スズメバチの危険性は種類によって異なります。
日本には3属17種類のスズメバチが生息していて、その中には人を滅多に攻撃しない大人しい性格の種類もいます。一方で、巣に近づいただけでも攻撃してくる非常に凶暴な種類もいるのです。
スズメバチらしき蜂が飛んでいるのを見かけたら、まずはどの種類かを特定しましょう。当記事では日本に生息する主なスズメバチの生態や危険性について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
【種類別】スズメバチの生態と危険度
まず、日本のスズメバチは、大型のスズメバチ属、中型のクロスズメバチ族、小型のホオナガスズメバチ属に分けられます。この中でとくに危険なのは、スズメバチ属に分類されるスズメバチたちです。何種類かピックアップしてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
1.オオスズメバチ
たくさんいるスズメバチの中で危険な種類とされるのが、このオオスズメバチです。主に山間部に生息していて、木の根元や土の中に巣を作ります。そのため、ハイキングや登山中に知らぬ間に巣を刺激してしまい、襲われる事例が多数報告されています。以下に生態をまとめたのでご覧ください。
〇大きさ
・約2.7~4.5cm
〇見た目
・体はオレンジ色と黒色の縞模様がある
・大きなアゴをもっている
〇活動時期
・5~11月(8月~9月頃が最盛期)
〇性格、特徴
・非常に凶暴でいちど狙いを定めるとしつこく追いかける
2.キイロスズメバチ
キイロスズメバチは都市部に多く生息しています。家の軒下や屋根裏、ゴミ箱の中、看板の裏など、あらゆる場所に巣を作るので、人が刺される被害が最も多い蜂です。以下にキイロスズメバチの生態をまとめたのでご覧ください。
〇大きさ
・約1.7~2.8cm
〇見た目
・体全体が黄色
・背中にオレンジの縞模様がある
〇活動時期
・5~11月(7~9月が最盛期)
〇性格、特徴
・オオスズメバチと同じくらい攻撃性が高い
・巣に近づいただけでも攻撃されるおそれがある
3.チャイロスズメバチ
チャイロスズメバチは北海道と本州のみに生息する蜂です。モンスズメバチやキイロスズメバチの巣を乗っ取り、そこで自分の幼虫たちを育てるという少し特殊な生態をもっています。さらに詳しい生態は以下をご覧ください。
〇大きさ
・約1.7~3cm
〇見た目
・体全体が茶色っぽく腹部は黒い
〇活動時期
・6~10月(7~10月が最盛期)
〇性格、特徴
・攻撃性は高い
・巣に近づくと地面の近くをジグザグ飛び回り威嚇する
4.コガタスズメバチ
コガタスズメバチは人間の生活圏内に巣を作ることが多い蜂です。その巣は庭の植え込みや屋根裏など人目に触れにくい場所に作られるので、巣の存在に気づかず刺激してしまい、攻撃されてしまうということも少なくありません。詳しい生態は以下をご覧ください。
〇大きさ
・約2.1~3cm
〇見た目
・オオスズメバチに似ているので間違えられやすい
・オオスズメバチに比べると体は小さい
・オオスズメバチは下アゴの突起が3つだが、コガタスズメバチは2つある
〇活動時期
・5~10月(7~10月が最盛期)
〇性格、特徴
・比較的穏やかだが、いちど攻撃されると一斉に襲いにかかる
5.モンスズメバチ
モンスズメバチは、スズメバチの中で唯一、夜も活動できる蜂です。しかしその数は多くないので、実際に遭遇することは滅多にないかもしれません。それでもスズメバチである以上は油断できないので、ぜひその生態を知っておきましょう。詳しくは以下をご覧ください。
〇大きさ
・約2~3cm
〇見た目
・体全体が黒っぽく、腹部に独特の波模様がある
〇活動時期
・5~10月(7~9月が最盛期)
〇性格、特徴
・攻撃性は高い
・巣に近づくと上下に飛びながら威嚇する
スズメバチとアシナガバチを見分けるポイント
ここまで主なスズメバチの生態についてご紹介しました。しかし中には、スズメバチだと思っていた蜂が実はアシナガバチだった……ということもあります。それはスズメバチとアシナガバチの見た目がよく似ているからです。
といっても、アシナガバチはスズメバチと違ってとても大人しい蜂です。こちらが刺激を与えない限り攻撃してくることはほとんどありません。しかし、非常に強力な毒をもっているので、決して侮れない蜂でもあります。ここではスズメバチとアシナガバチを見分けるポイントを見ていきましょう。
〇飛び方
スズメバチ:まっすぐ素早く飛ぶ
アシナガバチ:だらんと足をたらしてふらふらと飛ぶ
〇巣の形
スズメバチの巣は殻に覆われていて巣穴は見えず、表面はマーブル模様のようになっています。さらに、作り始めの巣はとっくりをひっくり返したような形で、そこから完成に近づくにつれて徐々に丸くなっていくのです。
