、いくら動きが弱くなるといってもアシナガバチの中では、攻撃的で強い毒をもっているので油断ができません。殺虫剤などをかける際は、巣から1~2mは離れたところから巣に向かって噴射するようにしましょう。
また、最近ではハチ専用の殺虫剤も売られています。ハチ専用の殺虫剤は拡散タイプで勢いが強いのが特徴です。より広範囲に効率よく効くので殺虫剤を使用するときはハチ専用の殺虫剤をおすすめします。
詳しくはアシナガバチの巣の特徴と駆除方法をまとめた記事をご覧ください。
刺傷事故に注意!こんな場合はムリしないで
いくら、万全の準備をしてキアシナガバチの巣の駆除をおこなうとしても、100%刺されず事故は起きないとは限りません。ハチの巣の駆除をする際の状況によっては、個人で駆除するのにリスクが大きくなってしまうことがあるので、ハチ駆除の専門家へ依頼したほうが確実なこともあります。
たとえば、巣の大きさが大きかったりハチの数が多かったりすると、それだけで刺されてしまう危険は大きくなってしまいますよね。とくに7月~8月はキアシナガバチが活発になる時期になるので注意が必要です。
つぎに、キアシナガハチの巣が高い場所へあったり狭い空間にある場合それだけで駆除をするのは難しくなります。キアシナガバチの巣は完全に駆除をしないと、もとあった場所へまた巣をつくる習性があるからです。
もし、少しでも駆除する際に無理だと感じたり怖さを感じた場合は、ハチ駆除のプロへ相談しましょう。
まとめ
キアシナガバチは、アシナガバチの中では1番といっていいほど攻撃性が高く、強い毒をもつ危険なハチです。その危険さはスズメバチと比較しても遜色はないでしょう。
刺された場合は激しい痛みとかゆみはスズメバチに刺されたときよりも強いといわれており、最悪の場合は死に至ることもあるといわれています。
ですので、ご自身でキアシナガバチの巣の駆除をする場合は、細心の注意と万全の準備を心がけていきましょう。しかし、ハチの巣は完全に駆除しなければまた同じところに巣をつくる可能性があります。そのため、業者へ駆除を依頼するのが1番安全かつ確実な方法といえるでしょう。
少しでも、危険を感じたりしたら無理をせず、ハチ駆除のプロの手を借りることをおすすめします。