蜂の巣といえば、六角形が無数に並んだものをイメージするでしょう。この六角形の巣穴は多くの蜂の共通点です。しかし、それぞれの巣の外見や構造、素材、つくる場所はハチの種類によって異なります。そのため、蜂の巣の構造を知っておくことでハチの種類を見分けることができるのです。
蜂の種類を見分けるのは、危険な蜂から身を守るために役立ちます。ミツバチなどの比較的温厚な蜂の巣であればそれほど気にする必要はありません。しかし、スズメバチやアシナガバチなどの危険な蜂の巣を見かけた場合、その場所は危険な場所になっています。すぐに対処すべきでしょう。
そこでこのコラムでは蜂の巣の構造について、見分け方やハニカム構造の秘密、蜂から身を守る方法についてご紹介していきます。
目次
種類別|蜂の巣の構造や作りやすい場所
まずは、蜂の巣の構造について見ていきましょう。蜂の巣穴は六角形であることがほとんどですが、外側の形状や色、素材が異なり、蜂の巣の構造はおもに3種類に分かれます。ここではアシナガバチ、スズメバチ、ミツバチの3種類についての蜂の巣の構造について解説していきます。
アシナガバチの巣
アシナガバチの巣は、支柱からぶら下がる傘のような形状が特徴です。また外皮がなく、巣穴が露出した白っぽい色をしています。素材は樹皮の繊維を原料としており、光沢はなく和紙のように柔らかくカサカサしています。
大きさは10cmほどで、雨風の防げる乾燥した開放空間に巣をつくります。エサ場や水場が近くにある場所に巣をつくることが多いです。軒下やベランダ、庭木の枝下などによく営巣します。
スズメバチの巣
スズメバチの巣は外殻に覆われており、丸や楕円の球状です。素材は木の繊維ですが、アシナガバチとは異なり木部繊維を原料としています。そのため紙のような手触りは似ていますが、色が茶色く、どちらかというとコルクのようなザラザラ、ゴワゴワした質感です。
鱗のような外殻に覆われた内部には、巣盤と呼ばれる巣穴が無数に並んだものが複数入っていて、それぞれ巣盤が柱で結ばれています。営巣初期は逆フラスコ型ですが、大きくなると球状へと変化していきます。
巣をつくる場所は人目につかない閉鎖空間で、地中や樹木の空洞の中、床下、屋根裏などです。山林などの自然が多い場所に巣をつくることが多く、都市部ではあまり見かけません。
ミツバチの巣
ミツバチの巣には外殻はなく、巣穴が縦に並んだ巣盤のみで構成されています。巣の素材は蜜蝋と呼ばれる、ミツバチ自身が分泌する蝋のような物質です。本来は白い物質ですが、花粉などが付着していくことで徐々に黄色っぽくなっていきます。
営巣する場所は閉鎖空間で、床下や屋根裏、壁裏に複数の巣盤をつくり、その大きさは1mを超える場合もあります。
ミツバチは温厚で、こちらから手を出さない限り刺されることはほとんどありません。しかしひとたび敵とみなされてしまうと、おそろしい数のミツバチに刺されることになります。不用意に近づかないようにしましょう。
ハニカム構造
六角形が並んだ蜂の巣の構造は、ハニカム構造と呼ばれます。蜂の巣の見た目は大きいですが、とても軽く強靭です。繊維など、強度の低いものでつくられているはずの蜂の巣が頑丈なのは、このハニカム構造のおかげなのです。
ハニカム構造は、宇宙船や航空機の機体、建築材料から家具やダンボールまで、目に見えないさまざまなところで使われています。ここからは蜂の巣の構造の特徴である、ハニカム構造についての知識を深めていきましょう。
ハニカム構造の機能的特徴
ハニカム構造とは、六角形を平面充填した構造です。平面充填とは隙間なく敷き詰めることで、平面充填が可能な図形は三角形、四角形、六角形の3種類のみです。
なかでも六角形は柔軟で衝撃に強いという特徴があるほか、少ない材料で多くの部屋をつくることができます。また、多くの部屋(空洞)があるぶん断熱性、遮音性、軽さにも優れた構造です。
ハニカム構造は、軽量かつ強靭で保温性も高いといいことづくめであるため、さまざまな場所で使われるようになったのです。
ハニカム構造ではない蜂の巣もある
じつは、ハニカム構造ではない巣をつくる蜂もいます。それがクマバチです。クマバチはほかの蜂と異なり、木に穴を掘って巣をつくる穿孔営巣性の蜂です。群れはつくらず、単独か家族単位で生活しており、たくさんの巣穴も必要ありません。そのためハニカム構造である必要がないのです。
危険な蜂の巣から身を守る方法
蜂の巣の構造はたくさんの蜂が生活するのに適しており、材料も少なくて済むぶん、増えるスピードも早いです。目につかない場所につくることも多く、巣をつくられ始めてしまうとあっという間に数が増えて、気づいたときには大きな巣になっていることもあります。
