「家の庭にいたあの蜂はモンスズメバチかな?」「モンスズメバチは駆除したほうがよいの?」
このような疑問がスッキリ解決できるよう、今回はモンスズメバチの見た目や性格、毒性、巣などの生態から駆除や対策の効果的な方法について解説しています。
蜂の見た目はどれも似ているのでモンスズメバチと区別をつけるのは難しいです。そこで間違えやすい蜂を並べて見分け方も一緒に説明しているので、わかりやすく初めての方でも判別しやすい内容にまとめました。
また、モンスズメバチは気性が荒いのでできるだけ近寄らせたくない蜂です。自分でできる対策や巣の駆除をケガなく安全におこなえる方法も紹介しているので、モンスズメバチの到来で困っている方はぜひご覧ください。
- モンスズメバチは波状の模様が特徴
- モンスズメバチは夜でも活動する
- 屋根裏にこっそり巣を作り、気づかないこともある
- 飛んでいるだけなら蜂用殺虫スプレーで退治
- モンスズメバチの巣は自分で駆除ができない
目次
【画像付き】モンスズメバチの見分け方
モンスズメバチの一番の特徴は、腹部からお尻にかけて広がる黒い波状の模様です。
この章ではモンスズメバチがどのような姿なのか確認できるように外見的特徴や他の蜂との見分け方を見やすい表にまとめてみました。
モンスズメバチの見た目の特徴
- 胸部は黒く、腹部は黄色と黒色
- 波のような左右対称の模様が入っている
- お尻の先端は黄色
- 顔のおでこが黒い
見た目はこのような特徴があります。しかし、飛んでいる蜂を見て「モンスズメバチ」と特定できる方は少ないでしょう。なぜなら多くの蜂が黄と黒の色合いで似ていて、すばしっこい蜂を瞬時に見分けるのは難しいからです。
SNSを見ると、ほとんどの方が偶然死体を手に入れてじっくり観察したことで「モンスズメバチ」と判別できたようです。
では飛んでいる状態でモンスズメバチと判別できる方法ですが、答えは「夜」にありました。
モンスズメバチは夜間飛行ができる
モンスズメバチは他の蜂と違い、夜でも活動的に飛びまわる性質をもっています。
一般的な蜂の活動時間
朝6時~夕方18時(日没時間) →活発に飛び回る
夕方18時以降 →巣に戻る
(※時間帯、地域差があります)
多くの蜂は暗くなると視界が悪くなるため、日が落ちる夕方頃には飛ぶのをやめて巣に戻っていきます。
しかし、モンスズメバチは蜂のなかでは珍しく夜間でも外を飛び回っています。なんと、深夜1時でも樹液を求めて働き蜂が飛んでいることも確認されています。
見た目ではモンスズメバチと判別できなくても、夜に飛んでいたらモンスズメバチかもしれません!
モンスズメバチと似ている蜂
モンスズメバチと見た目や大きさが似ていて間違えやすい蜂を4種類ご紹介します。とくにセグロアシナガバチは、背中の模様が似ているため間違える方が多いようです。
働き蜂の大きさの目安 ※個体差があります
セグロアシナガバチ
◆見た目の特徴 |
|
◆モンスズメバチとの見分け方 |
モンスズメバチは直線飛行しますが、セグロアシナガバチは足を垂らしてフラフラ飛びます。 |
オオスズメバチ
◆見た目の特徴 |
|
◆モンスズメバチとの見分け方 |
体長が1cmほどオオスズメバチの方が大きいです。また、腹部の模様も波線のモンスズメバチに対しオオスズメバチはまっすぐな横線です。 |
キイロスズメバチ
◆見た目の特徴 |
|
◆モンスズメバチとの見分け方 |
モンスズメバチよりも明るい黄色をしています。 (産毛と光の当たり方によってはオレンジ色っぽく見えることもあります) |
コガタスズメバチ
◆見た目の特徴 |
|
◆モンスズメバチとの見分け方 |
腹部の模様が波線のモンスズメバチと違って、まっすぐな横線です。 おでこが黒いモンスズメバチと違い、コガタスズメバチのおでこには3つの点があります。 |
モンスズメバチの生態
この章では、モンスズメバチの危険性や巣の場所、好きな食べ物など生態についてご紹介していきます。
◆生息地 | 北海道、本州、四国、九州、屋久島、対馬、種子島、沖縄、その他(大熊諸島、奄美大島、加計呂麻島、徳之島) |
◆大きさ | 女王蜂:28~30mm 働き蜂:21~28mm |
◆性格 | 攻撃性が強い |
◆毒性 | 蜂の中では強め |
◆食性 | ◎一番の好物はセミ
|
◆巣を作る場所 | 閉鎖空間を好む (地中、樹木にできた洞窟状の空間、屋根裏) |
◆活動期間 | 5~10月 |
◆巣の形 |
|
モンスズメバチは絶滅危惧種である
海外では大量駆除をしたことで数が減少し、一部の国では絶滅危惧種として保護対象になっています。