一方アシナガバチの巣は巣穴がむき出しで、薄い茶色やグレーをしています。形はお椀をひっくり返したような形で、最初から最後までほとんど変わりません。
〇巣を作る場所
スズメバチは屋根の軒下など開放的な場所に巣を作ります。一方アシナガバチは開放的な場所に加えて屋根裏や壁の中などの閉鎖空間にも巣を作ります。
では、アシナガバチについても、種類別に生態や危険性を見ていきましょう。ここでは家のまわりに巣を作る4種類をご紹介します。
1.キアシナガバチ
アシナガバチの中で最も毒性が強く危険な種類です。非常に攻撃性が高く、巣に近づくと一斉に襲ってきます。基本的な生態をまとめたのでご覧ください。
〇大きさ
・約2.1~2.6cm
〇見た目
・体に黄色と黒の縞模様がある
・羽の付け根と後ろ側に縦線が2本入っている
〇活動時期
・4~10月(7~8月が最盛期)
〇性格、特徴
・巣に近づくと体を震わせて羽音で威嚇する
2.セグロアシナガバチ
キアシナガバチと同様に、毒性が強く攻撃性の高い危険な種類です。また、人が刺される被害が最も多いアシナガバチでもあります。そんなセグロアシナガバチの生態を以下にまとめました。
〇大きさ
・約2.1~2.6cm
〇見た目
・羽の付け根に縦の2本線がある。羽の後ろは真っ黒。
・背中が黒く、腹部に波打った黒線がある
〇活動時期
・4~11月(7~8月が最盛期)
〇性格、特徴
・巣に近づくと体を震わせて羽音で威嚇する
3.フタモンアシナガバチ
フタモンアシナガバチは、先述した2種類と比べると、毒性や攻撃性は弱めです。しかしアシナガバチである以上、十分注意しなければなりません。詳しい生態は以下をご覧ください。
〇大きさ
約1.4~1.8cm
〇見た目
・体全体が鮮やかな黄色
・腹部に黄色い斑点が2つある
〇活動時期
・4~11月(6~8月が最盛期)
〇性格、特徴
・比較的大人しい性格
・いちどに産まれる働き蜂が非常に多い
4.コアシナガバチ
コアシナガバチはアシナガバチの中では小型の種類です。しかし攻撃性が高く不用意に近づくと襲われるおそれがあるので注意しましょう。以下では詳しい生態を解説します。
〇大きさ
約1~1.7cm
〇見た目
・体に茶色と黒と黄色の模様が交互に入っている
〇活動時期
・4~10月(7~8月が最盛期)
〇性格、特徴
・多くのアシナガバチの巣がお椀をひっくり返したような形になっているのに対して、コアシナガバチの巣は巣の片方が上方向にそり返る
屋外でスズメバチに遭遇したときの対処法
ではここからは、実際にスズメバチに遭遇してしまったときの対処法について見ていきましょう。スズメバチは敵を察知すると以下のような威嚇行動をとります。威嚇行動は1~3の順に上がっていき、3になると完全に狙われた状態となってしまうので、そうなる前に正しい行動をとらなければなりません。
2.カチカチと音を鳴らす
3.空中でホバリングする
家のまわりでスズメバチに遭遇してしまい、もし上記のような行動をとられた場合は、姿勢を低くしてゆっくり後ずさりしましょう。手で振り払ったり、大きな声を出して逃げてしまったりすると、蜂を刺激して襲われてしまうので、やってはいけません。
さらに、以下では、屋外以外でスズメバチに遭遇したときの対処法についてもご紹介します。
部屋の中に入ってきたときの対処法
蜂は明るい方向へ向かう習性があるので、カーテンを閉めるなどして部屋を暗くし、窓を開けて自然に出ていくのを待ちましょう。部屋の中に蜂がいるのは怖いかもしれませんが、基本的にこちらが刺激しなければ、蜂は攻撃してきません。むしろ無理矢理追い出そうとして殺虫剤などを使うと、かえって蜂を刺激してしまうので、やめておきましょう。
車の中に入ってきたときの対処法
窓を開けていたらいつの間にか蜂が入ってきてしまったということもあるでしょう。そんなときはまず落ち着いて、安全な場所に車を停めて、窓を全開にしてください。時間が経てば自然と蜂は出ていくでしょう。逆に怖がって叫んだり手で振り払ったりすると蜂を刺激してしまいますし、事故につながるおそれもあるので危険です。
スズメバチの駆除は業者に依頼しよう!
最後に、スズメバチの駆除はどうするべきかについて考えてみましょう。ご紹介してきたように、スズメバチの危険性は蜂の中でもトップクラスです。自分で駆除するのは非常に危険で、場合によっては命に関わることもあるので、必ず業者に依頼するようにしましょう。
駆除費用の相場は【約9千円~4万5千円】です。大きな巣や駆除の難易度が高い場合は相場より高くなることもあるので、いちど複数の業者に現地調査をしてもらい、相見積りをとって比較するとよいでしょう。
弊社では、全国各地さまざまな蜂駆除業者をご紹介しております。相見積りのさいは、ぜひ弊社加盟店も候補のひとつとして加えていただければ幸いです。
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