蜂に刺されると、毒の強さに関わらずアナフィラキシーショックが起こる可能性があり、最悪の場合死に至ることもあります。たとえ、ミツバチなど温厚な蜂でも気づかずに近づいて刺されることもあるため、巣ができてしまうと危険なのです。
ここからは蜂に巣をつくられないための予防方法、万が一つくられてしまった場合の対処方法について解説していきます。
蜂の巣をつくらせないための予防方法
蜂の巣をつくらせないためには、忌避効果のあるものを使うのが簡単です。忌避効果が期待できるものにはいくつかの種類があります。自分に合うものを選びましょう。
・木酢液
木酢液とは木に含まれる成分を液体として抽出したものです。ホームセンターや園芸用品を扱うお店で購入することができます。木酢液は木を燻した煙とツンとした酢のようなにおいがします。蜂などの虫は、本能的に火と煙を嫌い刺激の強いにおいも苦手とされているのです。
木酢液を入れた容器を近くに設置したり、薄めて蜂の巣ができそうな場所にスプレーしたりすることで蜂が寄り付かないようになります。ただし、木酢液はにおいが強烈で、人によっては不快に感じることもあるかもしれません。散布せず置くだけにしたり、まずは少量だけ散布してみたりして試してみましょう。
・ハッカ油
蜂はハッカ油などに含まれるメントールが苦手です。ハッカ油以外でも、メントールの含まれる精油であれば忌避効果が期待できますが、70~90%がメントールであるハッカ油がベストでしょう。ハッカ油を使う場合、10倍ほどに薄めて巣をつくられそうな場所に散布しておくことをおすすめします。
ハッカ油の原液は刺激が強いため、取り扱いには注意しましょう。プラスチックを溶かしてしまうほど強く、直接触れるとかぶれたり、痛みを感じたりすることがあります。手袋などをして直接触れないようにしましょう。
・燻煙剤
屋根裏や床下など、閉鎖空間に巣をつくるスズメバチやミツバチの巣の予防には、燻煙剤も有効です。効果はおよそ2週間持続します。使用の際には人体に影響を与えないように注意しましょう。
・蜂用殺虫スプレー
蜂用の殺虫スプレーには、忌避効果をあわせもつタイプのものもあります。蜂が巣をつくりそうな場所に使用しておくことで、蜂で悩むことはなくなるでしょう。
詳しくは予防法の詳細をまとめた記事と匂いを使った予防法の記事をご覧ください。
蜂の巣を見つけたときの対処法
万が一巣をつくられてしまった場合は早めに駆除しましょう。4~6月の、巣作りを始めて間もなく、巣が小さい時期であれば、自分で駆除することも可能です。小さい蜂の巣を自分で駆除する方法は以下のとおりです。
●準備する道具
- ・蜂用殺虫スプレー
- ・肌が露出せず、袖や襟のすき間を塞いだ丈夫な服装
- ・懐中電灯
- ・ゴミ袋
- ・ほうき
- ・ちりとり
- ・ハサミ
蜂の巣の駆除は、夕方以降におこないます。昼間は多くの蜂が出掛けており、そのタイミングで駆除すると、生き残った蜂に再び巣をつくられてしまうおそれがあるのです。駆除は、すべての蜂が巣に戻って休息する夕方以降におこないましょう。
巻き込んで刺される事故を防ぐため、周りにほかの人がいないか確認しましょう。刺激しないよう、懐中電灯の光を巣に直接当てないように気を付けながら巣に近づき、スプレーを噴射します。驚いた蜂が羽音を立てて飛び出してくるかもしれませんが、おそれずにしばらく噴射し続けましょう。
羽音がしなくなり、蜂が出てこなくなったら巣を取り除きます。ハサミで切り取るか、棒でつつき落とすなどして巣を落としましょう。地面に落ちた巣と蜂をほうきとちりとりで集め、ゴミ袋に入れます。
まだ生きていたり針が飛び出ていたりする蜂がいる可能性があるため、手で触るのは避けましょう。すべてゴミ袋に入れたら袋の中にもスプレーを噴射し、密閉します。巣は可燃ゴミとして捨てましょう。
以上が、蜂の巣が小さい場合の駆除方法です。詳しくは自分で蜂の巣を駆除する手順・条件をまとめた記事をご覧ください。
スズメバチの巣は業者に駆除を依頼しよう
巣が大きい場合は、危険度が格段に上がりますので自分での駆除はおすすめできません。また、スズメバチの巣の場合も自分での駆除はやめましょう。アシナガバチやミツバチであれば毒はそれほど強くなく、万が一刺されてもアナフィラキシーショックが起こらない限りは死ぬことはあまりないとされています。
しかし、スズメバチの毒は強力で、それだけでも死に至るおそれがあります。巣の大きさに関わらず、一匹だけでも大変危険な蜂です。業者に依頼して駆除してもらうようにしましょう。
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