モンスズメバチはヨーロッパが原産国で、主にユーラシア大陸に分布しています。日本では北海道から沖縄まで広く生息しています。
しかし近年では個体数が減少しています。理由は、主食であるセミの減少や営巣場所である樹木の減少だといわれています。
モンスズメバチは巣の引っ越しをする
モンスズメバチは、巣を引っ越す習性をもっています。一般的に蜂は営巣場所を決めたら、その場で巣を大きく成長させます。
しかし、モンスズメバチは閉鎖空間に巣作りするため巣を大きくできず、そのうち手狭になってきます。すると広めの閉鎖空間に引っ越しをするのです。
巣の形状は、やや大きめの球体で色は茶系統のまだら模様をしています。巣穴が下から見える釣鐘状をしているのが特徴です。
モンスズメバチの刺傷被害は少ない
モンスズメバチは攻撃的で毒性が強いのに刺傷被害は少ないです。
考えられる理由は2つあり、1つはさきほど述べたように個体数が減少しているからです。
そして、もう1つは営巣場所です。
モンスズメバチは昆虫を主食とするので山間部など自然の中に営巣することが多く、他の蜂のように民家に巣を作ることが少ないです。
また、もし民家に巣を作るにも屋根裏など目立たない場所を選ぶため住民でさえ気づかないこともあります。
このように、個体数が少ないうえに人前にあらわれることもあまりないので遭遇する機会がなく刺傷被害も少ないのです。
参考
上野高敏 九州大学大学院農学研究員 生物的防除研究施設「モンスズメバチ」(最終閲覧日:2022年3月28日)
・蜂駆除屋さん「モンスズメバチについて」(最終閲覧日:2022年3月28日)
・ルイワン蜂・害虫駆除センター「モンスズメバチの概要」(最終閲覧日:2022年3月28日)
モンスズメバチが家にあらわれたときの対処法
モンスズメバチが家のまわりを1匹飛んでいるだけなら、過剰に恐れることはありません。しかし、複数匹で飛んでいるときや毎日見かけるときは近くに巣があるかもしれないので警戒してください。そして駆除も検討しなければいけません。
巣を見つけたとき
→蜂駆除業者に巣の駆除の相談をしてください
巣は見つけていないが個体をよく見かける
→蜂駆除業者に巣の調査依頼について相談をしてください
巣を発見している場合
一般人の自力駆除は危険すぎるためおすすめできません。
そのため、モンスズメバチの駆除をするには蜂駆除の業者に依頼することが最も安全な解決方法です。
モンスズメバチの自力駆除をおすすめできない理由
理由は2つあります。どちらもモンスズメバチの生態が関係しています。
理由① 夜も活動をするから |
蜂の巣を自力駆除する場合、夜間を狙って駆除をおこないます。 しかし、モンスズメバチは夜間でも活動するため日が落ちても飛び回っています。ということは、蜂がおとなしく巣穴で休んでいる時間がないため駆除に適した時間がないのです。 もし無理して夜に駆除しようとするととても危険です。夜は人間の視界も悪いため駆除に手間取り、蜂に襲われやすくなるからです。 |
理由② 閉鎖空間に巣を作るから |
モンスズメバチは屋根裏などの閉鎖空間に巣を作ります。このような狭い場所では人間も動きづらく、また蜂に襲われても逃げ場がありません。狭い空間で蜂の大群に囲まれてしまうことを想像するととても恐ろしい光景ですね。 蜂の巣を自力駆除できる条件のひとつが「開放的な場所に巣がある」ことです。人間がすぐに逃げられることが重要なので、モンスズメバチの場合は自力駆除ができる条件に当てはまりません。 |
他の蜂であれば状況しだいで自分で巣の駆除ができる場合もあります。そのための防護服や殺虫剤も販売されており、駆除方法を調べると丁寧に解説してあるホームページもみつかります。
しかし、モンスズメバチの場合たとえ巣が小さくても自分で駆除することはリスクが高すぎます。
無理せず蜂駆除の業者へご相談ください。
行政が対応している蜂駆除とは
お住まいの地域によってはスズメバチの巣駆除について相談すると、行政のほうで対応してくれることもあります。
しかし、残念ながらスズメバチの巣駆除をしてくれる行政は全国的に少なく、ほとんどの地域では各自での対応にまかせられます。
行政がおこなっている蜂の対応例
- 業者を紹介してくれる
- 業者費用の一部を負担してくれる
- 駆除用の道具の貸し出し
- 駆除方法のアドバイスをしてくれる
対応の内容は地域ごとで差があるので、気になる方は一度電話で確認してください。
巣は発見していない場合
