家の周囲に土の塊のようなものを見かけたら、それはドロバチの巣かもしれません。ドロバチは巣の様子がそのまま名前になったような蜂で、泥を集めて巣を作って生活します。巣の構造は単純ながら、中には卵と、孵化後のための生餌が用意されているなど、中身を知ってビックリする方も多いのです。
ここでは、そんなドロバチの持つ特徴と巣の場所や作りかた、ドロバチの細かい分類までご紹介します。
また、同じ土を使った巣でも、地中に穴をあけて生息しているハチを見かけたら、それはスズメバチであるおそれがあるため刺激しないよう注意しましょう。ドロバチの巣を駆除したい方も、今回ご紹介する手順を参考に安全対策を万全にしたうえで着手されてくださいね。
目次
土の塊のような巣を作るドロバチ
ドロバチの成虫の特徴
ドロバチは腹部に黄色の二本線が入った、全体的に黒っぽい色合いをした蜂です。7月~9月によくみられ、昼に活発に活動します。一部の市街地や島を除いた日本全国に広く生息するといわれ、幼虫は蛾の幼虫を、成虫は花の蜜を主に食べます。ドロバチは群れを作らず、一匹またはつがいで行動する種類の蜂です。
ドロバチの巣の作り方
名前のとおり、泥を使って壷のような形の巣を作るのが特徴です。巣は比較的小型で、中に幼虫の餌となる青虫などを運び入れたあとで産卵し、泥で穴をふさいで蓋をします。このとき、餌としてとらえられた青虫は、麻酔をかけられたような状態で、生きながらにして巣の中に貯蓄されます。孵化した幼虫は巣の中で餌を食べて育ち、次の春に蛹化、羽化して外へ出るといわれます。
ドロバチの種類
ドロバチの中でも「ドロバチ」「トックリバチ」「スズバチ」と種類があります。ドロバチ類全体では竹筒やほかの虫が空けた木の穴を巣に利用するものが多いと言われ、壷のような巣を作るのはトックリバチの仲間。腰が細くくびれているため腹部の針が強調され、いかにも攻撃的そうに見えますが、人を刺すことはほとんどないといわれるおとなしい蜂です。
天敵はドロバチヤドリニクバエというハエです。ドロバチの幼虫が育つ小部屋の中に、ハエの幼虫が寄生し、ハチの幼虫の餌を食べてしまう「労働寄生」を行うことがあります。
ドロバチが巣を作る場所と危険性
ドロバチの巣は民家の近くの身近な場所にできます。住宅街であっても巣が作られることはあるので一度探してみて下さい。
ドロバチが巣を作る場所
土の塊のような巣を見かけたら、それはドロバチの巣かもしれません。ドロバチは家の軒下や床下・ベランダなどの家の外側だけでなく、屋根裏や天井裏にも巣を作ることがあります。巣材によって、家や家具などを汚染する被害もあるようです。
ミツバチやスズメバチのように女王蜂を中心としながら集団で行動するという特徴はみられません。単独性の種なので巣を守るために襲い掛かってくることもほとんどなく、また幼虫が成虫となって飛び立ったあとの空巣が再利用されることもないといわれています。
ドロバチの危険性
事故をおそれて巣を駆除する必要も基本的にはないようですが、巣を壊したり、誤って触れたりすると刺される危険もありますので注意が必要です。ドロバチは獲物となる昆虫をマヒさせるための毒を持っています。毒性はスズメバチなどと比べれば低いといえますが、刺されれば痛いことに変わりないので、なるべく刺されないようにしたいところです。
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土の中にある巣には要注意
土に開いた穴を見たことがあるかもしれません。500円玉ほどの小さな穴が開いていたら、それは蜂が住んでいる巣かもしれません。地中に住む蜂は危険な場合が多いので注意する必要があります。
土の中に巣を作る蜂はスズメバチの可能性がある
泥の塊のような巣を作るドロバチとは対照的に、土の中にも巣を作る蜂がいます。ヒメスズメバチやモンスズメバチ、そして最も可能性が高いとされるオオスズメバチ。危険な蜂である場合が多いのです。
オオスズメバチは民家の梁や木の枝などに大きな巣をつくるイメージが強いかもしれませんが、土の中に巣を作った場合は巣が大きくなるごとに土を掘って拡張するため、だれも気づかないような地中にたいへん巨大な巣が眠っている可能性があります。
スズメバチの危険性と対処
最大で直径30cmほどにまでなるといわれ、その中には数百匹のオオスズメバチが潜んでいることになります。気づかないうちに巣のある場所に近づいて刺されてしまうケースも少なくないため、とても危険です。
スズメバチが出すカチカチという警戒音がしたら、近くに巣がある可能性が高いといわれます。この音を発しているときは、スズメバチのテリトリーである「警戒範囲」に侵入してしまっている証拠。早くその場を立ち去らなければ、容赦なく攻撃をされる危険性があります。
スズメバチの毒液には警告フェロモンという成分が含まれており、仲間を呼び寄せる効果があるとされているので、毒針を使った攻撃をされたあとに大勢の蜂に襲われる可能性も多大にあります。
種類が判断できない場合はハチ駆除のプロへ依頼しましょう
ドロバチはスズメバチと同じスズメバチ亜科という分類に属しています。そのため生態が違うものの、見た目が似ていてスズメバチと区別しづらいです。もし駆除しようとしたドロバチが実はスズメバチであったら大変危険なので、判断に自信が持てない場合は駆除業者に依頼しましょう。ここでは、自分で駆除するときの方法を解説します。
ドロバチの巣の駆除方法
ドロバチは殺虫剤で駆除する方法と、ハチ自体が巣立ってしまったあとの巣を撤去する方法があります。ドロバチがいなくなったあとの巣のほうが安全に駆除できますが、ハチがいなくなるまで駆除をするのを待たなくてはなりません。ドロバチは群れで生活せず、巣にいる成虫は1匹から2匹と小規模なので、長袖長ズボンの服装を重ね着し、軍手を2枚以上重ねて着用して帽子とマスクをつけた状態で挑めば殺虫剤でも対処できます。
他の蜂と間違えると危険
ただ、家屋についた蜂の巣が小さいからといって、素人判断は禁物。蜂の種類を見誤ると、大群の集中攻撃を受ける可能性もあります。ドロバチやスズメバチの他に、集団性のあるアシナガバチも軒下や庭木など住居の近くに巣を構えることがあります。アシナガバチはスズメバチ、ミツバチと並んで被害件数も多いです。
巣そのものの大きさは比較的小さいものになります。人の目線よりも低い位置に作ることが多いとされ、開けた場所であればどこにでも巣作りをします。
スズメバチほど素早く動けないそうで、1匹で飛んでいる個体が人を刺すことはほとんどないといわれます。刺激を与えなければ攻撃をしてくることも少ないようですが、生活圏に入ってくるため、無意識のうちにも刺激を与えやすくなってしまう傾向があるとのこと。そんなアシナガバチの厄介な習性のひとつは、以前撤去したのと同じ場所に巣を作ってしまうことがある点です。
自分が生まれた巣の場所を覚えており、冬眠を終えた新しい女王蜂が元の巣に戻ってくる例も報告されています。
巣の大きさや形状で種類を断定し自分で駆除するのはとても危険です。蜂の特性や習性について正しい知識を持った、蜂駆除のプロへ依頼をするようにしましょう。
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