巣がない場合、本当に近くにないのか発見をしていないだけかはわかりません。こういったときは蜂の数や時期で対応が変わります。
} どちらかに |
→ | 自力で対応しながら様子を見る |
} どちらかに |
→ | 業者に相談をする |
|
→ | 様子を見る |
ケース①:1匹だけたまに見かける
モンスズメバチが1匹だけなら、偶然近くに飛んできただけと考えられ放置していても危険は少ないです。どうしても気になるなら、蜂用の殺虫スプレーで退治するか、忌避剤を設置してモンスズメバチを近寄らせないよう対策をたてます。
もしその後もずっとモンスズメバチが近くを飛んでいたり、個体数が増えたりするようなら、蜂駆除業者へ調査の依頼相談をしてみてください。もしかすると近くに巣があるのかもしれません。
ケース②:2匹以上見かける
モンスズメバチが複数匹あらわれると少し怖く感じてきます。
とはいえ、自力駆除は四方八方から攻撃されることもあるのでやめたほうが無難です。
しかし春先の3~4月であれば自力での対応もできることがあります。モンスズメバチは季節で活動内容が変わるので、3~4月は比較的安全な時期となっています。
こちらはモンスズメバチの一年間の行動を簡単にまとめた表です。
春先の3~4月であれば、巣も大きくなく働き蜂の数もまだ増えていないので大群で飛び回ることはありません。忌避剤の設置で様子を見てください。いなくならない、数が増えてくるようなら近場で巣が作られ成長していることが考えられます。すぐに蜂駆除業者へ相談しましょう。
5月以降は巣が大きくなり働き蜂もどんどん増えてくる時期です。刺激を与えると仲間を呼んで多数の蜂が集まってくる危険性もあります。
自分で対処することはやめて、業者へご相談ください。
10月になるとモンスズメバチは衰退していきます。
もし巣が近くにあってもこれから個体数が増えることもありません。忌避剤を設置して近くに寄らないようにしておくと自然と姿を見なくなるでしょう。
ただし、近頃では温暖化の影響で10月でもまだ多くの蜂が生き残っていることがあります。どうしてもモンスズメバチが飛んで気になる方は業者へ相談してみてください。あなたが安心できる方法を提案してくれます。
飛んでいるモンスズメバチに効く殺虫スプレー
前章で解説したように、1匹だけ飛んでいるモンスズメバチには自力で退治ができます。とはいっても、相手は毒針を持っているため素早く確実に仕留めないと反撃にあってしまいます。
初心者の方でも使いやすく、モンスズメバチに効果のある殺虫スプレーを2点ご紹介するので殺虫スプレーを購入するときの参考にしてください。
商品名 | スズメバチマグナムジェットプロ 550ml |
商品の特徴 | 速効性、致死性効果に優れたスズメバチによく効く5種の有効成分配合処方。 スズメバチの巣の駆除に適した、強力大量噴射できるバズーカタイプです。 |
価格 | 楽天 1656円 Amazon 1527円 |
商品名 | カダン スズメバチバズーカジェット 550ml |
商品の特徴 | 4つの成分で、危険なスズメバチの動きを止めて速効退治! 巣ごと退治&4ヵ月巣作り阻止も。 最大12m※まで届く超強力バズーカ噴射で離れた場所からでも処理できます。 ※無風時。気象条件により異なります。 |
価格 | 楽天 1170円 Amazon 1084円 |
(※2022年3月現在の情報)
モンスズメバチの駆除に使用する殺虫スプレーの選び方
ミツバチやアシナガバチ用と、スズメバチ用とでは入っている成分の中身が違います。それぞれの特性に効果的な薬剤が含まれているので、モンスズメバチには商品に「スズメバチ」と書かれた殺虫スプレーを選んでください。
上記で紹介している2点の商品は、どちらもメーカーによると噴射距離は約12ⅿとのことです。その他のスズメバチ用殺虫スプレーだと10m以下の商品もあるため、購入の際はぜひ確認しておきたいポイントです。
スズメバチマグナムジェットプロは約45秒、カダン スズメバチバズーカジェットは約32秒なので、十分な噴射時間だといえます。こちらも商品によって時間はさまざまなので、購入のときは注意して選びたい条件です。
スズメバチ用の殺虫スプレーについては、どの商品がよいかユーザー200人に独自アンケートをとりました。殺虫スプレーの購入で悩んでいる方や詳しく知りたい方はこちらもご参照ください。
▶経験者200人が選ぶ蜂の巣駆除で本当に使えるスプレー!安全に蜂を絶滅させる方法を解説
【忌避剤】モンスズメバチを近寄らせない予防策
前章でご紹介した殺虫スプレーには「巣作り予防の効果」も期待できます。
スズメバチマグナムジェットプロは約1カ月、カダンスズメバチバズーカジェットは約4カ月間予防効果が続くとのことです。(注意:使用状況によります)
ハチが前年巣を作った場所の周辺や巣を作りそうな場所(玄関、軒下等)に1㎡あたり約5秒噴射してください。
引用:アース製薬スズメバチの巣作り阻止(最終閲覧日:2022年3月28日)
その他、防虫効果のある忌避剤として有名なのが、
どちらも天然素材でお安く手に入るので、薬剤に抵抗ある方はこちらをお試しください。
価格はAmazonで見たところ、安い物であれば500円前後で手に入ります。
ハッカオイルはハーブのさわやかな香りなので初めての方でも使いやすいです。近寄ってほしくないベランダや玄関先に設置しておきます。
木酢液は、木の焦げたような香りがします。少しクセのある香りなので気になる方は人の出入りが少ない場所に設置しておきましょう。
忌避剤の使い方
A)ハッカオイルを3~4滴たらした小皿を用意して、邪魔にならない角や隅に置いてく
B)ティッシュやガーゼにハッカオイルを3~4滴含ませて吊るしておく
参考:健栄製薬 ハッカの防虫
木酢液と水を1:1で混ぜ、空のペットボトルに入れる → ペットボトルのフタに、キリで穴を数か所開ける
ペットボトルの首にひもを括り付ければ、庭の木の枝などに吊るすことができます
参考:木酢液を使った自家製ハチ除け
モンスズメバチに刺されないための行動
①手で追い払わない
②大きな声をださない
③そっと離れる
モンスズメバチが近づいてきても慌てず、静かにしましょう。驚かすと威嚇されたと思われ攻撃されるかもしれません。
思わず手を振って遠ざけようとしてしまいがちですが逆効果です。大きな動作、音、声はモンスズメバチを怒らせる原因となるのでできるだけ静かにゆっくりとその場を離れるのがポイントです。
部屋の中に侵入してきたときの対処法
窓から入ってきたり、洗濯物にくっついてきたりすることがあります。特にモンスズメバチは夜間行動をするので、夜に部屋の中に入ってきた方もいるようです。
追い出し方は「明るいほうへ飛んでいく」虫の習性を利用します。
昼間であれば、室内の電気を消し、窓を開けておきます。室内よりも外の光が明るければ、窓から自然と出ていきます。
夜の場合、窓の外に明るい場所を人工的に作り出します。たとえば懐中電灯を外に置いたり、車のヘッドライトを照らしたりです。部屋の電気を暗くし窓を開けて、外からライトを点灯させます。
スズメバチ用の殺虫スプレーがあれば、噴射して退治するのも手っ取り早い方法です。ただし、相手も思いがけず室内に入り込んでしまい興奮状態にあります。攻撃されないように十分に注意をしましょう。
参考:みんなのハチ駆除屋さん
モンスズメバチに刺されたら病院へ
蜂に刺されたときに体内に蜂毒が入ることで、痛みやかゆみ、腫れなどのアレルギー症状があらわれます。
人によっては呼吸困難や意識低下など重度のアレルギー症状が出ることもあり、最悪の場合命を落とすこともあるので、蜂に刺されたときはすぐに医師の診察を受けてください。
- 皮膚に針が残っていれば、ピンセットなどで抜く
- 毒を爪で絞り出すかのようにして、傷口を水で洗い流す
- (抗ヒスタミン成分配合)虫刺されの薬を塗る
- 病院へ行く
ハチ駆除・ハチ対策は「ハチ110番」にご相談ください
弊社のサイト「ハチ110番」では、蜂駆除の専門業者をご紹介しています。ご連絡いただければ、すぐに信頼できる加盟店より折り返しご連絡いたします。緊急のときでもお近くの加盟店スタッフがすぐに駆けるのでご安心ください。
「蜂の巣を発見したから駆除してほしい」「蜂の種類がわからないけど飛び回っているから対処してほしい」「近くに巣があるか調べてほしい」「巣が作られないように予防してほしい」など、蜂に関するお困りごとがあれば弊社サイトにまでご連絡ください。みなさまおひとりおひとりのご希望に沿える優秀な業者を手配いたします。
現地調査、お見積りは無料※です。ぜひみなさん、お気軽にご利用くださいませ。
※対応エリア・加盟店により事前にお客様にご相談したうえで費用をいただく場合がございます。
【参考書籍】
中村雅雄『スズメバチの真実:最強のハチとの共生をめざして』八坂書房 2018
丸沢 丸『超危険!スズメバチLIFE』講談社 2019
小川原辰雄『人を襲うハチ 4482件の事例からの報告』山と渓谷社、2019
「蜂が庭に飛んでいる」「蜂の巣が近くにある」など、お困りの皆様の身近な存在になれたら嬉しいです。